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第1章 第39話(第46話) ~異世界初の対空戦闘~

みなさますみません。

投稿時間が遅れました。


いつもどおりの時間帯に投稿しようと思っていたのですが、急な震えと発熱のために寝込んでいました。

今はようやくベッドからおき上げって遅めの夕飯を食べられるくらいに回復しました。


取り合え次回は、第1章終了時においての登場人物まとめを2日後(20日)に投稿します。



ということで、前回までのおさらいです。



主人公もアイテム製作ができるようになったので、魔力剣を作ってみた、

魔力剣は、とりあえずヒート・ソードと仮称。

フェルトン家の侍従長は元剣聖と呼ばれた凄腕だった。

ヒート・ソード5本を追加製作。

ロイドの上空に帝国の竜騎兵が飛来

 周囲があらかた片付き始めた頃、ダメージから復活したレガ子が俺のところに文字通り飛んできた。


「薫さま、大変なの、大変なのっ」


「どうした、叩かれすぎてついに頭のネジでも外れたか?」


「それについては後でクレームを入れるの。

 でも今はそれどころじゃないのっ。

 正体不明の飛翔体が二つ、この街に向かって飛んできているのっ」


 俺がレガ子からの緊急事態を耳にしたちょうどその時、屋敷の中に騎士隊の伝令が飛び込んできた。


「隊長殿、帝国のものと思われる竜騎兵のワイバーンが2体、こちらに向かって飛んできております!」


 レガ子が察知した正体不明の飛翔体は、どうやら帝国の竜騎兵と呼ばれるもののようだ。






「ちっ、またか!」


「また・・・って、伯父上、帝国のワイバーンはそんなに頻繁に我が国の領土の上を飛んでいるのか?」


 初めて聞く情報だったのだろう、クリスがマロウさんに詰め寄っていた。


「以前は国境付近くらいしか入り込んでこなかったのに、10日ほど前からやたらと我が国の奥地にまで飛んでくるようになりやがった。

 こっちの武器はまったく届かないし、我が国には竜騎兵はないからな・・・

 今じゃ我が国の空は、連中の散歩コースになっちまっている」


 空の高い場所を飛んでくる敵兵にまったく打つ手がないためか、マロウさんの顔つきが苦虫を噛み潰したような表情へと変わっていた。



「なぁレガ子、ワイバーンの高度はどれくらいなんだ?」


「200くらいなの」


 ふむ・・・

 さすがに俺の魔銃でも届きそうに無いな・・・。


 となると迎撃手段は・・・


「薫さま、あの子レガシィの新装備なら可能なのっ」


 どうやらレガ子も俺と同じことを考えていたようだ。



「マロウさん、その竜騎兵・・・俺らが墜としてしまっても構いませんか?」


 撃墜した事で国家間の問題になるといけないので、念のためにこの国の騎士団長に確認を取っておく。


「出来るのか?

 出来るのなら、ぜひとも頼みたい!」


「墜としたことで、即戦争とかになったりしませんよね?」


「人様の土地の上を勝手に飛び回っていやがるんだ、文句は言わせねぇさ」


 マロウさんや伝令の兵士らの視線が俺に集まっていた。

 俺は少しだけ考え、レガ子に指示を出した。


「まず、射出中のドローンを高度400くらいで竜騎兵の観測に回してくれ。

 準備が整った後は、迎撃の手順はレガ子に全て任せる」


「はいなのっ!」


 そう返事をすると、レガ子は活き活きとした表情でレガ子シートに座り、ドローンの操作や垂直発射式噴進弾の発射準備に取り掛かった。

 ほんとうに戦闘民族のような精霊だよなぁ・・・。


 苦笑いしながらレガ子を見守っていた俺にクリスが駆け寄り、珍しい事に即時攻撃に待ったをかけてきた。


「カオル殿っ、アレを墜とす前に調べて欲しい事があるのじゃ!」


「どうした、クリスが帝国への攻撃に反対するとは珍しいな?」


「攻撃そのものには反対はせん。

 ただ、我が誘拐された後にベルドの方まで麻袋に入れられて移動させられた時、奇妙な浮遊感が数時間続いた時があったのじゃ。

 だから・・・」


 なるほど、クリスの言いたい事は分かった。


「レガ子、今の話聞いていたな。

 あの竜騎兵に第三者の生体反応はあるか?」


「10秒待ってなの。

 念のために上空のドローンに再スキャンさせるの。

 ・・・

 ・・・・・

 2体とも生体反応はワイバーンと、それを操っているライダーさんのものしかないの」


「だそうだ、コレで安心かクリス?」


 おれは腰を折って視線を低くすると、クリスにそう教えてあげた。


「う、うむ・・・、気勢を削いでしまって悪かった」


「気にするな。

 たしかに人質とかを運んでいる最中だったら、巻き込むわけにはいかないからな。

 クリスの判断は間違いじゃないと思うぞ」


 怒られるどころか、褒められた事に恥ずかしくなったのか、クリスは顔を赤くして俺の後ろに隠れてしまった。

 そんな様子を眺めていたマロウさんと目が合い、互いに苦笑いをする。



「薫さま、迎撃準備整ったの!」


 レガ子からの報告があった頃には、上空を飛んでいるワイバーンの姿は、屋敷の庭からでも肉眼でハッキリと見えるまでに近づいていた。


「発射管の1番から4番までは、生体波長誘導弾を装填なの。

 誘導波長の入力を確認。

 5番、6番には気化爆弾を装填し、近接信管を10メートルにセットなのっ」


 おいおい、気化爆弾を使う気か・・・。

 地上に被害とか出さないでくれよ(汗)。


 でも、攻撃はレガ子の判断に任せるといったからな、彼女の戦闘センスを信頼して口は出さない事にした。


「1番、2番発射!

 その30秒後に5番、6番を発射入力なの」


 レガ子の発射指示に合わせて、レガシィの天井に付いているルーフレールの前方付近から葛根湯の小瓶サイズのミサイルが勢い良く飛び出し、噴煙を上げながら上空に飛んで行った。


 屋敷の中庭でこの様子を見ていたこの世界の住人らは皆、生まれてはじめて見るミサイルに口をあんぐりと開けて空を見上げていた。



 レガシィから発射され、2体のワイバーンに向けて飛翔する誘導ミサイル。

 噴煙を出しながら接近して来た物体に、ワイバーンを操っていた竜騎兵も気が付いたようで、空中で一旦停止し、飛行方向を急角度で変更する事でコレをギリギリで回避した。


 しかし、かわしたはずのミサイルは大きく旋回しながらまたワイバーン目掛けて向かおうとしていた。

 さらにその反対側からは、30秒遅れで発射された次のミサイルが迫っていた。


 ワイバーンは地上から再度撃ち出された新たなミサイルをギリギリでかわすために身をよじって飛行方向を変えようとしたが、近接信管を装着したミサイルはワイバーンに近づくと突然爆発し、上空に巨大な炎の球体を作り出してワイバーンを飲み込んだ。


「なぁ、レガ子・・・

 あの気化爆弾の効果範囲って直径はどれくらいあるんだ?」


「おおよそ直径50メートルくらいなのっ。

 炎の魔法の応用だから、たいした大きさじゃないのっ」


 いやいや・・・

 アレでも十分えげつない攻撃だろう?


「カオル殿、あれはどのような攻撃なのじゃ?」


 クリスが気化爆弾が起こした現象を見ながら訊ねてきた。

 一瞬どう答えようかまよったが、とりあえずは正直にありのままを伝える事にした。


「今あの炎の球体の中は、おそらく10気圧・・・通常の10倍を超える空気の圧力と2500度近くの熱によって、高圧・高温の地獄と化しているはずだ。

 ワイバーンを操っていた騎兵はまず助からないだろうし、ワイバーンがいくら丈夫な生き物でも、無傷ではすまないだろうな」


 俺の説明に、クリスを含めた子供たちだけでなく、周囲に居た大人たちも青ざめていた。


 程なくして、気化爆弾の余波による熱風と衝撃波が俺たちの場所にも襲ってきたが、その熱量は微々たる物ですこしだけ熱いと感じる程度のものになっていた。


「魔法で生み出した火球だから、熱の拡散も早いので安全なの」


 レガ子が言うところの〝安全〟の基準に、もはや苦笑いしか出ない自分が居た。



 気化爆弾が生み出した火球から息も絶え絶えに飛び出してきたワイバーンだったが、旋回して戻ってきた誘導ミサイルがあたり、夕闇が迫っていた空に爆音の花火を2つ轟かせた。

 

 1体はそのままほぼ垂直に落下し、城壁のすぐ外側に墜落。

 もう1体は、ミサイルの爆発による衝撃で片翼が捥げ、錐揉み状態で落下してロイドの街中にある丘の壁面に激突していた。


 ふぅ、住宅街に落ちなくて良かったよ・・・。




 戦闘の内容があまりにも想像の外を行く出来事だたっため、ほぼ全員が空を見上げて呆けていたが、真っ先にマロウさんが我に返り、伝令でやってきた兵士に指示を出した。


「騎士団の第1から第3までに非常招集をかけろ。

 第1は、外に落ちたワイバーンの捜索と重要物証の回収。

 第2は、そこの崖に落ちたワイバーンから重要物証の回収させろ。

 第3は、住民の不安を解消するために、帝国の竜騎兵を初めて撃墜した事を宣伝して回らせろ」


「は、ハッ、了解しました!」


 慌てて屋敷の外に飛び出していく伝令。


 それを見送ったマロウさんは、高笑いしながら俺の背中を叩いてきた。


「ちょっとやり過ぎの感じもあるが、よくやってくれた。

 最近はアレに上空を好き勝手に飛びまわられて、騎士団の威信が落ちかけていたからな。

 住民に対しても、ちょうどいい刺激になっただろう!」


「俺もまさかアレほどの威力とは思っていませんでした・・」


「気にするな、気にするな!

 自分はいまから騎士団本部に戻って指揮を取らないとならいから失礼するが、カオル殿たちは屋敷でのんびりくつろいでくれ」


 そう言い残すと、マロウさんは馬にまたがり騎士団本部へ向かおうとしたが、クリスがそれを一瞬止めた。


「どうしたクラリス?」


「グラム男爵に帝国と密通している疑いがある。

 回収した重要物証の管理と、兵士のチェックには十分気をつけてくれ」


「それは本当か?」


「我を攫う手引きをしたのが、グラム男爵の私兵だった可能性がある」


 無言のまま視線で会話をする、伯父と姪っ子。


「分かった。

 十分に留意しておこう」

 

 最後にそう言って屋敷を飛び出していったマロウさんだったが、馬に乗る前にちゃっかりと新しく手に入れたおもちゃ(ヒートソード)を腰に納めるのを忘れていなかった。

 ちなみに残りのヒートソードは、しばらくテオ侍従長さんが預かる事になったそうだ。





 屋敷の中に案内された俺たちは、それぞれが部屋をあてがわれ、今は自室でのんびりとしていた。

 まぁ、もっとも俺の部屋はレガ子と一緒なんだけれどね・・・。


 レガ子には新たにドローンを飛ばしてもらい、いまはソレから送られてくる城壁外の墜落現場の映像を部屋に持ち込んだタブレットPCに転送して眺めていた。

 (レガシィからのWiFi電波が部屋まで届いていたのには驚いたが・・・)


 現場では10人ほどの騎士が、ワイバーンに取り付けてあった装備や、騎乗していた竜騎士の荷物を集めて調べている最中だった。

 超高温の気化爆弾に晒されたのだ、紙のように燃えやすい物証は消し炭になってしまった可能性もある。


「ところで・・・・

 ・・・

 ・・・・・・

 何でお前たちは、自分の部屋じゃなくて、ココに集まっているんだよ!」


 そう、各自に部屋があてがわれたにもかかわらず、今、なぜか全員が俺の部屋に居て、全員でこの小さなタブレットPCの画面をベッドの上に横たわりながら見ていた。


「なにを言う。

 その後の様子が気になるからに決まっておるじゃろ!」


「お部屋・・・広すぎて落ち着かなくて・・・」


「ひとりだと寂しいんだにゃん♪」


「ひとりで飲むお酒は美味しくありませんからぁ~」


 そろぞれが違った理由で俺の部屋を襲撃しているのだが、全員が墜落現場の中継映像を見るしかやることがないというのも情けない話ではある。


 俺はリーゼから注いでもらった高級そうなこの世界のおワインをちびちびと舐めているのだが、リーゼはグビグビとまるで水のように飲んでいた(汗)。


「リーゼ殿、このあとお爺さまたちとの会食があるのだから、あまり飲みすぎないでくれよ」


「だいじょうよぉ、クリスちゃん。

 わたしにとってお酒は、お水かスープみたいなものだからぁ」


「嘘こけ。

 昨日だって、サージ村で缶ビール一つで酔っ払っていたじゃないか」


 そう言って、俺はリーゼからワインを取り上げ、リーゼに夕食後までの禁酒を宣言した。


 お酒を取り上げた時には「しょんぼり・・・」などと口にしてしょげていた様子のリーゼだったが、すぐに立ち直ってクリスたちの輪に混ざり会話に加わっていた。


 リーゼはもしかしたら、世界樹の世界に暮らす人間やその他の生物の気持ちが分からないんじゃなくて、極端な人見知りのために、いままで誰とも親しくなる事が出来なかっただけではないのだろうか?


 今だって、ちょっと一緒に旅をして、お互いの気心が少しでも分かってしまえば、ちゃんと友達のように振舞えているではないか。

 この旅が終わるまでに、そんなリーゼの人見知りを何とかできればいいなとも思う。





 その後行われたクリスの祖父母との会食会は、それはもう緊張の連続で、居心地の悪いものだった。

 なにせ、クリスがしょっぱなから俺の事を「我の夫になるお方じゃ」などと紹介してくれたもんだから、可愛い孫娘に取り付いた悪い虫として(特に祖父の方に)認定ロックオンされてしまった。

 さらに火に油を注ぐように、アリシアやミャウ、そしてレガ子や調子に乗ったリーゼまで俺の花嫁候補などと名乗ったものだから、(特に祖父の方に)「害虫」とか「少女の敵」とか散々な言われようだった・・・(涙)。


 まぁ、あまりにもひどい祖父の態度に、最後はクリスがマジギレしてしまい、「お爺さまなんか大嫌いじゃ!」と一括したら大ショックを受けたようで、最後はやたらとしょんぼりしていたようだが・・・。


 その後祖父はクリスにひたすら謝っていたのだが、なかなか機嫌を直さないクリスに根負けして祖母に慰めてもらっていた。

 ただ祖母の方にはなぜか気に入られたみたいで、別れ際に「ひ孫の顔、楽しみにしているわよ」などと言われ、別の意味で嫌な汗をかいてしまった。




 夕食後、部屋に戻った俺は、精神的な疲れを癒すため、リーゼを呼んで二人でお酒を飲み交わしていた。

 ルームテーブルの上には、屋敷で頂いたこの世界の高級ワインのほかに、レガシィのイベントリから持ってきた缶ビールや缶サワーなども並んでいた。

 おつまみには、チー鱈やナッツ類といった乾き物のほかに、電子レンジで暖めた冷凍たこ焼きなども出していた。


 リーゼは飲み始めてすぐに言動が怪しくなり、酔っ払いのソレになったのだが、この人(女神)・・・ココからが長かった・・・・(滝汗。

 途中、何度かレガシィのイベントリや屋敷の厨房にお酒を追加調達しに行ったのは覚えているのだが、その大半の飲んだのがリーゼだった。


 そんな彼女に付き合って飲んでいたため、俺も最後の方にはかなり酔いが回っており、いつの間にか酔いつぶれて寝てしまったのだった。





 そして、異世界での生活が8日目となる翌朝・・・。

 なぜかベットで寝ている俺の回りには、寝巻きを派手に着崩した状態の女性陣が全員同じベットの上で寝ていた。


 二日酔いで頭が回らない俺は、「どうしてこうなった?」と必死に記憶の糸をたどるが、まったく解決の糸口が見えてこなかった。

 そもそも、一緒に飲んでいたリーゼはともかくとして、なんでクリスやアリシア、ミャウやついでにレガ子までここで寝ているんだ?


 下半身の息子に「お前、なにも悪さしていないよな?」と問いかけるが、彼は無言のまま何も答えてはくれなかった。


 俺が二日酔いとは別の種類の頭痛を感じて頭を悩ませていると、突然部屋のドアが開き、この屋敷の担当メイドが入室してきた。

 そのメイドさんは、俺の顔を見て、次いでベットの上の惨状を眺めると、表情を変えることなく「失礼いたしました」とだけ言って部屋から出て行ってしまった。



 後日、このときの目撃談が使用人らの間で話題になり、「姫様の英雄は、魔法戦闘だけでなく、夜の戦いも規格外らしい」などという噂がまことしやかにささやかれるようになるのだが、このときの俺はそれを知る由もなかった。



レガ子「作者さま♪ ようやく第1章がおわったのっ!」


作者「まさか第1章の最後のオチがああなるとはなぁ・・・、書き始めた当初は想像もしていなっかたよ」


薫「なぁ・・・俺・・・間違いをしでかしてないよな?」


女性全員「「「ごくり・・・・・」」」


作者「さぁ~~~(ニャソ)」

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