第1章 第27話(第34話) ~異世界でのエロゲプレイ~
前回がシリアス展開の戦闘だったため、今回はかなりだら~んとしたコメディ(?)回となります。
まぁ、最初の設定にあった主人公のエロゲ好き&エロゲプレイ環境一式をレガシィに積んでいる・・・という状態を活用したくて、やや強引に入れて見ました(苦笑)。
ということで、前回までのおさらいです。
軍の部隊に紛れ込んでいた敵の燻り出しに成功。
スパイ兵5人との戦闘になる。
紅雨を使い、魔法ありの戦闘に何とか勝利。
倒した敵兵の拘束と治療は、騒ぎを聞きつけて集まってきていたゲール隊長の部下らに任せることにして、俺はクリスと一緒にレガ子たちのところに戻る事にした。
ベルドの街で捕らえた盗賊らが毒による自殺を図っていることも伝え、捕まえた敵兵らの口の中や持ち物を徹底的に調べるように伝えておく。
あれ?
クリスに関することで、なにか重大な事を忘れているような気が・・・。
忘れている事を思い出そうとクリスの顔を見ると、さっきとはうって変わって、今はかなりご機嫌な様子だだった。
「まさかカオル殿から、あのような熱烈な告白をされるとは思っておらなかったぞ」
「ちょっとまて・・・何の話だ?」
「さきほど敵兵の誘いを断った時に、〝俺はクリスみたいなのが好みなんだ!〟と言ってくれたではないか♪」
「その話はレガ子達もじっくり聞かせて欲しいの・・・」
声のする方を見ると、そこにはレガ子とアリシアとミャウがかなりご機嫌ななめで立っていたのだった・・・。
とりあえず、レガ子たちには納得してもらった・・・。
〝俺はクリスみたいなのが好みなんだ!〟という発言は俺の好みの女性像の例としてクリスを例えにしたのであって、決してクリス個人のことが好きだと言ったわけではない。
なので、クリスと同じような体型のレガ子やアリシア、ミャウも好きなタイプだぞ・・・。
と・・・納得してもらうのに、まさか2時間もかかるとは思わなかったけれど・・・。
その代わりに、今度はクリスの機嫌が少し悪くなった・・・(汗。
女の子の機嫌を取るのって、なんでこんなに難しいんだよ・・・(涙。
その日の夜・・・
後部座席を畳んで寝床モードにした愛車のラゲッジルームでは、クリス、アリシア、ミャウの3人が川の字になって寝ていた。
レガ子は、周囲警戒もかねてレガシィの助手席で、警戒レーダーとリンクした状態で休息モードに入っている。
ちなみにサイモンとベルは、村人たちと一緒に再建中の集会所の方で寝泊りしている。
俺は愛車の横に組み立てたテントの中で、ヘッドホンを付けながらノートPCを使って幼女モノのエロゲをプレイしていた。
読んでいるのは、2012年ごろに発売された『愛○-あ○な-』というタイトルの義妹モノ。
交通事故で肉親を全て亡くした幼い少女が、親戚中をたらいまわしにされた最後に、同じように親を亡くして一人暮らしをしていた主人公の青年のところにたどり着き、義妹として一緒に生活していく内容のモノだ。
「はぁ・・・
二次元の娘っ子は素直でいいなぁ・・・」
ちなみにレガシィのイベントリに入っている荷物の中には、ハードディスクを10台内蔵して外付けハードディスクとしてパソコンにマウントすることができる『裸族のスカイタワー10Bay』があり、ここには数千タイトルに及ぶエロゲのゲームディスクが仮想ディスクのイメージデータとして保存されている。
なのでバッテリー内蔵型のポータブル多機能電源などと組み合わせて使えば、異世界のこの地でもコレクションのエロゲを好きなときにプレイする事が出来たりもする。
さらにレガシィに装備してあるWiFi端末は、女神によって元の世界のインターネットに繋がっているので、新作のエロゲだってその気になれば入手することだって可能だ。
「数日前までは、こういう風に旅先でエロゲを楽しみながら、レガシィで異世界をのんびりと旅するようなドライブを期待していたんだけどなぁ・・・」
どうして、こんなにもワイルドでやかましい旅になってしまったのやら・・・。
俺は、スマホの時計が午前3時を示すころまでエロゲで遊んで、そのまま寝落ちしたのだった。
「お兄ちゃん・・・こういうのが好きなんだ・・・」
「この水着エプロンというのはなんじゃ?」
「なんで裸で抱き合っているのにゃ?」
「薫さまは、昔からこういう体型の女の子が好みなのっ」
うぅ・・・
なんかテントの中が騒がしい・・・
夕べは遅くまでエロゲしていて寝落ちしたんだから、もうちょっと寝かせてくれ・・・
・・・
・・・・・・
え?
エロゲした状態で寝落ち・・・だと?
しかもテントの中にはレガ子や娘っ子たちが居る!?
一気に眠気が覚めて起きると、そこにはプレイ中だったエロゲが映し出されたノートPCの画面を見て、ガールズトーク(?)に花を咲かせている娘っ子たちの姿があった(滝汗。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
大慌てで寝袋から飛び出すと、娘っ子たちからノートPCを取り上げ、強制シャットダウンさせる。
取り上げたノートPCを奪い返そうと詰め寄ってくる娘っ子らを前に、嫌な冷や汗が流れる。
と同時に、コレクションのエロゲが当時中学1年生だった義妹に見つかってしまい、一気に嫌われるきっかけとなった5年位前の出来事を思い出してしまった。
今にして思えば、あの出来事がリアルでの女性との付き合いが怖くなったきっかけだったかもしれない。
なにせ、それまでは「お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪」と俺にまとわり付くほどに懐いていた義妹が、あの出来事の後は「キモイ!」と言って俺の事を避けるようになってしまったのだから、俺が受けたショックの度合いも察してもらえるのではないだろうか。
俺の顔をジッと見つめる娘っ子らの視線が、かつての義妹と重なって見え、また嫌われるのではないかと思った途端に息苦しくなってきた。
彼女たちから軽蔑の言葉が投げかけられるのを覚悟していた俺だったが、彼女らの口から出た言葉は意外なものだった。
「カオル殿、我らはその〝エロゲ〟とやらで、カオル殿の好みを勉強していたのだ。
ぜひそのまま学ばせてもらえんだろうか?」
「そうなの、お兄ちゃんの好きな女の子を知りたいの」
「あんちゃん、ボクみたいなネコ族の女の子が出てくるエロゲは無いの?」
え??
こういったエッチなものに拒絶反応とか無いの?
「お前たち、こういうエッチなお話とか絵とかって嫌じゃないのか?」
恐る恐る訊いてみる。
「なぜじゃ?
屋敷の女中らから聞く体験談の方がもっと生々しいぞ」
クリスの場合は、育った環境が特殊すぎるだろ!
「わたしも・・・年頃の女の子だから・・・興味ある・・・の」
顔を赤らめて、恥ずかしそうに俯きながらも、珍しく自己主張をするアリシア。
そういえば、こんな外見(10歳児くらい)だけど、アリシアの年齢は18歳だったっけ。
この世界の人間(人族)の女性であれば、結婚している方が普通なんだっけ。
「ネコ族の女の子が出てくるお話しが見たいにゃ!」
ミャウは・・・
あぁ、この子だけは間違いなく意味が分かってないよな・・・。
(見た目は10歳くらいだけど、実年齢は6歳だし)
なぜだかしらないが、無邪気なミャウを見てホッとしてしまった。
「それに、そのエロゲとやらの内容はおとぎ話みたいな作り物であろう。
カオル殿が実際に娼館とかに通っているのを見てしまったのであれば、温厚な我とて怒る事もあろうが、そのような創作物語を読んでいたくらいでなぜ怒らねばならん」
クリス、お前言っている事が生々しすぎるぞ(汗。
あと、温厚な女性は胸の大きさをネタに謗られても、激昂して「殺せ」とは言わないと思うぞ。
「村の大人の男たちも、お酒が入ると助平な話がすごかったのにゃ!」
「私の村もそんな感じだった・・・」
獣人族の大人衆、子供の前では自重しようよ・・・。
それにエルフ族もなのかよっ。
エルフって性欲が薄そうなイメージがあったから意外だよ。
「はぁ・・・」
とりあえずは娘っ子たちに嫌われなかった事がわかってホッとした。
が・・・・
この騒ぎをどう収拾すればいいんだ?
「もう、そのまま見せちゃえばいいと思うの」
おれが頭を悩ませていると、娘っ子たちの輪の中に居たレガ子がそんな事を言い出した。
というか、ノートPCの知識がまったく無い娘っ子たちが好奇心だけでエロゲを読み進めたとは思えない。
となれば、この状況を生み出した元凶はレガ子で間違いないだろう。
「レガ子ぉ~~。
なんでこの子らにエロゲの操作方法教えたんだぁ?」
レガ子の頭をすばやく鷲掴みにして引き寄せ、問い詰める。
「事故なのっ。
不可抗力なのっ。
だから許してほしいのなのっ」
レガ子の話しを要約すると、こういうことらしい。
夜が明けたので、俺を起こすためにテントの中に入ると、電源が付きっぱなしのノートPCにのディスプレイにプレイ途中のまま放置されたエロゲが見えたので、最初はセーブして終了しようとしてくれたらしい。
が・・・俺がどんな内容のエロゲをプレイし始めたのか気になって、物語の最初から読み返し始めたら、ゲームの音声を聞きつけた娘っ子たちがテントの中に入ってきてしまい、エロゲが見つかってしまったそうだ。
「なんでヘッドホン使わないんだよ!」
「ヘッドホンは薫さまの頭に今も付いたままなのっ。
それにレガ子のサイズでは、どのみちヘッドホンは使えないのっ」
うぐっ。
「(小声)あの子たちがテントの中でエロゲに夢中になっている間に、レベルアップ操作と薫さまの補助武器クリエイトをしちゃいたいのっ。
昨日の戦闘を見て、薫さまには飛び道具系の補助武器が必要だと痛感したのっ。
だから、ここは諦めて協力して欲しいのっ」
「レガ子の配慮は嬉しいが、日本のエロゲは18歳未満はプレイ禁止だっ!」
「それはこの世界では適応外の自主規制基準なのっ。
それに、15歳の頃からエロゲを隠れてプレイしていた薫さまがその建前を言っても、説得力がまったくないのっ」
うぐっ。
「(小声)だいいち、あの『愛○-あ○な-』って元の世界が舞台の物語だから、あの子たちに見せるのは危険じゃないか?」
「(小声)空想世界のおとぎ話だと思っているから問題ないと思うの。
それに、薫さまが正体をあの子たちに明かさないといけなくなった時、元の世界についての予備知識を知っておいてもらった方が理解してもらいやすいと思うの」
あぁ・・・たしかにそれは一理あるな。
多分この旅の間に彼女たちには自分の正体を教える事になるのではないかという予感もある。
しかしなぁ・・・。
「(小声)元の世界を教える教材がエロゲというのはなぁ・・・」
「(小声)ゆるふわ日常系のアニメでもいいとは思うの。
でも、今あの子たちが興味を示しているのは、さっきのエロゲなの」
う~~ん・・・
たしかにあの子達に見つからずにレベルアップ操作とかをしておきたいとは思うのだが・・・。
なにかとてもイケナイ事を教えてしまうような罪悪感が・・・(汗。
レガ子とのヒソヒソ話しを終えてクリスたちの方を見ると、期待の眼差しで俺の方を見ている6つの瞳が飛び込んできた。
うっ・・・
この状況でこのノートPCを取り上げてしまったら、間違いなく彼女たちががっかりしてしまう。
「わかった・・・。
コレを貸すけれど、音を大きくしたりするなよ・・・」
ノートPCを再起動し、例のエロゲを起動。
強制終了前のシーンに近い場所のセーブデータを呼び出して、クリスらにノートPCを渡した。
エッチなシーン以外は、兄と義妹との心暖まる心の交流を描いた作品だ。
危険なシーンまで読み進めてしまう前に、用事を済ませて戻ってきて、今日のゲームプレイは終わりにしてしまおう(汗。
しかし湯浴みの時に続いて、また一つ大切な倫理観を捨ててしまった感覚に陥ったのは、きっと気のせいではないだろう。
「そういえば、なんでクリスたちは日本語の読み聴きが出来ているんだ?」
受け取ったノートPCの画面を3人で仲良く見ながら、『愛○-あ○な-』の物語を楽しそうに読んでいる姿を見て感じた疑問をレガ子に訊ねた。
「女神様から受け取った〝異言語理解の加護〟を、あの子たちにも分け与えたのっ。
ちなみに薫さまもこの加護の恩恵を受けているのっ」
「さいですか・・・」
もうその手のチートくらいじゃ驚かなくなったな・・・俺。
人間、慣れていくものなのね・・・。
レガ子と一緒にテントの外に出て、バッテリー内蔵型のポータブル多機能電源への充電用ソーラーパネルを展開しておく。
その足で愛車の助手席からタブレットPCを取り出し、WiFi接続モードでレベルアップ画面を呼び出した。
以前はナビ画面でしかレベルアップ画面を操作する事が出来なかったのだが、世界樹に戻った女神がシステムアップデートをしてくれたようで、レガシィとWiFi接続をしたPCからでも操作が出来るようになっていた。
「レベルアップと補助武器のクリエイト、どっちからやる?」
久しぶりに2人っきりになった愛車の中で、俺はレガ子に問いかけた。
レガ子「薫さまのエロゲ環境って、これ作者様の環境とほぼ同じなのっ」
作者「自分の環境は薫君には負けるよ。だって『裸族のスカイタワー10Bay』に入っているハードディスクは、半分の5台だけだもん」
レガ子「作者様、もうそろそろ50歳代に突入だったと思ったけど、死ぬまでに積みエロゲを消化できるの?」
作者「エロゲ可能な老人ホームに入ったとしても、無理じゃないかなぁ・・・(汗」
レガ子「そんな介護施設は無いと思うのっ」
作者「ということで、自分が死んだらエロゲ装備一式と一緒に若い肉体での異世界転生プリーズ!」
リーゼ「嫌ですっ!(キッパリ)」




