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第2章 第20話(第66話) ~遺跡探索 その2・婚姻の証~

この遺跡探索のお話は、ちょっと長く続きそうな感じになっちゃいました。

たぶん、最低でも4回~5回の分割になるのではないかと・・・(汗)。


その分、この遺跡のお話しでいくつかの伏線を進展させる予定でいます。

 石畳の横でしゃがみ込んている俺の前で、アリシアが恐る恐るといった感じで石畳の上に足を運んでその上に立つが、遺跡には全く変化が見られない。


「あ~ハズレかぁ。

 ちなみにアリシア自身は気分が悪くなったり、変化はないか?」


「うん、平気だよ。お兄ちゃん」


「とりあえずアリシアの身に問題が起きていないのなら、まぁ良しとするか・・・うぉっ!」


 足元を見ずに「次はどこを調べようか」などと考え事をしながら立ち上がったのがいけなかったのか、足を置いた場所にあったコケを踏んで滑ってしまい、踏みとどまることができずにアリシアの方へと倒れ込んでしまった。


「きゃっ!」


 おれの身体がぶつかったことでよろけたアリシアが、自分の身体を支えるために入り口の左横にあった腰くらいの高さで折れたままの石柱の上に手を置いた。

 その瞬間、石柱の表面が大きく輝きく輝きはじめた。




 身体を支えていた柱が突然発光したことに驚いてしまい、柱から手を離してしまったアリシア。

 それにより身体を支えるものが無くなってしまい、俺と一緒に後ろに倒れ込んでしまった。

 そして俺も、発光した柱に気を取られてしまったことで体勢を立て直すことができずに、アリシアに覆い被さるように倒れ込んでしまった。


「「痛たたた・・・」」


 折り重なって地面に倒れた俺とアリシア。

 そんな俺たちに、周囲の女性陣から生暖かい視線が注がれていることに気が付いた。


「「「「ニヤニヤニヤ・・・」」」」


 俺の下敷きになってしまったアリシアに目を向けると、若干だが顔が赤くなっていた。


「お・・・お兄ちゃん、手が・・・」


 うん?

 手?


 アリシアにそう言われて、無意識に手を動かしてしまった。


「ひゃん!

 だ、ダメっ・・・」


 え?

 この反応は、まさか・・・。


 恐る恐る自分の手の位置を確かめてみると、俺の手はしっかりとアリシアの小さな胸のふくらみの上に置かれていた。


「薫さまは、まだまだラッキースケベのレベル上げが足りないのっ。

 服の上から胸を揉むのなんて、初期レベルのラッキースケベスキルなのっ」


「そうですよね~~。

 薫さんの故郷で某人気漫画作品に出てくるハーレム王さんなんか、女の子にぶつかって一緒に倒れた一瞬で、服の中どころかパンツの中にまで手を突っ込んで、さらにはスマホのカメラ機能まで立ち上げていたりしますからね~~」


 おい、こら、まて。

 なんで俺がそんなラッキースケベの神様みたいな奴と張り合わないといけないんだよ。


「すごい御仁が、この世の中には居るものなのじゃな・・・」


「それは神業ニャのっ」


 レガ子とリーゼが呟いた俺に対する理不尽すぎる評価に、何も知らない子供たちが感心したような言葉を漏らした。


 いやいやいや・・・り〇さんは漫画に出てくる空想上の人物だからな。

 女子と一緒に転んで、あんなすごい体位になるわけ実際はないからっ!


「ところでカオル殿・・・」


「なんだ?」


「いつまでアリシア殿の胸を触っておるつもりじゃ?」


 クリスに言われてアリシアに覆いかぶさった体勢のままだったことを思い出し、慌てて飛び退く。

 身体を押さえ込んでいた俺の存在が無くなったことで、アリシアはようやく体を起こしてその場に座り込んだ。

 その顔は恥ずかしさからなのかかなり赤くなっていて、目には涙も浮かべていた。


「え、えっと・・・アリシア、いろいろゴメン・・・。

 怪我とかはしていないか?」


 かなり気まずい思いをしながらアリシアに近づき、地面に座り込んでいた彼女に手を差し伸べて起き上がらせた。


「うん・・・大丈夫、怪我は・・・していないよ、お兄ちゃん」


 伏し目がちに答えるアリシアに対して、恥ずかしさから握っていた手を放そうとしたが、アリシアが俺の指を掴んだまま離れてくれなかった。

 そして何かを決意したように真剣なまなざしで俺の方を見上げた。


「あ、あのね、お兄ちゃん」


「どうかしたか?」


「お兄ちゃんが触りたいのなら・・・アリシアはいつでも大丈夫だからっ」


「ぶっ(ゲホンゲホン)」


 突拍子もないアリシアの申し出に驚いて、思わずむせるように唆き込んでしまった。

 

「少しだけ恥ずかしいけど、お兄ちゃんなら我慢できるし・・・嬉しいから」


 顔を赤らめながら、必死にそんなことを言うアリシア。

 うん、すっごく可愛いじゃないかっ。

 この表情はスマホのカメラに納めて、待ち受け画面にしたいぐらいだ。


〝カシャッ、カシャッ〟


 そう、そんな感じのシャッター音を鳴らしながら・・・・って、え?


 音の鳴った方を見てみると、レガ子が操作するドローンがすぐ近くでホバリングしながら、俺とアリシアの姿を撮影していた。


「さっきのラッキースケベの現場も含めて、薫さまとアリシアちゃんの甘酸っぱい一コマはきちんと記録しておいたのっ」


 えっ?


「すばらしいわ~レガ子ちゃん!」


 リーゼも調子に乗ってレガ子を囃し立てるなっ!


「これは〝事案発生〟と題して、添付画像付きで久美さまに一報を入れないといけないと思うのっ」


「ちょっと待てぇぇぇぇっ!」


 そんな画像を義妹に送られたら、俺のメアドにアイツからの罵詈雑言がまた飛んでくるじゃないかっ。

 慌ててレガ子に駆け寄り阻止しようとしたのだが、「もう、送信完了なの」の一言で俺は地面に膝をついて項垂れるのだった。


「なぁ、レガ子・・・」


「薫さま、なんですか?」


「最近、俺の扱いが厳しくなっていないか?」


「だって薫さま、ここ数日の間でレガ子の知らないところで他のメンバーとフラグ建てまくりなの。

 まるで一級建築士状態なのっ。

 なので、少しだけお仕置きなのっ」


 あぅぅぅ・・・クリスとのファーストキスや、リーゼとのセカンドキスとか、身に覚えが有りすぎて反論ができない・・・。

 この世界に飛ばされた直後の、素直で純情な頃(ネコを被っていたみたいだが)のレガ子が懐かしい・・・。


「ところで、クミ殿とはいったい誰なのじゃ?」


 レガ子の前でガックリとうなだれている俺に近づいてきたクリスが、先ほどの会話に出てきた義妹について尋ねてきた。


「久美さまは、薫さまの妹さまなのっ」


「おいくつの方なのだ?」


 義妹の年齢を尋ねられたレガ子が、俺の方を見た。

 どもやらこの八百万の神様は、持ち主の家族の年齢を覚えていなかったようだ。


「今18歳だな」


 義妹の年齢を答えながら、受験勉強で頑張っているであろう義妹の姿を思い浮かべる。

 大事な時期に、こんな兄が行方不明になって迷惑をかけていると、かなり心苦しいものがある。


「わぁ、わたしと同い年なんだね。

 もしお兄ちゃんと一緒になったら、アリシアの義妹になるんだ・・・会ってみたいなぁ」


 え?

 久美がアリシアの義妹?


 あぁ・・・そういえばアリシアの実年齢は久美と同じ18歳だったよな。

 見た目が10歳児くらいだから、すっかり忘れていたよ。

 しかし久美の奴がアリシアの事を「お姉さん」とか呼ぶ様子が全く想像できないぞ。


 あ・・・あれ?

 もしも・・・もしもだけれど、俺がクリスやミャウと結婚したら、久美の立場ってどうなるんだ?

 やはり相手が10歳児だったとしても、兄の嫁さんだからクリスやミャウの事を「お姉さん」と呼ぶのか?


 そんなくだらない(?)事を考えていると、胸ポケットに入れていたスマートフォンからメール着信音が鳴った。

 受信画面を見てみるとその義妹からのメールで、本文の欄には『犯罪者!変態!ロリコン!通報したからさっさと死ね!!』という、それもう見事ほどの辛辣な言葉が並べられていた・・・。





「で・・・さっき俺とアリシアが倒れた時、そこの柱モドキが一瞬光ったように思うんだが?」


 いつまでもラッキースケベのネタで盛り上がられても(俺が)困るので、ちゃっちゃと話題を変える事にした。


「たしかにほんの数秒だけ光りましたね」


「レガ子も光っていたのを見たのっ。

 たぶんドローンの記録映像にも光っている瞬間が残っているはずなのっ」


 俺の疑問に、レガ子もリーゼも同じ現象を目撃していたことを教えてくれた。

 また、クリスやミャウも柱モドキの発光現象をきちんと見ていた。


「とりあえずドローンの録画を確認してみるの」


 レガ子がそう言うと、俺のスマホに動画データが送られてきたので再生してみることにした。

 俺が転んだ瞬間やアリシアを押し倒した瞬間に、妙なBGMや効果音が入れられていたが、とりあえず無視することにした。

 レガ子め・・・あとで絶対にお仕置きしてやるからな・・・。


 問題の発光現象は、倒れそうになったアリシアが柱モドキの上に手をかけた瞬間に始まり、手を離した途端に収束しているのが分かった。

 ということは・・・あの柱モドキが入り口の障壁解除に関して何らかの役割を担っていると考えた方がいいのかもしれない。


「アリシア、すまないがあの石の上にもう一度手を置いてみてくれないか?」


 遺跡入り口の左側にあった柱モドキの前にアリシアを連れて行き、そうお願いしてみる。

 仕掛けの前に立ったアリシアの表情は、少し怯えているようにも見えた。


「お兄ちゃん、反対側の手・・・握っていてくれる?」


「うん、わかった」


 俺が頷いてアリシアの右手を握ると、アリシアは深呼吸をしてから意を決したように左手を柱モドキの上に置いた。

 その瞬間、先ほどと同じように柱モドキが光りはじめた。

 そしてその光は床の石畳の敷き目に沿って広がると、入り口の右側にもあった柱モドキへと到達。

 今度は右側にあった柱モドキが点滅し始めた。


「これは・・・こっちの柱の上にも手を置けという事なのじゃろうか?」


 クリスがそんな分析をしながら、点滅していた右側の柱モドキに自分の手を置く。

 しかし遺跡の入り口に変化の兆しは現れなかった。


「やっぱり、こっちも天使族かエンシェント・エルフじゃないとダメなのかしら~」


 クリスの試みが失敗したのを見たリーゼがそんな事を言った。

 そうは言ってもアリシア以外にエンシェント・エルフは居ないし、柱間の距離があるため、アリシアが両方の柱に触れることは物理的に不可能だ。


「もしかしたら、この遺跡の仕掛けを解除するには二人以上の同族が必要なのかもしれんな」


 クリスがそんな事を言いながら考え込んでいると、今度は遺跡の入り口・・・問題の障壁の表面に背中に羽をもった人間のシルエットが浮かび始めた。

 おそらくこのシルエットが、かつてこの世界に居たという天使族の姿なのだろう。

 そして、そのシルエットの前に、長めの文章が浮かび上がった。


「これは~~天使族が使っていた文字ですね~~」


 その文章を眺めたリーゼが、文章に使われていた言語を言い当てた。


「リーゼ殿は、古代文字が読めるのか?」


「これくらいの単純なものなら、なんとかよめますよ~」


「なんて書いてあるのじゃ?」


「う~~ん・・・〝予言されていた大災害を生き延びた子孫のために、我らの英知をココに残す。子々孫々までつながる証を柱の前に立てよ〟と書いてありますねぇ~」


 どういう意味だ?

 これでこの遺跡が天使族が残した遺産であることは、ほぼ間違いない。

 メッセージの内容から予測すると、彼らは何らかの手段で、近い未来に起きる(リーゼのミスが原因の)大災害を予知していたのだろう。

 そして大災害を生き延びた同族のために、再興のための技術をココに封印していた・・・。


「となると、この〝子々孫々までつながる証〟というのがカギ・・・なんだろうな」


 俺が呟いた推測を聞いて、クリスがまた何やら考え込んだ。


「たぶんじゃが、この先も一族が続いていく〝証拠〟のようなものを、この場に示さないといけないのではないじゃろうか?」


「というと?」


「夫婦の天使族が揃って柱に触るのでは・・・と思うのじゃがどうだろうか?」


「なるほどね・・・そうだとすると、これは完全に手詰まりなんじゃないか?

 この場にエンシェント・エルフはアリシアしか居ないし、男性のエンシェント・エルフの知り合いもいないだろ?」


「お兄ちゃん・・・わたしお兄ちゃん以外の男の人と夫婦になるのは嫌だよ・・・」


 俺とクリスの会話を聞いていたアリシアが涙目でそんなことを訴えてきた。

 なんだろう・・・ちょっと嬉しいぞ。


「う~~ん・・・手詰まりそうともかぎりませんよ~」


「どういうことじゃ?」


 俺たちが諦めかけていた時に、リーゼが〝まだ方法はありますよ〟的なことを言い出したので、クリスがリーゼに詰め寄った。


「あのね~、かつてこの世界にいた天使族は男性の出生比率がものすご~く低かったの。

 だから人族との婚姻も結構多かったんだよ~」


 そうクリスに説明すると、リーゼは今度はアリシア近づいて、アリシアの服の首後ろ部分を引っ張り、アリシアの背中を覗き込んだ。

 突然背中を覗き込まれてアリシアが小さな悲鳴を上げた。


「あっ、ゴメンねアリシアちゃん。

 この背中の突起の赤い色は、薫さんの血が原因で間違いないのよね?」


「うん・・・

 お兄ちゃんと出会った最初の夜にわたしの力が暴走しちゃって、その時にわたしを助けるためにお兄ちゃんが後ろから抱きしめてくれた時に、怪我をしたお兄ちゃんの血がついてこうなったらしいの」


「なるほどねぇ~~」


 アリシアの説明を聞いたリーゼが一人で何かを納得したように何度も頷くと、やがて俺の方を見てニヤリと笑った。


 あっ・・・なんかとても嫌な予感がするぞ・・・。


「かつての天使族は、人族との婚姻の時には、伴侶となる男性の血を背中にある羽の根元に吸わせて婚姻の証にしていたのよね~」


 えっ?


「まぁ、伴侶の情報をDNAレベルで取り込んでいたみたいなんだけど~~。

 この感じだと、アリシアちゃんと薫さんの婚姻の儀式はたぶん済んでいるとおもうな~」


「「「「「ええっ!!」」」」」


 リーゼが口にした推測に、全員が驚きの声を上げてフリーズした。


「お・・・お兄ちゃんと夫婦・・・(ぽっ)」


 アリシアがそんな事を言いながら赤くなったのを見て、俺のフリーズが解けた。

 そして周囲を見渡すと、リーゼ以外の女性陣が俺を取り囲み冷たい視線を向けていた・・・。


「薫さまっ、後できっちりお話しさせてほしいのっ!」


「カオル殿、我は婚姻の順番はこだわらないからな!」


あんちゃん、ミャウも・・・ミャウもあんちゃんと結婚するのっ!」


 そして全員がなぜか涙目だった・・・。


 この修羅場・・・俺にどうしろというんだ?

 助けを求めるように視線をリーゼに向けると、ポンコツ女神様は幼竜を抱きながら「あらあらあら~」と楽しそうに微笑んでいるだけだった。

 この役立たず・・・。



「とりあえず、薫さんは反対側の柱モドキに触ってみたらどうかしら?」


 この気まずい雰囲気から一刻も早く逃げ出したい俺は、リーゼに言われるまま、遺跡入り口の右側にあった柱モドキの上に手を置いた。

 すると、入り口の障壁が一度だけ大きく発光し、そこに浮かんでいた天使族のシルエットが祝福するかのように手を振る動作をした直後、その障壁・・・遺跡に充満していた高密度のマナが霧散していった。

 そうやら、遺跡の仕掛けが俺とアリシアが夫婦関係であると認識したようだ。


 遺跡の仕掛けが解けたことよりも、アリシアとの関係をこの後どうしようかと悩んでいた俺は、隣でアリシアが「お兄ちゃんと夫婦になれた♪」と小さなガッツポーズを作っていたことなど、全く気が付かなかったのだった。


アリシア「キャッ♪ お兄ちゃんのお嫁さんになっちゃったっ♪」


薫「・・・・・(汗)」


レガ子、クリス、ミャウ「「「ジーーーーーッ」」」


薫「・・・・・・(滝汗)」


レガ子「事案なのっ! 久美さまに通報しましたなのっ!」


リーゼ「本作品に登場するアリシアちゃんは、見た目はともかくとして18歳以上です。なので地球世界の法律には抵触しません♪」


作者「なんでエロゲの前説みたいなことをしているのやら・・・」


リーゼ「あれ? そういえば作者さんも結婚した時は奥さまは幼な妻じゃありませんでしたか?」


作者「ゲホンゲホンゲホン・・・(汗)」


レガ子「どいつもこつもロリコンばっかりなのっ!」


作者、薫「「・・・・・・すみません・・・・・」」

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