クリスマス用特別番外編 ~ケーキってどんなモノなの?~
連載中の作品とは時系列が完全に異なる、番外編となります。
主人公やリーゼが、娘っ子たちに正体を明かしていますので、現在(第1章 第25話(第32話))よりもかなり先の出来事になると思ってください。
いずれ、この番外編の近くのお話を書いたときには、その話数の近くに配置しなおすことになると思います。
『ジングルベ~ル♪
ジングルベ~ル♪
鈴がぁ~~鳴る~~♪』
俺のスマホからクリスマスソングのアラーム音が鳴っている。
あぁ・・・
今年も〝非リア充〟にとって憂鬱な日が来てしまった・・・・。
毎年、この日だけはお昼以降の時間帯に街に出たくなくなるんだよなぁ。
どこを見てもイチャラブ全開のバカップルばかりに見えて・・・。
かといって家に閉じこもっていると、義妹で愚妹の久美のやつが
「バカ兄貴には、彼女のクリスマスを一緒に過ごしてくれる彼女の一人も居ないの?」
とか嫌味を言ってくるので、家居るのもそこそこに辛かった。
なので例年なら、この日は愛車でカップルが居ない山の方に走りに行っているのが恒例行事だった。
しかし・・・
しかしだっ!
今年の俺は一味違うっ!!
愛車と一緒に森の中でキャンピングの準備をしているのは例年とあまり変わらないが、今の俺の周りにはクリスマスの夜を一緒に過ごしてくれる美少女らがいる。
こげ茶色をしたセミロングの髪を振り乱しながら、なぜか藪の中の虫を追いかけている、ネコミミ少女のミャウ(見た目10歳、実年齢6歳)。
腰まであるウェーブが掛かった長い金髪(前に出している部分は縦ロール状)がお嬢様っぽい、貴族令嬢のクリス(見た目も実年齢も10歳)は、折り畳み式のアウトドアテーブルの上の置かれた電気ケトルを好奇心丸出しで観察してる。
そして薄緑色の髪を束ねて、俺の横でバーベキュー用の食材を一緒にカットしながら夕食準備の手伝いをしてくれているのがエルフ族の少女アリシア(見た目10歳、実年齢18歳)だ。
一緒に並んでジャガイモの皮を剥いている時に、目が合ったりすると、真っ赤になってうつむいてしまう仕草が結構かわいい♪
愛車の屋根の上では、身長が40センチほどの少女が空中に浮かんでいて、レーダー探知のような能力を使って、周囲の安全を確認してくれている。
この娘は愛車に宿った八百万の神(精霊)が実体化したもので、名前はレガ子。
深い艶のある黒髪は腰下まであるロングストレートで、日本人形のような美少女をそのまま40センチドールにしたような姿をしている。
今現在だけでも4人もの美少女が、俺と一緒にクリスマスの夜を過ごしてくれることが確定している♪
しかも、後しばらくすれば美人の女神様も買い出しから帰ってくるはず。
もう去年までのように、クリスマスの夜に一人寂しく肉を焼いて、涙を流しながらケーキを食う必要などないのだ!
「ふふふふふ・・・・・」
あまりにも幸せな今の状況を再確認し、思わず笑いがこみ上げてきてしまった(汗。
「お兄ちゃん、お野菜を切るのが面白いの?」
俺の笑い声を聞いていたアリシアが、不思議そうな顔をして訪ねてきた。
「これから、みんなと一緒に食事をできると思うと楽しくてな」
とりあえずは、そう言って誤魔化しておく。
「薫さまのクリスマスは、それは悲惨なものだったのっ」
いつの間にか俺とアリシアの間にレガ子が割って入ってきていた。
「クリスマス?」
聞いたことがない単語にアリシアが首をひねる。
「薫さまの故郷の風習で、クリスマスは好き合っている男女が大ぴらにイチャラブできる日なのっ」
マテこら!
たしかに日本ではそんな感じになってしまっているところもあるが、本来のクリスマスはまったく違うぞ!
「わぁ~、そんな素敵な習慣がある国があるんですね」
レガ子の間違った説明に、なぜかアリシアが夢見がちな表情を浮かべている。
え?
なんで??(汗
「でも、どうしてお兄ちゃんのその日が悲惨だったの?」
うっ・・・
それは説明するのがつらい・・・。
「だって薫さま、彼女が毎年いなかったの。
だから、いつもこの日は、エロゲヒロインを映したモニターを前にして、ボッチでケーキを食べていたのっ」
グサッ!!
レガ子の言葉が鋭利な刃物になって俺の胸に突き刺さった。
「れ~~がぁ~~~こぉ~~~~」
「あれ?
薫さま、お顔が怖いのっ」
「人の古傷を嬉しそうに暴露するんじゃねぇぇ!」
「あがががががが・・・・・・」
レガ子の頭を鷲掴みにして、アイアンクローでお仕置きしておく。
「お兄ちゃん・・・彼女さん居なかったんだ・・・(ぽっ」
「そういえば、リーゼ殿はその〝ケーキ〟とかいうのを買いに行っているのだったな」
いつの間にか、クリスとミャウも俺の周囲に集まっていた。
3人には俺やリーゼの正体を明かしてしるが、この子たちには〝異世界〟とか〝女神〟とかいう存在が想像できないようで、その口調はまるで近くの町に買い物に行っているかのようだった。
「あんちゃん、ケーキって甘いお菓子なんだよね?」
ミャウは食後に出ることになっているケーキがかなり気になっているようだ。
そう・・・
リーゼは俺が住んでいた元の世界まで、コー〇ープリンセスという一人用丸形ケーキのクリスマスバージョンを人数分(7個)買いに出かけていた。
ケーキは運搬がデリーケートなので、リーゼ一人だと大変なのではとも思ったのだが、リーゼは女神専用の携帯用イベントリを持っているそうで、基本的にどんなに買い物をしても持ち運べなくなるということはないらしい。
なのでリーゼには俺が持っていた財布をそのまま預け、他にも備品の追加購入を頼んでおいた。
どうせこっちの世界じゃ使えないお金だしな。
あと、お金が足りなくなった時のために、銀行のキャッシュカードと暗証番号も教えてある。
(ただし、一応俺は失踪届けがでているはずなので、使うときは変装しろとは言ってあるが・・・)
そういえば、リーゼはあの世界で買い物をするのは初めてだと言っていたな・・・。
脳内に、某人気テレビ番組「はじ〇てのおつかい」のテーマソングが流れだし、リーゼが道路をフラフラと歩きながらケーキを探して彷徨っている姿が映し出された。
なんだろう、いきなり不安になってきたぞ…(汗。
だ・・・
大丈夫だよな?
それから約30分後、買い出しを終えたリーゼが帰ってきた。
「私だって、やればできるんです!(えっへん)」
と、無い胸を突き出して買い物を終えたことを自慢していたが、今は突っ込まないでおいてやろう。
とりあえず、リーゼの携帯用イベントリから愛車のイベントリに購入してきた商品を移動させ、リストで確認をしていく。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
あれ?
なんか見覚えのない商品が混じっているのだが・・・。
「なぁリーゼ、このカップ焼きそばって何だ?」
「ああ、それですねっ。
ケーキを買いに行く途中で見つけたのと、激安処分特価だったので一箱買っちゃいましたっ♪」
いや・・・
たしかに異世界の旅では、お湯だけで食べることができるカップラーメンやカップ焼きそばは便利だよ・・・
でも・・・
なぁ・・・
「この商品企画を考えた間抜け野郎の顔が見てみたいな・・・」
そう言って俺がイベントりから取り出したのは、『明〇 一〇ちゃん夜店の焼そば ショートケーキ味』という信じられないカップ焼きそばだった。
これを一箱も買ったのかよ・・・
そんなに誰が食うんだ?(汗
というかイベントリの中にある限り、永遠に無くならないんだけど・・・(滝汗。
リーゼの名誉のために言っておくと、ちゃんとコー〇ープリンセスも買ってきていた。
しかも生クリームバージョンとチョコレートクリームバージョンの両方を7個づつ買ってくるという気の利き方だった。
(まぁ、たぶんだが・・・リーゼが両方食べたくて迷った挙句の結果だとは思うが・・・)
しかも、イベントリに投入した時の認識の仕方が『コー〇ープリンセス(生クリーム)7個』『コー〇ープリンセス(チョコクリーム)7個』というお持ち帰り箱単位での認識の仕方だったため、それぞれを1個残していれば0時には状態復元の加護でまた7個に戻っているというおまけ付きだ(苦笑。
まぁ・・・イベントリの中は時間が停止していて腐らないからいいんだけどね・・・。
生クリームが存在しないこの世界では、3人の娘っ子たちは初めてのケーキ体験。
(もちろんレガ子もだが・・・)
全員が「こんな美味しいお菓子は初めて食べた!」と大興奮していた。
あと俺も・・・
女の子たちと初めて一緒に食べたケーキは、すごく美味しく感じました(血の涙。
余談になるが・・・
あの『明〇 一〇ちゃん夜店の焼そば ショートケーキ味』という狂気のカップ焼きそば・・・。
元となる焼きそばの味を知らないミャウ、クリス、アリシアには好評だった。
全員が「甘くて美味しい。まるで、先日食べたケーキみたい」と喜んでいた(汗笑。
え?
俺は・・・・ノーコメントという事にしておきたい(滝汗。
レガ子「リア充、爆発するのっ!」
薫「リア充、爆発しろっ!」
作者「・・・・・・・(汗」
レガ子「そういえば作者さまは、あの『明〇 一〇ちゃん夜店の焼そば ショートケーキ味』は食べたのかしら?なの」
作者「ドン・キ〇ーテなどで100円以下で処分販売されたら買うよ・・・。
とてもじゃないが、定価で買って試す勇気はないです…(滝汗」
レガ子「来年はペ〇ングからもすごいカップ焼きそばが出るらしいのっ!」
作者「アレねぇ・・・
またリーゼに買わせて、薫君に食わせるかな・・・」
薫「おいマテ、こらぁ!」