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第1章 第39.4話  ~番外編 ・ (ぽんこつ)女神リーゼの活動記録 その2~

前回の続きで、今回もポンコツ女神視点のお話ですが、ちょっと今回は長いです。

1万文字超えてしまっています・・・(汗。

今回の話を2回に分けようかとも思ったのですが、前回から続けて3回もダラダラと続ける内容でもないので、長いまま今回で終わらせてしまうことにしました。


なお、次回から第2章をスタート予定です。

 全ての下準備を終えたレガ子ちゃんたちを、〝1028a〟の世界にあらかじめ用意しておいた安全なポイントに転送させると、私は先ほど思いついたプランを実行に移す事にした。




「よしっ、今後の為に活動記録の日記をつけることにしましょう!」


 こうして、私は初めて一人の人間と長期間にわたって一緒に行動する仕事を始めたのだった。






■活動記録・1日目


 真夜中ですが、レガ子ちゃんと薫さんをクルマごと〝1028a〟の世界に作っておいた安全な場所に送り届けました。

 あそこは数千年前・・・まだ古代魔法王国があった頃に出会った古龍のドライドさんがある物を守りながら管理している場所。

 あの時の私のドジの落とし前をつける為に場所を少しだけ貸して欲しいとお願いしたら、快く貸してくれました。


 クルマの中で目を覚ました薫さんが、初めて目にした愛車に宿っていた精霊・・・レガ子ちゃんの姿に目を白黒させていたのが楽しかった。

 レガ子ちゃんを、彼女からヒヤリングした薫さん好みの容姿にするのに苦労したのだから、あれくらいは驚いてくれないと面白ろく・・・じゃなかった、お仕事した甲斐が無いというもの。



 にゃうん・・・

 薫さん、私のこと「あの悪霊みたいの」とか言いやがっています・・・。

 ぷんぷん。

 失礼なのです。


 というかレガ子ちゃん・・・

 与えた加護の力についてあれだけ丁寧に教えたのに、半分も覚えていてくれていないなんて・・・(涙)。



 薫さんも寝てしまったし、とりあえず観察の続きはあの世界が朝を迎えてからですね。


 はふん・・・

 レガ子ちゃんが思っていた以上にエッチな方面に積極的だったのには驚いてしまいました。

 私たち管理者には性欲は無いはずなのに、ちょっと見ていてドキドキしてしまったのは、秘密にしないといけませんね。



 朝、私が作った亜空間庫イベントリのシステムの素晴らしさに、薫さんが感心してくれています。

 ふふん、どうよ。

 私のプログラム能力!。



 とりあえず森の出口に向かって走り始めてくれた模様。

 よかった・・・。

 レガ子ちゃんに出口の方向教えるの忘れていたから(テヘペロ)、ドライドさんがいる奥地に向かったらどうしようかとちょっと心配だったのは内緒にしておこう。


 

 そして最初のレベルアップで、初めてスキル選択プログラムにアクセスしてくれました♪

 このプログラムは、私の自信作なんです(えっへん)。

 特にレガ子ちゃんの本体であるあのクルマに仕掛けたプログラムは、世界樹の管理を2週間も放り投げて作った芸術作品です。


 

 ぷっ、くっくっくく・・・。

 クルマが変形した時の、あの薫さんの驚いた顔・・・くっくっくっ。

 あまりにも思っていたとおりにビックリしてくれたので、思わずその瞬間の映像を保存しちゃいましたぁ。

 この驚き顔だけで、お酒が3杯くらいはいけますねぇ~。


 あっ・・・

 お酒が切れちゃいました・・・(しょんぼり)


 とりあえずマナから同じ銘柄のお酒を復元しましょう♪

 るんららぁぁ~~♪

 いつでも好きな時に、好きなお酒をマナから再現して飲むことが出来るこのシステムは、私が作ったプログラムの中でもベスト3に入る発明ですねっ。

 ちなみに、あのクルマに取り付けた亜空間庫イベントリの物質復元の仕組みも、コレの応用なんですけれどねぇ。


 あ・・・薫さんがクルマの変形を動画に撮って投稿サイトにアップしています。

 そういえば、私もそろそろ歌ってみた系の新作をアップしないといけませんね。


 よしっ、とりあえず薫さん観察はここまでにして、ちょっと新曲の練習でもしましょう。

 歌っている間に私が作っておいたホットライン・アプリ『女神様ラブコール♪』が使われて、薫さんから救援要請があるといけませんので、呼び出し画面はカラオケ画面の端に常に表示させて起きましょう。




 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


 おかしいです。

 薫さんが『女神様ラブコール♪』を使ってくれません(しくしくしく)


 見知らぬ異世界に投げ出されて、不安な薫さんがそろそろ私に泣きついてきてもいい頃合だと思っているのですが、なんで呼んでくれないのでしょうか?(しょんぼり)


 

 しかたありません。

 女神という立場上大変不本意ではありますが、こちらから薫さんのところに出向こうと思います。

 

 たしか・・・

 テレビモニターから女性が登場するときの様式美みたいなものが薫さんの世界にはありましたよね?

 あれを参考にしてかっこよく登場しましょう♪

 あと、私は女神なのですから、すこ~~しだけ胸を盛って、威厳も出しておきましょう♪




 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


 はうぅぅぅ~~ん。

 思いっきり、ドジをしてしまいました・・・。


 薫さんの所から戻るときに思いっきり転んで、威厳を出すために詰め込んでいた胸パットをブチ撒けてきちゃいました・・・(しくしくしく)


 しょぼぉ~~~ん。


 しかも、胸パットのいくつかは薫さんの手の中に・・・。

 あの胸パットをくんかくんかされて、Hなことの補助ツールに使われたら・・・(ガタブル)。


 これは1日も早く世界樹の管理を自動化するタスクをくみ上げて、薫さんと一緒に旅ができるようにしてあの胸パットを回収しないといけません。

 まぁ、もともとお仕事をサボる・・・じゃなかった、楽にするために管理自動化のプログラムはある程度は組み上げてあるから、あとはこれらを統合して・・・・。

 にゃうん・・・なんとか1週間以内に終わらせるぞっ。



 でも・・・

 今まで私のことを神様として崇めた人はいたけれど、同じ目線で「友達になろう」と言われたのは初めての経験でした。


 私は管理者だからっ、べ、べつに人間のお友達なんて要らないんですよ。

 旅の誘いに乗ったのだって、そ・・そう、お酒です。

 まだコレクションしていないあの世界の珍しいお酒を探すのに便利だと思ったから、薫さんのお誘いに乗っただけなんですもん。


 あと、レガ子ちゃんを主体にしてアイテム回収に使う計画がダメになってしまった以上、薫さんにがんばってもらわないといけません。

 なので、一緒に旅をするのは、薫さんを監視するためなんです。

 それ以上の理由なんてない・・・・んですからぁ。


 なんか、考えていたら頭の中がウニウニしてきました。

 なので今日はもう記録をやめて、寝ちゃうことにします。




■活動記録・2日目


 にゃう~~ん♪

 朝早くから薫さんが『女神様ラブコール♪』をつかって連絡をくれました。


 べ、別に薫さんに連絡をもらったことが嬉しいわけじゃないんですから。

 私が作ったホットライン・アプリをようやく使ってくれたことが嬉しいだけなんですから、勘違いしないでくださいねっ。


 と、記録の中では勢いよく言ってみたものの、実際の私は昨晩の失態が恥ずかしくてホットライン画面に表示された薫さんの顔を見ることができず、世界樹の中になる私のお部屋(管理ルームとも言う)に設置してある〝炬燵こたつ〟という道具に潜ったまま応対したわけですが・・・。


 ホットラインが切れる寸前、薫さんが「さっさと仕事片付けて合流してくれないと、忘れ物(胸パッド)の残りをクンカクンカしちゃうぞ」などという恐ろしいことを言いやがりました。


 なので、薫さんの野望を阻止・・・・じゃなかった、少しでも早くお仕事を片付けるためにマナを集めて作った私の複製体クローンを数体作って、彼女たちに私の知識と自我をマルチリンクさせて作業を分担させることにしました。

 ただし管理者としての上位権限はあくまでも私にあって、彼女たちの権限はかなり限定させた範囲にしておきます。

 あと理性と仕事に対する使命感を強化しておきました。

 これで真面目にお仕事をこなしてくれることでしょう。


 彼女たちのことは・・・・とりあえずシスターズとでも命名しておきます。


 ちなみにシスターズたちの外見が12歳前後と幼いのは、べ・・別に薫さんの性的好みに合わせたわけじゃないんだからねっ!


 などと何となく言い訳をしていたら、また薫さんから『女神様ラブコール♪』がきました。

 ああ、世界中の住人に頼られるのって、なんか神様らしくってステキです♪


 相談内容は、あの世界の人間とのコンタクトの仕方ですか・・・。

 私も人付き合いが苦手なので、どうアドバイスしたらいいのやら・・・。


 言葉については、薫さんを改造・・・じゃなかった、あの世界に移動させた時に知識として薫さんの脳に刷り込んでおきましたので問題ないはずです。

 あとは・・・身分ですね・・・。

 とりあえずスタート地点の森の中で長年暮らしていた魔導器製作者クリエーターということでごまかしてみてはどうでしょうか。

 これなら、薫さんの言動が多少あの世界の常識からズレていたとしても、誤魔化しがきくはずです。


 とりあえずはそのようにアドバイスをして、しばらくは成り行きを見守ることにしましょう。


 森に住んでいる古龍のドライドさんには、シスターズの働きぶりに問題がないようでしたら、明日にでも出向いて追加の事情を説明した上で、あの森の中につじつま合わせようの魔導器製作者クリエーターの家を作らせていただきましょう。




■活動記録・3日目


 シスターズにお仕事を任せっぱなしにして、炬燵こたつの中でお酒を飲んでいたら、いつの間にか眠っていたみたいです。

 

 しかも目が覚めて監視モニターを見たら、なぜか薫さんがお腹を切られて死に掛けています。

 オロオロ・・・オロオロ・・・

 どうしましょう(滝汗)。


 でも、あの場にいたエルフ族の女の子が治癒魔法で薫さんの怪我を治して助けてくれたので一安心です。


 薫さんが死に掛けていた時に、私が炬燵の中で酔いつぶれていたことだけは、絶対に知られないようにしないといけません。

 でないと、また頭を鷲掴みにされて、お仕置きされてしまいます・・・。

 (ガタガタ・・・ブルブル・・・)


 と・・・とりあえず、私は古龍のドライドさんに会いに行ってきましょうかね。

 幸い、シスターズの働き具合に問題はなさそうです。

 これなら、少しくらい私が留守にしても、世界樹は問題ないでしょう。




 ドライドさんとのお話し合いは、今回も穏便に済ますことができました。

 ただ、ダミーの魔導器製作者クリエーター施設を森の中に作らせていただく代わりに、森の中央部に女神の加護による強い結界を張ることを条件にされてしまいましたが・・・。

 ドライドさん・・・なにか心配事があって結界が必要な様子だったのですが、結局その内容は教えていただけませんでした。


 まぁ・・・建物を作るための素材として世界樹からマナは多めに持ってきていますので、結界のひとつくらいなら作る余裕はあるでしょう。


 ただ、1日では作業が終わりそうにありませんが・・・。


 にゃうん・・・

 こんなことならシスターズを二人くらいこっちに連れてくるんでした(涙)。




■活動記録・4日目


 なんとか薫さんのアリバイ擬装用の研究施設を竜の森の中に作ることができました。

 建物の1階中央部にあのクルマを入れるための室内ガレージを配置して、その左右に研究室と資材貯蔵庫、そして2階と3階に8つの客室とりびんぐなどをの生活スペースを配置してみました。

 ついでに各部屋にはネット回線を完備しておきました。

 ちょっと頑張りすぎて、大きな建物と潤沢な設備になってしまいましたが、問題ないでしょう。


 ちなみに私の部屋も作っておきました。 

 当然のことですが、炬燵完備です♪

 また、地下に作ったお酒の貯蔵庫は会心の出来だと思います♪


 ちなみにそのことを世界樹で作業してくれているシスターズたちに伝えたら、なぜか盛大にため息をつかれて、全員から呆れた目で見られてしまいました。

 あの子たちは私と同じ思考をもった下位擬似生命体のわりには思考パターンが真面目すぎますね・・・。

 理性と仕事に対する使命感を強く設定しすぎてしまったでしょうか?



 次はドライドさんとお約束した森中央部への結界強化ですね。

 結界内部へ無条件で入ることができるのは、ドライドさんご本人と私、あとは薫さんとレガ子ちゃんの4人に設定しておきます。

 あとは、結界の管理者権限を私とドライドさんにして、それ以外の方が結界内部に入るためには私かドライドさんの許可が必要にしておけばOKでしょうか・・・。



 午後に薫さんたちの様子をモニターしてみたら、レガ子ちゃんが装備クリエイトのプログラムを使って面白い刀を創作していました。

 私が睨んだとおり、レガ子ちゃんにはゲーマーとしての才能がありそうな感じです。

 この世界の問題が解決したら、レガ子ちゃんを私の助手としてスカウトしてみようかなぁ・・・。

 シスターズの子たちでは、真面目すぎてゲーム談義などの雑談とかもできなそうだし。



 とりあえずは、この広大な森への結界作りを終わらせちゃいましょう。

 精神体の状態であればそんなに大変な作業じゃないはずなのですが、なにせ今はこの世界に受肉して実体化している身です。

 管理者として使える力にも制限が加わっているため、これは今晩遅くまでかかってしまいそうですね・・・(しくしく)。




■活動記録・5日目


 けっきょく夕べは、結界の構築に真夜中までかかってしまいました・・・。

 にゃうん・・・。


 なので昨晩は、昨日作った擬装用研究施設に泊ったのですが、やはり炬燵は最高です♪

 本当であれば今日にでも薫さんと合流する予定だったのですが、久しぶりに真面目1日中に働いたので思いっきり疲れましたぁ。

 今日はここでのんびり休むことにして、薫さんたちとの合流は明日行うことにしましょう。


 ところで、その薫さんたちの様子は・・・

 どうやらベルドの町を出発して、隣村に向かっている最中のようですね。


 では、私はここで一眠りさせていただくことにします。

 くーーっ、労働した後のお酒は最高に美味しいですぅ♪


 ・・・

 ・・・・・

 ・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・


 はっ、寝過ごしましたぁ!

 もう真夜中ではないですかぁ!(汗)


 薫さんらは、隣村に泊っているようです。

 今から世界樹の管理エリアに戻ってシスターズの子達に今後10日分くらいのお仕事の指示を出し、急いで合流のための準備をすれば、明日の午前中には私も薫さんらがいる村で実体化ができるはずです。


 さぁ、急いでこの肉体をマナに戻して、世界樹内での活動用の姿に再構築してに、世界樹のお家に帰りましょう。


 しかし・・・

 なんでこの肉体は、何度試しても大きな胸の身体を構築できないのでしょうか?

 これはきっと、この世界樹と一緒に私が生まれたときに、私の肉体情報がラグったのではないかと疑いたくなってしまいます。


 しょんぼりです・・・。




■活動記録・6日目


 しょぼ~~ん・・・。


 急いでお仕事を片付けて、この世界での活動用の肉体を再構築してやってきたのに、村の中に薫さんたちの姿が見えません・・・。


 しかも、世界樹の中ではシスターズの子達に『お酒臭いから、さっさと出かけてください』とか言われてしまい、まるで追い出されたような感じだったし・・・(涙)。


 私が持っている〝管理者権限〟がないと操作できない事柄も多いから、シスターズの子達に立場を奪われる心配はないけれど、なんであんなに邪険にされちゃったんだろう・・・(しくしくしく)。



 精神的にダウンしているため、村に住んでいる知らない人に話しかけるのも怖くて村の入り口で立ち止まっていたら、村とは反対側の荒野から薫さんたちが戻ってきました♪

 よかったよぉ~~。

 私・・・薫さんにまで見捨てられたのかと、思考が悪い方へ、悪いほうへと悪循環しかけていましたぁ。


 薫さんと再会の挨拶をしていたら、彼の後ろに居る小さな女の子たちが私のことを値踏みするような目で観察しています(汗)。

 しかも、薫さんは私の事を子供達に〝友人〟と紹介してくれました♪


 友人・・・・実にいい響きです。

 世界樹と共に生まれて300億年、私のことを〝友人〟と呼んでくれたのは薫さんが初めてです。


 しかも、お昼ごはんにまで誘ってくれました♪

 薫さんは、とっても良い人です。


 

 薫さんがお料理を作る様子を初めて近くで見ました。

 かなり手練れていて、上手です。

 あの様子なら、お酒のおつまみなんかも薫さんに頼めば美味しいものが期待できるのではないでしょうか?


 そんな事を考えながら、料理をしている薫さんをじーーっと見ていたら、「リーゼは料理とか出来るのか?」と聞かれてしまいました。

 私が料理をすると、なぜか毎回とんでもない物が出来上がってしまうんですよね・・・。


「えぇと・・・出来るように見えますか?」


 何って答えたらよいのか分からずに、そう返事をしたら、薫さんは黙って缶ビールを手渡してくれました。

 しかも、これって日本の高級銘柄のビールじゃありませんかっ♪


 るんららぁ~~♪

 体よく料理の現場から追い払われたような気もしますが、お酒さえいただけるのであれば、まったく気にしませんよぉ~。



 食後、薫さんと現状の打ち合わせをして、情報交換として竜の森に造ってきた薫さんの研究施設のことを伝えておきました。

 私が自分の分身を通食ったことは・・・・まぁ、今は伝えなくてもいいでしょう。


 逆に薫さんからは、今後の旅における私の身分について相談を受けました。

 別に私はおいしいお酒を飲みながら一緒に旅ができるのであれば、自分の立場などは何でもOKなのですが。

 まぁ、実際のところ、〝神様〟とか〝女神様〟などと言われても、この姿ではたいしたことができないので困ってしまうのですが・・・ね。


 なので・・・

「毎日おいしいお酒飲ませてくれればそれでOKですっ」

って答えておく事にしました。



 ちなみに、お昼にいただいた焼きそばも、夕食のカレーもお酒の肴として最高においしかったです♪




 深夜、シスターズの子たちから「オリジナル様おねえさまは、けっこうチョロインさんなのですね」などという嫌味なメッセージが届いたのですが、これはどういう意味なのでしょうか?

 




■活動記録・7日目


 私が改造を施したこのレガシィとかいうクルマ・・・レガ子ちゃんの本体に初めて乗りました。

 というか、自動車という乗り物に乗ったの自体が今回が初めてなのですが・・ね。


 途中、薫さんにこっちの世界の時間感覚について訊かれましたが、実はこっちの世界と薫さんが居た元の世界って、1日の時間だけでなく、1年の周期もほぼ一緒なんですよね。

 このあたりの偶然は、さすが元々が世界中に芽生えた双子の葉っぱ・・・双子世界というやつですね。

 他の葉っぱの中の世界だと、時間の流れとかってかなり違いますから。

 中には天動説じゃなくて地動説を具現化しちぇっている世界や、炭素系生物ではなく珪素系生物の世界もありますからね。


 レガ子ちゃんのほうは、彼女の専用シートが装着されたことで封印が解放されたこのクルマの武装開発体系のマニュアルにアクセスしているみたいですね。

 しかも、その内容にかなり驚いてくれています♪

 そこのシステムは私の自信作なんです♪

 特定の武装を先に開発して経験値を加勢で成長させないと登場しない武装なんかもあるんです。

 ぜひ、すべての武装開発をコンプリートしてほしいものです。



 お昼に薫さんが出してくれた食パンが絶品でした♪

 え?

 これって、あちらの世界で売っていたんですか?

 しかも私がよく行く秋葉原の隣駅に支店があるですって!


 にゃうん・・・

 そんなすごいパン屋さんがあったことに今までまったく気が付きませんでした・・・(涙。

 今度ゲームソフトを買いに秋葉原に行くときには、ワインのおつまみ用にぜひ買って帰らなくてはなりませんね。



 午後の移動で、早速トラブルに遭遇しました。


 どうやら薫さんがこちらの世界で知り合った方が乗っている馬車が、盗賊に襲われているみたいです。

 テキパキと戦い方の指示を出す、真剣な表情の薫さんにちょっとだけ見惚れてしまったのはここだけの内緒です。


 薫さんの指示に従い、薫さんとレガ子ちゃんが盗賊と戦っている間、私は馬車の中で怪我をしている人間らの治療を行うことにしました。

 管理者の力の大半を失っているとはいえ、この世界の生物の肉体破損を修復するくらいであれば簡単に行うことができます。


 レガ子ちゃんが、あのクルマの防御結界機能を解除するタイミングにあわせて、馬車の側面と上面に防御シールドを出しておきます。

 これで治療中に矢が飛び込んでくることはないはずです。

 馬車の中には、兵士の装備を身に着けた男性2人と女性2人、それと馬車の馭者ぎょしゃと一般市民のような男性2人、そして彼らの雇い主である女性が1人いらっしゃいました。

 怪我をされていたのは、馭者ぎょしゃの方と兵士の4人。

 みなさん矢が身体のどこかしらに刺さっていいます。


 とりあえず、まずは矢が3本刺さっていて、重体気味の馭者ぎょしゃの方から治療していきます。

 治療対象者の肉体に流れるマナの流れを操り、一時的に痛覚や触覚などの感覚を麻痺させます。

 いわば麻酔みたいなものですね。

 この状態になってことを確認してから、刺さっている矢の他に異物が肉体内部に入っていないかどうかをスキャン(レントゲンみたいなもの)で確認し、認識できた異物をマナに還して肉体から除去します。

 あとは、異物から変換したマナを使って、欠損した肉体の再構築を行えば治療完了です。


 感覚麻痺を一気に解除してしまうと、治療時の痛みの信号などが一気に脳へ押し寄せてしまいますので、この麻痺魔法だけは徐々に加除するように設定しておきます。

 まぁ、15分もあれば普通に動けるようになるはずです。


 兵士の方々の怪我も、同じような手順で治療します。

 女性兵士の方々は、傷跡すら残らず治療できたことをやたらと喜んでいて、手を握られてもの凄い感謝をされてしまいました(汗)。


 

 すべての人間の治療を終える頃には、外での戦闘は終了していて、薫さんとレガ子ちゃんの完全勝利に終わっていました。

 まぁ、レガ子ちゃんの攻撃魔法の能力って、実は精霊のなかでもかなり強力な方ですからね。

 あの程度の盗賊くらいでは、まったく歯が立たないはずですから。


 外に出ると、薫さんに盗賊が使っていたお馬さんの治療を頼まれました。

 なんでもお馬さんの足を氷の魔法で氷漬けにしてしまったそうなので、その治療だそうです。


 動物は言葉を話さない分、心の中で気持ちのやり取りができるので、人間よりも好きだったりします。

 動物たちも、私がこの世界の生き物とは違った存在であることを本能で察してくれているようで、獰猛な肉食獣でさえも犬のように懐いてくれるんですよね。

 案の定、このお馬さんたちにもやたらと懐かれてしまいました(汗)。



 お馬さんらの治療を終えて薫さんの所に戻ると、今回の救援のお礼として高級なお酒をいただく約束を取り付けてくれていました♪

 薫さん、ナイスです!

 グッジョブです!


 ではそのお礼として、生け捕りにした盗賊さんの尋問くらいは私が手伝ってあげましょう♪


 管理者権限の一部マインドハックを使えば、人間の心の中を覗き見ることなど簡単ですから。

 ついでに、こんな悪さが二度とできないように、この盗賊さんのトラウマを調べ上げて、そこの記憶を改竄して罰も与えて起きましょう♪

 うん。

 これぞまさしく神様らしい行いではないでしょうか。



 泣きながら懺悔している盗賊さんをみて、神様らしい行いができたことに満足していると、なぜか薫さんらにドン引きされてしまいました・・・。

 にゃうん・・・。

 何で?




 目的地のロイドという街に付いてから、薫さんにこの世界の追加説明と、前回こちらの世界に呼び寄せたブラッドさんの追加情報をお伝えしたのですが、それを聞いて何か考え込んでいましたね。


 レガ子ちゃんは、さっそくクルマへの武装クリエイトを試してくれました♪

 この局面でミサイル発射機能を選ぶとは、レガ子ちゃんの戦略センスは結構高いのかもしれませんね。

 こんどレガ子ちゃんと一緒に戦略シミュレーションゲームとかしてみたいところです。

 

 薫さんは、私が追加設定しておいた能力を獲得して、さっそくその力を試してくれてました♪

 自分がデザインしたプログラムが使われるのがうれしくて、ニヤニヤしながらその様子を眺めていたら、なぜか薫さんに脳天チョップをされてしまいました(涙)。

 にゃうん・・・。



 その後、レガ子ちゃんが実際に新装備を試したりイロイロありましたが、最後はこの世界の高級ワインや薫さんが持ち込んでいたお酒とかをいっぱい飲めたので満足です♪


 薫さんは先に酔いつぶれて寝てしまいましたが、私はもうちょっとだけお酒を楽しんでから寝ることにします。


 明日からもがんばるぞい!







----------- 世界樹管理エリア -------------



01号「オリジナル様おねえさまのこの活動記録、どう思います?」


03号「不真面目すぎますね」


02号「オリジナル様おねえさまには真面目に仕事をするという姿勢を学んで欲しいです」


04号「では、どうしますか?」


01号「ここはやはり例の計画を実行して、オリジナル様おねえさまを更生させるべきかと」


全員「異議なし」



リーゼが気持ちよく酔いつぶれていたこの夜、シスターズの娘っ子らがある計画のために動き出したことを、まだ彼女は知る由もなかった。



ミャウ「本当ならば女神さまのこのお話の後に、ボク視点のお話がひとつ番外編で入るはずだったのに削られたのにゃ・・・(涙)」


作者「あぁ・・・アレな・・・・」


ミャウ「酷いのにゃぁ! ネコ族差別反対なのにゃ!」


作者「別に差別しているわけじゃなくてな・・・第1章の最後でミャウたちちびっ子らが、なぜ薫くんらと一緒にベッドで寝乱れていたのか・・・を書いていたんだが、どう読んでも18禁の内容にしかならなくてな・・・(汗)」


クリス「良い実地勉強をさせてもらったのじゃ」


アリシア「お兄ちゃんも、女神様も、す・・・すごかったの(赤面)」


薫&リーゼ「え・・・?

      あの後、いったい何が自分らの身にあったんだ?(滝汗)」 


作者「ということで、このミャウ視点での話は、いずれ発表できる機会ができるまで封印となった(苦笑)」

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