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第2章 第21話(第67話) ~遺跡探索 その3・1階部分の内部探査~

遺跡探索スタートですっ。


が・・・

思ったほどお話が進みませんでした(汗。

本当であれば遺跡の奥にある、とある保管室までたどり着くはずだったのに・・・


ということで、遺跡内部の探索だけで複数回の分割になってしまいそうです。

この先ものんびりとお話が進むかもしれません。

 遺跡内部に入る前にきちんと装備を整えておく必要があったため、俺たちは一度レガシィの所にまで戻ってきていた。

 ちなみにレガシィまでの道すがら、レガ子や子供たちが結婚の順番についてアレコレと言ってきたが、とりあえず全部無視することにした。

 なにせアリシアとの婚姻が知らない間に成立していたという事実が突然判明して、俺はかなり混乱しているんだ。

 正直なところ、今は他の娘っ子たちの事にまで回す思考のリソースがない。


「はぁ・・・ハーフエルフの村に行ったら、アリシアのご両親になんて言えばいいのやら・・・」


 数年前に、仕事仲間の奴が付き合っていた彼女を妊娠させてしまい、彼女の親にどうやって〝デキちゃった結婚〟の報告とお詫びに行くかで悩んでいたことがあったのだが、今なら奴の悩みが理解できるような気がするよ。


 気が付いたらいつの間にか娘さんと婚姻していました・・・なんて、アリシアのご両親には言えないよなぁ・・・。


「はぁ・・・」



 レガシィの所まで戻ると、すぐにクリスが連絡用魔導器を使ってロイドに居るマロウさんと移動中の第6騎士団に対して、遺跡の封印が解除できた事を伝えていた。

 こっちはこっちで、遺跡の中からいったいどんな厄介モノが出てくるのやら・・・。


「はぁ・・・」


 俺は、またもや大きなため息をついた。




「レガ子はここに残って、ハンスさんとジャックさんが到着した時に上空のシールドを解除して彼らを招き入れる作業をしてほしい」


「分かったのっ。

 第5騎士団の竜騎兵が着いたら薫さまに連絡するのっ」


 リーゼには当然一緒に来てもらうとして・・・。


「子供たちもここで留守番・・・」


「嫌じゃぞっ! 我は一緒に中へ入るからなっ!」


 子供たちには安全な場所で待っていてもらうと思ったのだが、クリスが猛然と反対してきた。


「いまだ見た事も、聞いた事もない知識があの中に眠っておるのじゃぞ。

 それなのにココで待つだけなどできるわけがないじゃろうが」


 あぁ・・・これはダメだ。

 クリスにとって最大の原動力でもある好奇心が目を覚ましてしまっている。

 留守番の説得ができる気がしない・・・。


あんちゃん、ボクも一緒に行くニャっ」


「わたしも・・・」


 ミャウもアリシアも一緒に付いてくる気満々のようだ。

 こうなると子供たちをココに置いていくのは難しそうだ。


「はぁ・・・

 一緒に連れて行くけど、お前たちは俺の後ろにいて、必ず指示に従う事。

 それだけは絶対に守れよ」


 一緒に行けることになり、喜び合う子供たち。

 こいつら本当に分かってくれているんだろうな・・・。


「レガ子、すまないが遺跡内の探査サポート用にドローンを2機同伴させてくれないか?

 ホバリング飛行ができるから、せまい遺跡内でも活動できるよな?」


「薫さまの存在そのものが無線誘導の中継ポイントになるので、たぶん大丈夫なの。

 もしもドローンそのものがマナになって消えたり、操作不能になった時には、この子レガシィとのリンクそのものが途切れた場合だと思うので、すぐに引き返してきてほしいの」


「それは了解した。

 同伴するドローンは、俺の前方の探査に1機と、最後尾の警戒用に1機で設定しておいてくれ」


「わかったのっ」


「それと、ドローンの操作があるからレガ子にはここで待機してもらわないといけないわけだが、もしも俺たちが遺跡内に入っている最中にハンスさんとジャックさんが到着したら、うまく状況を説明しておいてくれ」


 レガ子に指示を出しながら、俺はイベントリ内に収納している備品リストを検索して、懐中電灯のようなライト類を5個探し出して取り出した。

 形状やサイズはまちまちだが、遺跡内が暗闇だった場合に備えて各自が1個づつ持っておいた方がいいだろう。


「ほうぅ・・・これはライトの魔法が発動する魔導器なのか?」


 少しばかり大きいサイズのLEDライトをクリスに手渡して使い方を説明しているのだが、スイッチを入れてLEDを発光させるとそんな感想を口にした。


「魔法というよりも、コイツレガシィのヘッドライトが暗闇で光るのとほぼ同じ原理だな。

 で・・・だ、この先っぽの部分を回すと、光が収束したり広がったりして照らす範囲や明るさが変化する・・・。

 使い方は覚えたか?」


「うむ、ばっちり覚えたのじゃ」


 クリスに手渡したのは、フォーカスレンズシステムを供えたLED LENSER製のM14Xというモデル。

 たしか2013年頃の製品で、単三電池4本で650ルーメンほどの明るさが出せる。


挿絵(By みてみん)



「お兄ちゃん、私やミャウちゃんのはどう使うの?」


 ミャウに渡した物と色違いのLEDライトを手渡されたアリシアが、使い方のレクチャーをせがんできた。

 二人に渡したのは、OLIGHT製のS2A BATONという小型モデルだ。

 単三電池2本で260ルーメンほどの明るさを出すことができる。

 グリップ部分がシリコンラバー製になっていて、ここの色合いが違う4色が販売されていたが、俺はイエローとブルーの2色を持っていたので、イエローをミャウに、ブルーをアリシアに渡していた。


挿絵(By みてみん)


「二人が持っているのは、ここを押すとライトが光る」


「「わぁ」」


 そう言って、やや先端よりの場所についているサイドスイッチを押してライトをつけて見せる。

 ボタンを押すと先端部が光ったのを見て、アリシアとミャウが同じように感動の声を上げた。

 こいつは全長132mm×ボディ径20mm×ヘッド径23mmとちょっと大きめのペンくらいのサイズなので、子供達でも使いやすいはずだ。


 ちなみに先ほどクリスに渡したLED LENSER製のM14Xは、全長162mm×ボディ径39mm×ヘッド径47mmで、子供の手には少しばかり大きいが、万が一に備えて3人のうち一人には広範囲を明るく照らせて多機能なタイプを持っていてほしかったので、子供たちの中で一番物覚えがよさそうなクリスに渡すことにした。



 リーゼには、STREAMLIGHT製の115 BANDITという、頭部に装着するモデルをすでに渡している。


挿絵(By みてみん)


 リーゼのドジっ子属性を考えると、手に何かを持たせるよりも、頭に付けさせて両手をフリーにさせておいた方が安全ではないかと考えたからだ。

 ちなみにこいつはUSBを使った充電式で、180ルーメンほどの明るさを出すことができる。



 俺は魔銃(H&K USP)にLEDプロライトのアタッチメントを取り付け、さらにコンバットスーツの胸ポケットにACEBEAM製のL16というフラッシュライトをねじ込んだ。


挿絵(By みてみん)


 このACEBEAM L16は本格派のタクティカルライトで、電源には18650型というリチウムマンガン充電地を使用する。

 本体のサイズは、全長155mm×ベゼル直径40mm×ボディ径1インチ。

 明るさはメーカ公称でMAX2000ルーメンもあり、発光部に備えた深いリフレクターによってタイトな配光で中心部の光がかなり明るくなっているのが特徴でもある。


 最後に二つのザックに昼飯用の弁当(朝食と一緒に作っておいた)といくつかの飲料水を分けて入れ、それを俺とリーゼが背負う事で出発の準備を終えた。





 それから約1時間後・・・遺跡内部を慎重に進む俺たち。

 列の順番は、先行偵察用ドローン、俺、ちびっ子3人、幼竜、リーゼ、後方警戒用ドローンだ。


「なぁ、カオル殿」


「どうした?」


「これでは、このライトとかいう道具を持つ必要はなかったのはないのか?」


 遺跡内部は奥に進んでも〝普通に明るかった〟ために、クリスがそんな疑問を言ってきた。

 そうなのだ・・・この遺跡は、俺がいた元の世界に勝るとも劣らない照明設備を有していて、それが今も生きていたのだ。


 通路の天井には半透明系の素材が使われていて、その奥にある発光装置が人の気配を察知すると自動点灯し、通路を明るく照らし出している。


「まぁ、奥までこの調子が続くとは限らないからな。

 今は使う事が無くても、後で役に立つかもしれないだろ?」


「そうじゃが・・・この遺跡は、例の物体の時を停止させて保存する魔法で保護されていたのじゃろ?

 ならば、遺跡の内部は全部がこの状態なのじゃないか?」


「安全のためにも、そうであることを俺も祈りたいよ」


 今のところは、先行偵察中のドローンの分析では、罠やガーディアンのような危険物の報告ははない。

 この先も、このまま無事に進めることを祈りたいものだ。





 まずは施設の1階部分を入り口側から順番に調べてみた。

 いずれの部屋も居住用スペースになっていて、各部屋にはこの世界の今の常識では考えられないような品質のベッドや家具などが備え付けられた。

 部屋数は、2LDKタイプ10部屋、3LDKタイプ6部屋、4LDKタイプ4部屋、6LDKタイプ2部屋だった。

 外からは分からなかったが、この遺跡の床面積はかなり広いようだった。


「リーゼ、天使族の生活水準て、かなり高かったのか?」


「そうですね~

 科学レベルは今の地球世界に劣りますが、魔法学がかなり発達していましたからね~。

 文化レベルでは今の地球世界と比べても遜色ないのではないでしょうか?」


「どうやら、そうみたいだな・・・」


 居住区の部屋の中にあるキッチンと思われる場所に備え付けられていた設備を見て、俺はおもわず感動してしまっていた。

 俺がいた世界とは原理は違うが、そこには料理のためのコンロと水が出るシンク、そして冷蔵庫とと思われる収納BOXが付いていたのだ。


「これは、町が遠くて不便なことに目を瞑れれば、ここに住みたいくらいだな・・・」


 バス、トイレ、キッチン、さらに空調付きの4LDKの間取りの部屋を隅々まで観察してリビングまで戻ると、思わずそんな感想を漏らしてしまった。


「ならば、皆でここに住むか?」


 俺のつぶやきを聞いたクリスが、リビング横の部屋でベッドに腰かけながらそんな提案をしてきた。

 ちなみにミャウはその隣でベッドに潜って寝心地を堪能している。


「いやいやいや・・・さすがにそれはお前の国が許さないだろ?」


「この遺跡を調査・管理するためには、どのみちある程度の人数がここに常駐せねばならぬようになるじゃろう。

 そうなれば、おそらくこの遺跡のすぐそばに常駐のための村を建設せねばなるまい。

 カオル殿が我の夫になれば、ここの調査官になって、ここに居を構えるのも不可能ではないと思うぞ」


 ここに住めるのは魅力的なようにも感じるが、今はレガ子のレベルアップのためにもあちこちを走り回らないといけないからなぁ・・・。


「それにじゃ・・・この遺跡が天使族の物で、子孫に対して残したものであるのなら、アリシア殿が正当な継承者ともいえるじゃろ?

 そのアリシア殿の夫となったカオル殿であれば、この遺跡を引き継ぐ資格が十分にあると思うのじゃが、どうだ?」


「お兄ちゃんとの、新居・・・(ぽっ)」


 クリスの提案を聞いたアリシアが夢見る少女のような表情になって、俺の隣で頬を赤らめていた。


「しかし、王都の役人や国に所属する魔導器製作者クリエイターが黙っていないんじゃないか?」


 これだけのテクノロジーの宝庫だ、いくらお姫様の伴侶候補とはいえ、たった一人の魔導器製作者クリエイターがその設備を占拠したら反感が凄い事になりそうだ。


「それはそうじゃが、なぁ・・・そもそもこの遺跡内の部屋の扉が、カオル殿かアリシア殿でないと開くことができないではないか・・・」


 そうなのだ。

 遺跡内にあった各部屋の扉横の壁には、掌が描かれたプレートが埋まっており、そこに俺かアリシアが触れない限り作動しなかったのだ。


「でもそれじゃ、ここに俺らが住んだら、クリスやミャウ、リーゼの生活が不便になるだろ。

 常に俺かアリシアが一緒にいないと部屋の移動ができないのでは不便極まりないと思うのだが」


「たしかにそうなのじゃが・・・我にとってもこの設備での生活は憧れるものがあってじゃな・・・」


 このメンバーの中では、おそらく自分を律することに一番慣れているであろうクリスにとっても、この場所での快適生活はかなり魅力的に映っているようだ。 

 恐るべし、文明の利器。


「それなら・・・たぶんだけど、遺跡内のどこかに登録情報などを管理する部屋があるんじゃないかしら~。

 そこに行けば、他の娘たちの生体登録が追加できるような気がするのよね~」


「そうなのか?」


「だって、天使族には人間の伴侶が多かったのよ。

 夫以外の人間の登録ができなければ、家族での移住ができないと思うの~」


 ふむ・・その可能性はあるな。


「制御室とかがあるとすれば・・・」


「たぶん下の階の奥の方よね~」


 下の階へと続く階段とエレベーターは先ほど発見していた。

 今は安全を確認するために、ドローンが先行して下の階の調べられる場所(通路とかホールとか)を隅々までチェックしている所だった。


「まぁもう少しすれば、ドローンからの探索結果が送られてくるだろうから、下の階を探すのはその後だな」


 そう言って俺はリビングに備え付けられていた、座り心地の良いソファーに腰かけた。

 俺が座ったのを見て、アリシアもその隣に腰かける。


 遺跡を外から見ていれば分かる事だったが、この遺跡の各部屋には窓が無かった。

 その代わりに、壁に設置された窓枠のような囲いの中には、どういう仕組みなのか分からないが、外の景色が映像として映し出されていた。


「窓を開けて外の空気を入れられないのが、この居住施設の唯一の欠点かな・・・」


 そんなことを思いながらソファーのひじ掛けを探っていると、レバーと思わしき突起物があったのでそれを引いてみた。

 するとソファーの背もたれが無段階でリクライニングして、最後にはソファーベッドに変形した。


「こんなところまで似ているとはね・・・」


 アリシアと一緒にベッド化したソファーに寝転がりながら、そんなことを考えて苦笑いするのだった。




******************************************



今回の獲得ポイント(レガシィの経験値基準)


●移動走行距離ポイント:0ポイント


●撃破ポイント

 〇なし


●消費ポイント

 〇ドローン生成(追加分):-2ポイント(-1ポイント×2機)


現時点での総ポイント数:1万4430ポイント

(1万8500ポイント到達でレベル15へ昇格)

(1万3700ポイント到達のためレベル14へ昇格確定・未実行)


※レガ子の獲得ポイント:レガシィの経験値基準から-88ポイント

 (武器クリエイトやドローン生成などによる消費分など)

 (1万3700ポイント到達のためレベル14へ昇格確定・未実行)


※主人公の獲得ポイント:レガシィの経験値基準から-60ポイント

 (装備クリエイトによる消費分など)

 (1万3700ポイント到達のためレベル14へ昇格確定・未実行)



レガ子「お留守番担当だから、もしかしてこの先はあまり出番がないかも・・・なのっ!」


クリス「しかし、天使族はどれだけ豊かな生活をしていたんだ?」


薫「部屋の設備を見ると、現代の日本とあまり変わらない文化レベルだよな」


リーゼ「でも、薫さまの世界にあるテレビやパソコンの類が見当たりませんね」


薫「映像系の娯楽が発達しなかったのかな?」


レガ子「ということは、ここには当時モノのエロゲやアニメは保管されていないのっ」


リーゼ「変態大国大日本を脅かす文化なんて、異世界にもそうそう生まれないのよね~」


アリシア「お兄ちゃんの故郷って、そんなに凄い変態さんばかりだったの?」


薫「ソンナコトハナイトオモウヨ・・・」


ミャウ「兄ちゃん、思いっきり目をそらしているのニャ」

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