第2章 第5話(第51話) ~ジェネラル種~
仕事などが忙しくて不定期更新などと言っておきながら、2日続けての最新話数アップです(汗笑。
せっかくの連休なのに愛車がないためにやることが無いんですよね・・・。
愛車があれば出かける休日取材なども、全部やる気が起きないので休み明けに投げちゃったし(ぉぃ。
なので、今日はひたすらラノベを書いていたら、もう1話分完成しちゃいました(汗。
まぁ、その分・・・連休明けの仕事はハードになりそうなんですがね・・・(汗。
とりあえずまだ私生活の先が読めないので、更新ペースは不定期のままとさせていただきます
ダモン隊長が敵の正体に思い当たることがある様子を見せた時、煙の中からその敵が姿を見せた。
見た目はどちらもオークとゴブリンなのだが・・・・
その体躯が通常のやつの3倍くらいとデカいっ。
「ジェネラル種か・・・やっかいだな」
その敵の姿を見てダモン隊長が額に流れた汗をぬぐいながら呟いた。
「オーク・ジェネラルにゴブリン・ジェネラル・・・こっちの世界にはこういった上位種も実在するわけか・・・」
ジェネラル種が放つ威圧感に、これまでの敵からは感じることができなかったプレッシャーを感じ、俺は魔獣のグリップを強く握りなおした。
オークとゴブリン、それぞれのジェネラル種は足元に通常サイズの同族を2匹ずつ従えていた。
「やっぱ最後はステージボスが出てこないと戦闘が終わらないという事か・・・」
一番簡単な倒し方は、レガ子に絨毯爆撃を頼むことだが、さすがに距離が近すぎて不可能だ。
こんなことなら、さっきレガ子に花火をケチるような指示を出すんじゃなかったな・・・。
敵陣に生命反応が残っていたら全力爆撃・・・とかいう指示にしておけばよかった。
「ダモン隊長・・・ジェネラル種とやらの特徴や戦闘力は?」
「通常種よりもかなり力が強くて固いということしか自分も知りません。なにせ我が国はオークやゴブリンとの戦闘がほとんど起きませんから」
ということは、戦いながら敵の戦力や倒し方を探るしかないか・・・。
「ダモン隊長は右のゴブリン・ジェネラルをお願いできますか? 俺は左のオーク・ジェネラルをやります」
「わかった。マイク、ハンス、トム、ベックのチームはカオルさまのサポートを!
ジャック、トニー、サム、リックのチームは一緒にゴブリン・ジェネラルをやるぞ!
残りの騎士らには、雑魚の処理を任せた!」
ダモン隊長の指示で騎士たちが動き、俺の周りには4組・8人の騎士が援護についた。
「みんな悪いな・・・集団戦闘の訓練は受けたことがないんだ。なので隊長さんのような上手な連携は期待しないでくれよっ」
そう皆に伝えながら構えた魔銃のトリガーを引きオーク・ジェネラルの頭から腹にかけて5発の火炎弾を撃ち込む。
しかし直撃を与えたもかかわらず、オーク・ジェネラルにはほとんどダメージが通っていないようで、その皮膚を若干焦がしただけに終わっていた。
まぁ炎への耐性が強くなければ、あのナパームの地獄で生き残っていないよな・・・。
が、そんな攻撃でもオーク・ジェネラルに隙を作るのには有効だったようで、火炎弾の爆発でわずかによろめいた瞬間を狙って騎士全員がその懐に飛び込んでいた。
「婿殿に連携は期待していませんのでご安心を」
「期待しているのは、その破壊力と瞬発力ですから」
「婿殿の攻撃の合間にこちらが合わせますので、お好きなように攻撃してください」
「あ、でも我々を巻き込む攻撃は勘弁してくださいねっ」
それぞれが好き勝手なことを言いながらオーク・ジェネラルに剣を振るうが、その皮膚に浅い切り傷を入れたくらいのダメージしか与えられない。
オーク・ジェネラルの皮膚はそれほどまでに固いのか?
それとも、何者かに〝強化〟の措置でもされているのか・・・。
そんなことを考えながら俺は魔獣のマガジンを黄色い魔力結晶が詰められたものへとチェンジした。
炎への耐性が強いというなら、雷への耐性はどうなのか探ってみようということだ。
オーク・ジェネラルが手にしている武器・大斧を振り上げたのを見て、騎士たちが盾を構えながらその懐から一時離脱する。
その瞬間を狙って魔銃のトリガーを引き、今度は雷撃弾をオーク・ジェネラルに撃ち込む。
魔銃から放たれた3発の雷撃弾は、すべてオーク・ジェネラルに直撃し、顔面、胸、下腹部に強烈なスパークを生み出していた。
「婿殿が持つその武器は、魔法の属性を変えられることができるのですね。素晴らしい」
「ぜひ騎士団にも配備してもらいたいですね」
「トムは魔法適正がないんだから、配備されても使えないと思うけどねっ」
「なにより我々騎士は、剣で戦ってこそ男の価値がきまるんですから」
オーク・ジェネラルから飛び退いた騎士たちは、思い思いの軽口を吐きながら第2撃を入れるべく体勢を立て直し、電撃のスパークが消えた直後のオーク・ジェネラルに突進しすれ違いざまに剣を薙いだ。
しかし今回の攻撃もオーク・ジェネラルには大きなダメージを与えることができず、雷撃弾は一時的に動きをマヒさせたものの皮膚の表面を焦がしただけに終わり、騎士たちの剣戟も皮膚を浅く切っただけだった。
「魔銃は一点物なんで諦めてくれ。
というか、こいつ固すぎないか?」
「たしかに変ですね、しかもこちらが与えた傷が少しずつですが治っていっています」
騎士の一人が発した言葉を聞いて改めてオーク・ジェネラルを観察してみると、たしかに剣で切られた傷や魔銃からの魔法攻撃で焦げた皮膚の表面が、徐々にではあるが修復されていることに気が付いた。
また周囲の状況を見れば、このオーク・ジェネラルだけが異常に固いわけではなく、ゴブリン・ジェネラルや一緒に現れた4体の通常個体までもが異常なほどの防御力を持っており、それぞれに対峙している騎士らが攻めあぐねていた。
この状況は、どう考えても異常だ。
「レガ子、俺たちが戦っているこいつ等をドローンでスキャンして、おかしな点がないか探ってみてくれ」
これは魔法的な付加能力が関与していると感じ、念話でレガ子に分析の指示を出す。
「今こいつ等の能力をうちの精霊に分析させている。
分析結果が出るまでは、とりあえず無謀な攻撃を避けて牽制に徹しよう」
さらにオーク・ジェネラルが振り回す大斧の攻撃を避けながら交差する騎士らにそう伝達していく。
「柔らかい部分などの弱点とかが分かると嬉しいのですが・・・」
俺と肩が触れた騎士が率直な感想を伝えてきた。
たしかベックさんだったかな?
普段から肉体的にも精神的にも鍛えている騎士様でも、剣がほとんど通らない相手に辟易し始めている様子だ。
しばらくオーク・ジェネラルの攻撃を躱し続けていると、待ちに待った分析結果が念話で飛び込んできた。
そして同時に俺の視界の中に、オーク・ジェネラルのシルエットに重なるように情報ウィンドが展開される。
「薫さまの視界にも結果を転送してるの。
結論を言えば、この豚・・・生意気にも体の表面に治癒効果付きの防御フィールドを常時展開していやがるのっ」
「ちっ、やっぱりか。
どこか柔らかい部分とかは残っていないか?」
「この子や薫さまが使う防御障壁に比べれば柔いフィールドだけど、それでも剣や魔法攻撃で大ダメージを与えるのは難しいと思うの。
しかも全身をすっぽりと覆っているのでから、隙間がないのっ」
くそっ、弱点無しかよっ。
レガ子の報告を聞いて少し焦りを感じていると、さらにレガ子からの報告が続いた。
「なので・・・フィールドの発生源を壊しちゃえば問題解決なのっ!」
「それを先に言えっ!」
思わず発してしまった俺の大声に、周囲の騎士たちが一瞬こちらを見た。
「で、その発生器はどこにあるんだ?」
ここから離れた場所に在ったりするとちょっと厄介なんだが・・・。
「その豚ども、首の部分に豚には贅沢すぎる魔石飾りをつけているのっ。
それが周囲に満ちたマナを防御フィールドに変換する魔導器になっているのっ」
レガ子の言葉を聞いてオーク・ジェネラルの首のあたりに目を移すと、たしかにそこには黒光する大きな宝石がついた首輪のようなものが付いていた。
あれかっ!
「レガ子でかしたっ。
ただ、言葉遣いが下品になっているから、そこはあとで説教だ」
レガ子から「うぐぅ」とかいう、まるでどこかの駄女神さまのようなうめき声が返ってきたが、今は無視することにする。
「首だっ! 首につけている魔石が防御魔法を生み出している魔導器だっ!」
周囲の騎士らに伝わるように大声で叫び、魔銃の銃口をオーク・ジェネラルの首に定めてトリガーを引いた。
すると今まではノーガードで攻撃を受けていたオーク・ジェネラルが、手に持った斧で雷撃弾を防いで魔石を守る行動を取った。
「婿殿!ビンゴですね!
あそこだけ守りの動作をするという事は、アレは我々の攻撃で壊せる証拠だと思います」
隣にいたマイクが俺の肩を叩いて親指を立てていた。
別の戦場では、俺のアドバイスを聞いてこっちの状況を見ていたダモン隊長が各騎士らに首飾りを壊すよう指示を出していた。
通常タイプのゴブリンやオークに対応していた騎士らは、比較的簡単に首飾りを破壊できたようで、すでに防御フィールドを無効化することに成功していた。
しかし体躯がわれわれ人間よりも大きなジェネラル種は首の位置が人間の身長よりも高い場所に在るため、破壊するための攻撃にどちらの部隊も苦戦していた。
「まずは、防御させないようにあの両腕の自由を奪わないといけませんね」
「我々が左右から攻撃を仕掛けますから、婿殿は敵の両腕が防御で塞がった隙に首飾りへの魔法攻撃をお願いします」
そう告げるとマイク、ハンスのチームがオーク・ジェネラルの右手側に、トム、ベックのチームが左手側へと散開していった。
タイミングを合わせ、左右から同時に剣戟を開始する騎士ら。
対するオーク・ジェネラルは、その攻撃を防御魔法で強化された腕で受け止める。
両腕が剣への対処で塞がった隙に魔銃を撃って雷撃弾を放つが、ほぼ無敵ともいえる防御力を持ったオーク・ジェネラルは、自身の身を屈めるなどして雷撃弾を顔面で受け止め、首飾りへの直撃を防いでいた。
「ちっ、埒が明かない」
首飾りへの攻撃をなかなか許さないオーク・ジェネラルに対して、騎士たちの焦りが出始めていた。
そしてその焦りや苛立ちは攻撃を受け続けていたオーク・ジェネラルも同じだったようで、周囲の物体を震わせるような大きな雄たけびを上げると、一切の防御を捨てて大斧を両手で構え、全力で地面に打ち付けた。
衝撃によって大きく抉り取られた地面から、大小さまざまな大きさの岩石が四方に飛び散る。
鉄壁の防御魔法がかけられているオーク・ジェネラルにとっては飛んでくる岩石など痛くもないだろうが、周囲にいた騎士たちは普通の人間だ。
一定以上の大きさの岩石が直撃すれば大ダメージを負ってしまう。
そして、オーク・ジェネラルが地面に大斧を打ち付けた瞬間に攻撃動作に入っていたハンスの太もも分部に、子供の頭部ほどある大きな岩石が直撃。
その衝撃で弾き飛ばされたハンスが地面に倒されてしまった。
「ぐぁぁぁっ」
岩石が直撃した左腿に手を当てうめき声をあげるハンス。
足の骨にダメージを負ったのか、立ち上がすことができずに地面に倒れたままだ。
そんな格好の獲物をオーク・ジェネラルが見逃すはずもなく、ハンスにとどめを刺すべく地面に突き立てた大斧を抜く動作に入った。
まずいっ!
「ハンスっ、下がれっ!
誰でもいい、ハンスを引きずってでもこいつから遠ざけろっ!!」
周囲の騎士らにそう叫びながら首飾りの辺りを狙って魔銃を連射ながらオーク・ジェネラルに向かって走り出す。
別に首飾りを破壊するのが目的ではない。
この攻撃で防御態勢に入ってくれれば、ハンスへの攻撃が遅れたり中断したりすることを期待しての連射だ。
マガジン内の残弾を撃ちつくした魔銃を走りながらホルスターに納め、魔力を込めて抜いた紅雨をその勢いのままオーク・ジェネラルの腹めがけて投げつけた。
極大の魔量を纏って炎の槍と化した紅雨がオーク・ジェネラルを覆っていた防御フィールドを突き破り、そのメタボな腹に突き刺さる。
今まで大きな手傷を負ったことがなかったオーク・ジェネラルは、腹に深々と刺さった紅雨に驚き、振り上げた大斧を止めた。
その動きが止まったわずかな間に、俺がハンスとオーク・ジェネラルの間に割り込み、近くにいた騎士二人がハンスの両脇を抱えて後退の準備に入っていた。
腹に刺さった紅雨と俺を交互に見ていたオーク・ジェネラルは、やがて怒りの形相を見せ、咆哮をあげながら振り上げたままにしていた大斧を俺めがけて振り下ろしてきた。
「婿どの、避けてください!」
「丸腰では無茶です!」
周囲の騎士から悲鳴にも似た指示があがったが、今ここでこの攻撃を避けてしまえば、後ろで倒れているハンスが大けがを負ってしまう。
であれば、俺がすべきことは避けるのではなく〝受け止める〟ことだ。
両手にはめた魔力制御グローブに魔力を集中させ、オーク・ジェネラルとの間の空間に〝見えない防御盾〟を展開する。
勢いよく振り下ろされた大斧は、まるで空気の壁に当たったかのように空中の一点でピクリとも動かなくなっていた。
「俺が防御結界を張って防いでいるうちに、ハンスを下げろっ!」
攻撃が何もない空中で妨害されているという予想外の出来事にハンスを救出していた騎士らの動きが止まっていたが、俺の声で我に返り大急ぎでハンスを引きずり後方へと下がっていった。
その間もオーク・ジェネラルは怒り狂ったかのように大斧を連続で振り下ろし、何もない空中を叩いている。
オーク・ジェネラルのそばには俺やハンスの救出に駆けつけた騎士たちが駆けつけており、オーク・ジェネラルの意識の矛先を自分らへと変えるべく斬りつけているのだが、そっちを全く見ようともしない。
どうやらあのメタボ腹に剣を突き刺された事がかなり頭にきていて、完全に冷静さを失っているようだ。
数度にわたる大斧の攻撃を受けながらビクともしない自分の防御結界に、さきほどレガ子が言っていたある言葉が蘇ってきた。
『薫さまが使う防御障壁に比べれば柔いフィールドですが・・・』
防御フィールドとしての強度は俺の方がかなり上・・・ということは・・・
以前の失敗の記憶からある作戦が思い浮かんだ俺は、オーク・ジェネラルが大斧を振り上げようとした瞬間を狙って、その作戦を実行に移した。
「前は振り下げた時に使ったから俺も怪我をしたが、これならばっ!」
オーク・ジェネラルが大斧を振り上げて腕を大きく上げた瞬間、展開していた防御シールドを消去し、オーク・ジェネラルの肘関節辺りを狙って再展開した。
ヒュン。
風切り音を残してオーク・ジェネラルの右腕が大斧と一緒に後方へと飛んで行く。
肘から先の右腕が突然消えたことに驚くオーク・ジェネラル。
その切り口は鋭利な刃物でスパッと切り取られたかのように、肉や骨がきれいな凹凸のない断面として露出していた。
オーク・ジェネラルが纏っていた防御フィールドよりも俺が展開する防御シールドの方がはるかに強度が高いため、敵の防御フィールドを俺の空間断層型の防御シールドが遮断し、大斧を握っていた腕をその断層で切り離したのだ。
理解不能なダメージを負って、オーク・ジェネラルが呆気に取られていたこの瞬間が大きなチャンスだった。
その大きな隙を使って一気にオーク・ジェネラルへと駆け寄り、腹に刺さったままのの紅雨の柄をステップ代わりして飛び上がると、魔力制御グローブに圧縮した魔力を練り上げ、それを拳に乗せて首飾りの魔石に叩きつけた。
「今の魔法トレンドは〝物理〟なんだよっ!」
自分でも何を叫んでいるのかと呆れるところではあるが、まぁ、元いた世界の魔法少女アニメのトレンドが〝物理〟に流れつつあった事への鬱憤が出てしまったようだ。
何を隠そう、俺はどちらかといえば〝魔法少女=魔砲〟派の人間なのだ。
凝縮された魔力の塊を叩きつけられて、オーク・ジェネラルの首飾りにあった魔石が砕けた。
喉の部分に強烈な一撃を受け、せき込みながら片膝をつくオーク・ジェネラル。
俺は地面への着地と同時にオーク・ジェネラルの腹に突き刺さっていた紅雨を引き抜いた。
「防御魔法が消えたぞっ!」
俺の報告に合わせて周囲の騎士らが一斉にオーク・ジェネラルへ剣を突き立てる。
そして騎士らの剣によって四方から串刺しにされたオーク・ジェネラルは、そのまま前のめりに地面へ倒れ絶命した。
こちらの戦闘が片付いたのを確認し、ダモン隊長らが戦っていたゴブリン・ジェネラルの方へと視線を向けると、あっちもちょうど決着がついたところのようだった。
ダモン隊長の剣によって首を刎ねられたゴブリン・ジェネラルの首なし巨体が、夕焼けに照らし出された大地へと倒れていくところだった。
これで今度こそ本当に戦闘終了だ。
一気に疲労感が襲ってきた俺は、その場に大の字になって寝転がった。
レガ子「ハンスさんの死亡フラグが寸前のところで回避されたのっ」
作者「あの死亡フラグ・・・回収するか、折るかで結構悩んだんだよね」
レガ子「レガ子はてっきり、ACE COMBAT ZEROに出てきたPJさんの〝パーフェクト死亡フラグ教室〟みたいになるんじゃないかと期待していたのっ」
作者「こらこら・・・(苦笑)」
レガ子「でも、ハンスさんが自分でオッ立てた死亡フラグのせいで、薫さまが危険な目にあったのはゆるせないのっ。だから飯屋のマリーちゃんとはそう簡単にくっつけてはあげないのっ」
薫「やめなさい・・・」
作者「あ・・・。でもハンス君がマリーちゃんとくっつくには、実はまだ大きな難関があって・・・(謎笑)」
薫、レガ子「「えっ?」」