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第1章 第24話(第31話) ~軍内部への疑念~

今回のお話で、貯めてあったストックが切れてしまいました(汗。


普段の仕事が年末で忙しくなっている事と、ちょっと精神的に参ってしまった事がおきたため、次回の更新は多少、間が空くかもしれません。


読者の方々には申し訳ありませんが、生暖かい目で見ていただき、お待ちいただけると幸いです(汗。



ということで、前回までのおさらいです。


街の外で紅雨べにさめの全力実演。

村に届ける復興資材を受領。

ベルドの街を出発。

最初の休憩ポイントで一休み。(←今ココ)

子供相手なので一応手加減はしておいたが、趣味の自動車整備で鍛えた握力によるアイアンクローによってクリスが撃沈した。

目を回しているクリスを介抱しているアリシアは「自業自得だよ・・・」とやや呆れている。

そしてミャウは「あんちゃん、その技教えて」とはしゃいでいた。


町を出るときに頂いたお弁当をイベントリから取り出し、皆に配る。

ついでに、いつものバッテリー内蔵型のポータブル多機能電源と電気ケトルも取り出し、食後に飲むお茶の準備をしておく。

俺やベルたちはコーヒーでいいが、お子様たちのためにココアも出しておくことにした。

レガ子には・・・以前好評だったモカジャバでも作ってやるか・・・。


レジャーシートの上では、皆が楽しそうに談笑している。

そんな様子を眺めながら、俺は・・・・・・

「こんな異世界ドライブなら悪くないな」

と思うのだった。




サーシャさんが渡してくれたお弁当は、かなり美味しかった。

子供たちは食後に出されたココアを美味しそうに飲んでおり、全員がお代わりを要求してきた。

ベルとサイモンもココアに興味を示していたので、二人にも新たに作る。


「ついでに俺の2杯目もココアにするか・・・」


皆にココアを配る終え、クルマレガシィのところに戻ると、レガ子が俺に耳打ちをしてきた。


「さっき女神さまから連絡があったの」


女神リーゼはなんだって?」


「自分の存在は最低限の人間に見せたいから、ベルさんたちと別れたあと合流するって言っていたの」


「そっか、リーゼの存在も結構複雑だしな」


「あと・・・」


「あと? なんだ?」


「薫さまが乳パッドで変な事していなかったか聞かれたの」


「ぶっ・・・」


思わず飲んでいたココアを吹き出してしまった。

リーゼのやつ、俺が言った冗談を本気にしているのか?(汗


「とりあえず『くんかくんかはしてないようなの』と教えといたの」


「なんでハッキリと否定してくれなかったんだ・・・」


「ここ2、3日の薫さまの行動全てを把握しているわけではないの。

 あと、精霊は神様に嘘がつけないの」


そうですか・・・。


はあ・・・

子供たちに変な情報を吹き込まれる前に、リーゼが来たらちゃんと説明しないとダメかもしれないな・・・。

少なくともあの純真なアリシアに誤解されて、「お兄ちゃんのヘンタイ・・・」とか言われたら、俺生きていけないかもしれない・・・。



「あと、さっきの移動中にこの子レガシィのレベルが上がったの。

 レベルアップの手続きをいつするかなの」


「それは俺も運転中に気が付いていた。

 俺の分も・・・やっぱレベルが上がっているな」


レガ子と会話しながら、ナビモニターを操作してレベルアップ画面を確認する。

俺とクルマレガシィはレベル6になっていたが、レガ子は昨日の装備クリエイトで経験値をかなり消費してしまっておりまだレベル5のままだった。


「薫さまは気にしちゃだめなの。

 あれはレガ子が必要だと思ったからやったことなのっ」


申し訳ないという気持ちが顔に出てしまっていたのだろう、モニタを見ていた俺にレガ子がそんな言葉を掛けてくれた。


「悪い・・・、いや違うな。

 ありがとうな、レガ子」


「えへへへへ・・・

 薫さまに褒められるのが、一番のご褒美なのっ。

 あ、でもチューでもいいんですよっ?」


「調子に乗るなっ!」


俺がデコピンのポーズを取ると、「キャー」と叫んで笑いながらレガ子が逃げていった。


「レベルアップの操作は村に着いてからでいいよ。

 それに出来ることなら、レガ子と一緒にレベルアップ操作もしたいしな」


「ありがとうなのっ♪」


それだけ言うと、レガ子は笑いながら飛んで行って、お子様たちの輪に加わっていった。




俺は出発の準備をするため、ポータブル多機能電源や電気ケトルなどをイベントリに収納し始めた。

ふと作業中にスマホが目に入ったので画面を見てみると、愚妹からメールが届いていた。


『バカ兄貴へ

 家に兄貴の勤め先から電話があって、兄貴が出勤してこないと言われたって、母さんからメールがあった。

 もしかして、まだ異世界ごっことかしているの?

 いい加減にしないと怒るよ』


お前・・・その文面はすでに怒っているだろ・・・。

そうは言われてもなぁ・・・

マジで異世界に来ているんだよなぁ・・・。


返信の文章を打ち込む。


『久美は信じないかもしれないが、本当にクルマごと異世界にいるんだよ。

 ネットだけは繋がる状態だから、信じてもらえないかもしれないけれど。

 とりあえず明日の夜にでも親父たちに俺の捜索願でも出すように言っておいてくれ』


とりあえず、今の時点で思いついたことを書いて返信しておく。

自分で自分の捜索願の依頼をするのは、かなり妙な気分になるが、元の世界でちゃんとした手続きを取って失踪しておかないとならないから仕方ないだろう。


再出発の準備をあらかた終えた俺は、残ったココアを一気に飲み干した。

そしてレジャーシートの上でくつろいでいる連中に「そろそろ出かけるぞ」と声を掛けた。





再出発して5~6キロほど走ると、ベルが言っていた再建中の馬屋が見えた。


「ここにも支援物資を少し置いていきたい」

というサイモンの申し出で、いったんクルマレガシィを停める。


馬屋では3人ほどの男性が破損した馬屋を直していた。

彼らに声を掛け、ベルドの町から運んできた小麦などの食料を少しばかり渡した。

建築資材などは2日後に第2陣が運んでくると、サイモンが彼らに伝えていた。


再建中の馬屋を覗いてみると中には馬が2頭しかおらず、たしかに交換用の馬が足りていないようだった。


このあたりの森や林にはモンスターも出るそうなので、現時点で戻ってきていない馬はモンスターに襲われてしまったのではないかと、男性らは肩を落としていた。

補充用の馬は、ロイドや王都のような大きな街に依頼を出している最中だという。




補充物資の引渡しを終えると、俺たちは馬屋を出発して隣村へのドライブを再開した。

クルマレガシィを走らせてから、俺は今向かっている隣村の名前すら聞いていない事を思いだした。


「そういえば、今から行く隣村ってなんて名前なんだ?」


ベルと交代して助手席に座っているサイモンに尋ねた。

ベルは最後尾の荷室に胡坐をかいて座り、後部座席の子供たちと雑談を交わしていた。


「サージという名前の村だ。

 20軒ほどの集落だが、かなり広い麦畑をもっている農村だ。

 ベルドで消費される小麦などを収穫しており、我々にとっては重要な農村でもある」


「襲撃の被害は酷かったのか?」


「盗賊団が南下して近づいていたのは事前に分かっていたので、魔術を施した避難壕などを作って襲撃に備えていた。

 避難も迅速に行えたので村人の人的被害は無かったのだが、盗賊らと戦った警備部隊は全滅してしまった。

 村の各家からは食料などが略奪され、多くの家々が焼かれてしまった」


ということは、村の女性とかが攫われて、奴らにエロイ虐待とかはされなかった訳だな。


別に『くっコロ』みたいなシーンを期待していたわけじゃないんだからなっ。

後ろに座っているあの子たちが、そういうシーンをアジトで見ないで済んだことを確認したかっただけだからなっ。


「なので今は、村人が避難生活を送るための集会所と農機具などを納めた作業場、交易商などの旅人が泊まるための宿屋を優先的に復旧させていると聞いている」




「王国軍がタイミングよく襲撃直後の村に到着したみたいじゃが?」


俺たちの会話を後部座席で聞いていたクリスが会話に混ざってきた。


「軍は盗賊団を追いかけて南下していたと聞いている。

 その途中で村が焼かれている炎を遠くから確認し、現場に急行したそうだ」


「で、村に到着した軍はそのまま駐留して村人達を保護したわけか・・・

 クリスはなにか気になることがあるのか?」


後部座席で何かを考えている様子のクリスに声を掛けた。


「いやな・・・

 そんなに近くにまで王国軍の追撃部隊が迫っていたのに、なんで盗賊やつらは村を襲撃するような行動を取ったのかが気になってな・・・」


「ただ単に食料とかを調達したかっただけじゃないのか?」


「我は奴らに捕まってずっと一緒に移動しておったのじゃから分かるが、奴らは食料には困っていなかったはずじゃ。

 なのに軍を引き離すために逃げなかった理由が気になるのじゃ」


「どういうことだ?」


クリスが抱いた疑問に、俺だけでなくベルやサイモンも注目していた。


「もしも・・・もしもじゃ。

 ベルドにカオル殿がいなかった場合、どうなっていたと思う?」


「それは・・・」


「おそらく我々も大きな被害を出していただろう」


言いよどむベルの言葉をサイモンが引き継ぎ、予想を答えた。


「被害だけで済んでればいいがの・・・。

 ベルドの町にはかなりの数の間者が入り込んでいたのだろう?」


「ああ、ざっと数えて20人ほどは居たはずだ」


「盗賊の襲撃時にそ奴らが内部で一斉蜂起したら、ベルドは盗賊に占拠されいたんじゃないか?」


「クリス、まさか!?

 村に追撃部隊を足止めすることが、村を襲撃した目的だったと?」


クリスの衝撃的な予想に、全員が彼女を見た。

俺もあまりにも衝撃的な予想だったので、クルマレガシィを停めてクリスの方を見てしまっていた。


「もしそうなっていたとしても、隣村に来ていた王国軍がすぐに動いて、ベルドを奪還するはずだよ」


その予想にベルが意見を出す。


「そうじゃな、その追撃部隊はベルドに急行するじゃろう。

 しかしベルドは規模は小さいが一種の城郭都市じゃ。

 50人の盗賊に20人の間者が加わり70人にもなれば、すでにそれは中規模部隊じゃ。

 防衛戦が主体となる篭城戦に持ち込まれたら、攻城戦装備を持ってきていない追撃部隊に対処できたかどうか・・・」



そんなクリスの予測に車内が静まり返った。

やがてベルが思っていた疑問を発した。


「でも奴らは所詮は盗賊だよ?」


ああ、そうか・・・

ベルは盗賊が偽装した帝国軍の可能性を知らないんだった。


「実はな、ベル・・・」


おれは例の予想をベルに教えてもいいかを確認するためクリスの目を見た。

すると俺の意を察したクリスが頷いた。


「あの盗賊たちは、帝国の軍人が偽装していた可能性があるらしいんだ」


「そんなっ・・・」


予想外の推測に、ベルが驚いて声を詰まらせた。

サイモンはさほど驚いているようすがない。

おそらく町長や警備隊長にその可能性を聞いていたのだろう。



再度静まり返ったクルマレガシィの中で、最初に声を発したのはクリスだった。


「我はな、その追撃していた王国軍にも疑念を持っておる」


「おいおい・・・」


「あの盗賊らは、追撃していた王国軍の情報をかなり的確に掴んで動いておった。

 つまり・・・」


「まさか、村にいる追撃軍の中にも情報を流していた間者が居るのか!?」


「可能性は高いのではないかと見ておる」


なんてこった。

下手したらこれから行く村でもひと騒動起きる可能性があるのかよ・・・。



俺が深いため息をついて天を仰いでいると、クリスがレガ子に話しかけた。


「レガ子殿、この移動用魔導器には敵を判別する機能があるのじゃろ?」


「正確には、薫さまとレガ子、あとこの子レガシィに敵意を持った生き物を判別するの。

 なのでこの国とか町とかに敵意を持っているだけじゃ分からないの」


「なるほどのう・・・」


クリスがまた何かを考えはじめた。

そして何を思いついたのか、俺の方を見てニヤリと笑った。

ああ・・・きっとまた面倒なことを思いついたに違いない。


「では、カオル殿にはまたひと働きしてもらわないとならないかのう・・・」


やっぱそう来たか。

なんとなく予想はついていたので、俺は肩をすくめて「はいはい、()()()()()の仰せのままに」と返事をしてクルマレガシィを走らせ始めた。


急に走り出したので唾か何かが気管に入ったのだろうか?

後部座席ではクリスがなぜか咽ていた。




その後しばらく走ったところで2回目の休憩を取り、隣村に向かって走り出す。

途中、特にトラブルなども起きず、俺たちはベルドの町を出て3時間後くらいには、サージ村に到着していた。



「「「もう着いてしまったのか!?」」」


まだ日中ともいえる時間帯に隣村に到着した事に、ベル、サイモン、クリスの3人が驚きの声を発した。

しかもクリスにいたっては「この乗り物が量産できれば世界の常識が変わるぞ・・・」などと、物流革命を見据えた考察まで始めてしまっている。


クリスには悪いが、本当の俺は魔導器製作者クリエイターじゃないから、クルマなんか作れないからな。

というか、魔導器製作者クリエイターにも作るのは無理だろう・・・。


こっちの世界で身を落ち着けたら、自動車整備の経験を生かして、馬車の改良とかはやってみたいけれどな。


クリスに本当のことを話すことになった時、彼女がガッカリする姿を想像してしまい、申し訳ない気持ちになってしまうのだった・・・。







作者「前書きにも書きましたが、ストック切れと、多忙につき次回の投稿時期が未定となってしまいました」


レガ子「作者がだらしないの・・・」


作者「今、ちょっと精神的にきついんだよ・・・(汗」


レガ子「という事なので、次回のお話は投稿予定が立ち次第、活動報告にアップするの」


作者「がんばります・・・」

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