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第1章 第13話(第20話) ~はじめての町で、はじめての取り引き~

レガ子「最近、メインヒロインである私の出番が少ないと思うの!」


作者「ふふふふ・・・

   少し昔のロボットアニメで、最初と最後では主人公が入れ替わっていた作品があってな・・・」


レガ子「ダメーーっ、ダメなのーーーっ!

    薫さまと最後にくっつくのは私なのーーっ!!」


メイベル「メインヒロインの座は、この合法ロリっ子のわてがもらったでーー!」


レガ子「だれっ! この伏兵はだれなのっ!!」



ということで、前回までのおさらいです。


町の近くの林の中で猟師さんと出合った。

お茶に誘って、猟師さんと仲良くなった。

主人公は魔導器製作者クリエイターを名乗ることにした。


話し合いの結果、町にはベルたちが案内をしてくれることになった。

あと素材買取費用の3割を渡すことで、草原の狼ステッペンウルフも解体してもらえることになった。

イベントリから取り出した、傷や欠損がほとんどない9体の草原の狼ステッペンウルフの死体に驚くベルとサイモン。

「どうやって倒したんだ、これ?」

「傷がないこれだけきれいな毛皮だ、けっこういい値で売れるぞ」


ぶっちゃけあのクルマレガシィで撥ね飛ばして殺しただけなんだけどね・・・。


ベルとサイモンが嬉々として草原の狼ステッペンウルフを解体している間、俺はずっと見張りをしていたトニーを呼んでコーヒーをご馳走するのだった。





「ようこそ! 最南端の町ベルドへ!」


町の入り口に到着し、全員がクルマレガシィから降りると、ベルが俺のほうを振り向きそう言った。


町の外側には完全に囲ってはいないものの、低い外郭壁が作られており、その途中にはいくつかの物見台も設置されていた。

町の住人は100人ほどらしく、その半数ほどが町の西側に広がる広大な果樹園で生計を立てているという。

残りは、商人とかベルのような猟師などのさまざまな職業についているそうだ。

ちなみに果樹園で栽培されている作物は、〝パル〟と呼ばれるオレンジに良く似た柑橘系の果物で、この町ベルドの名産品らしい。


「いやぁ~~、しかしあの〝クルマ〟っていう移動用魔導器は凄いな!」


笑いながらそう言い、俺の背中をバイバシと叩くサイモンさん。

大柄な狩人が入れるツッコミは、マジでダメージが通るので勘弁して欲しい・・・(汗。


3人とも生まれてはじめて体験した自動車による移動は、かなり新鮮だったようだ。

なにせ、あの林からこの町の入り口まで、約2.5キロの距離を馬車よりも速いスピードで移動し、しかも馬車よりもゆれが少ない快適な乗り心地だったのだから、乗車中の彼らの驚きは相当なものだった。

この世界の馬車には、まだサスペンションのような地面からの衝撃を緩和するような機能は装着されていない。

なので長時間の移動になると、体調を崩してしまう乗客も多いのだという。


女神リーゼからの頼まれごとを片付けたら、この世界で乗り心地の良い馬車の開発をしてみるのも面白いかもしれないな。


ただ一人だけ、それでも車酔いをしてしまっていたトニーを眺めながらそんなことを考えていた。




クルマが町の入り口に止まると、警護兵2人が「何事だ!」と飛んできた。


彼らへの説明をベルとサイモンに任せ、俺は町への入場許可が出るのをクルマの中で待つことにした。

その最中に商人のキャラバンが町に到着し、警護兵に通行証のようなものを見せ、兵士からの質問に2、3答えるだけで町の中に入っていった。

俺はクルマの傍らでまだ具合が悪そうにしているトニーに、その通行証のようなものについて訊ねてみた。


「あれは各地を移動する必要がある商人や旅人らに発行されている、身分証明書のようなものです。

 あれが無いと、町に入る審査に何日もかかったり、下手をすると町に入ることすらできない事もあります」


ふむ・・・

今後のことを考えると、俺もその証明書を作ってもらったほうがよさそうだ。


「俺でもあの証明書は出してもらえると思うか?」


「そうですねぇ・・・

 町長に信頼されることができれば、可能じゃないでしょうか」


町長か・・・

町の有力者の信頼となると、どうすりゃいいんだ・・・。


俺がそんなことを考えていると、

「でも、ベルさんが貴方のことを気に入ったみたいなので、あまり心配する必要はないかもしれませんよ」

などとトニーが気になる事を言ったが、その意味を聞く暇もなく彼は駆け出して町の入り口から離れた場所に移動すると、地面に向かってオートリバースを繰り返していた。


そのトニーの姿を見て、ベルは「だらしないなぁ・・・」などと呆れ顔で呟いていた。




トニーの言葉の真意は、しばらくしてすぐに分かった。

警護兵が町長を連れてきて俺に会わせてくれた時に、ベルが「父さん」と呼んでいたからだ。

その町長さんは、ベルを見て「またお前はそんな格好をして」と彼女のことを叱っていた。

どうやら町長にとって娘の選んだ職業は、あまり自分の意に沿ったものではなかったようだ。


町長はベルへの説教が終わると、俺のほうに歩み寄ってきて

「君が報告のあった、旅の魔導器製作者クリエイターかね?」

と訊ねてきた。


「はじめまして町長さん。

 魔導器製作者クリエイターで、魔導器のテストのために旅をしているキサラギ・カオルです。

 移動中に仕留めた魔物の毛皮などを売りたいのと、装備の補充のために町に入る許可が欲しいのですが・・・」


「町長のドルカスだ。

 ベルの言う擁護はともかくとして、サイモンの見立てでも君は盗賊団とは関係が無さそうだというし・・・

 国にとって貴重な人材でもある魔導器製作者クリエイターを無碍にもできん。

 良かろう。町への滞在を許可しよう」


「ありがとうございます」


滞在許可が下りたことで、証明書の件を切り出すかどうか悩んでいると、町長から滞在の条件が出された。


「ただし、しばらくの間は君へのお目付け役として、ベルとサイモンを付けるがかまわんかね?」


どうやら完全に信用してくれたわけでは無さそうだ。

まぁ、当然といえば当然か・・・。

いくら娘が信用したからといって、親である町長がそれを鵜呑みにするようでは、町の安全を預かれないだろう。

であれば、証明書の件はきちんと信頼を得てから頼んだほうがいいだろう。


「問題ありません。

 自分はずっと研究室に引きこもっていた世間知らずですので、彼女らがガイドとして傍に居てくれたほうが逆に助かります」


「わかった。ベルとサイモンはガイド代わりに使ってもらってもかまわん。

 魔導器製作者クリエイターの珍しい話しも聞きたい。

 用事を終えたら、今晩は当家に泊まるといい」


そういい残し、町長は警護兵に滞在許可証の発行を指示すると、仕事を片付けに町役場へと戻っていった。


仕事に戻っていく町長の後姿を見てベルは、

「あちゃぁ~、これで今晩は家に戻らないといけなくなった・・・」

などとうな垂れている。


なるほど。

どうやら俺は娘を家に連れ戻すダシに使われたようだ。


事情を察したサイモンは、クルマレガシィの陰で笑いをかみ殺していた。





町に入った俺たちは、まずアイテムを売るためにベルたちが良く利用している雑貨店へ向かった。

その雑貨店はフローリアス王国全土に支店を持つメイベル商会の店舗で、実はこのベルドは創業の地なのだという。


辺境の地にしてはやや立派なつくりの店の正面にクルマレガシィを停め、店内に入る。

レガ子とサイモンにはクルマレガシィの中に待機してもらい、見張り役をしてもらった。


「お邪魔します。

 買取をお願いしたいのですが、今いいでしょうか?」


すると店の奥から15歳くらいの可愛らしい女の子が「いらっしゃいませ」と言いながら出てきた。

この子は店員の娘さんか何かで、もしかして店番をしているのだろうか?


目利きの店員を呼んでもらわないと品物を見せることができないので、大人の店員を呼んでもらうことにした。


「お嬢ちゃん、買取品を見てもらいたいんだけど、品物を見れる大人の人は今居るのかな?」


すると娘さんは顔を真っ赤にして

「誰がお嬢ちゃんやて?

 わてはこう見えても29歳の大人やで!」

と怒り出した。


「えっ?」


俺がびっくりしてあっけに取られていると、入り口のドアの影に隠れていたベルが大爆笑しながら入ってきた。

そんなベルの姿を見て、彼女はさらに険しい表情になった。


「ベ~~ル~~~、あんたまた事情を知らない素人さんを連れてきて、私をからかって遊びおったな!」


「あははは・・・ごめんごめん。

 でも今回の客は、本当に上物の毛皮とかを持ち込んできた人だから、許してちょうだい」


店員の少女に平謝りするベル。

彼女の様子から察すると、この手のドッキリを頻繁に仕掛けていたみたいだ。


かなり怒っていた彼女だったが、〝上物の毛皮〟と聞いて態度を一変。

商売人の顔になって、極上の笑顔で俺への応対をはじめた。


「失礼しました、お客様。

 本日はどのようなお品物をお持込で?」


その突然の豹変ぶりに、俺は対応が取れずにポカ~ンと棒立ちになっていた。

そんな俺に対して、店員の女性は首を傾げて再度話しかけてきた。


「お客様?

 どうかされましたか?」


「あ・・・いや。

 俺は旅の魔導器製作者クリエイターでキサラギ・カオルだ。

 まずは旅の最中に仕留めた草原の狼ステッペンウルフの毛皮を見てもらいたい」


「メイベル商会社長の、メイベル・ルィーズ・アシュレイです。

 ハーフエルフなので、これでも見た目よりもお姉さんですよ」


なんと、あの見た目で俺と1歳しか違わないとは。

ハーフエルフは合法ロリっ子だったのか・・・。


よく考えれば、彼女が社長であることに驚くべきだったのだが、合法ロリのほうに気を取られてしまい、そんなことはまったく気にならなくなっていた。


しかしそのことが、逆にメイベルの気を良くしたようで

「あれ? 驚かないんですね。

 この話しをすると大半の人が〝お前みたいな小娘が社長なのか!〟と驚くのですが」

と上機嫌で問いかけてきた。


「見た目と商才の有無は関係ないだろ?

 今毛皮を持ってくる」


俺はそうメイベルに行って、クルマレガシィまで品物を取りに戻った。

決して〝合法ロリ〟の事を考えてしまったのが恥ずかしくなって逃げたわけじゃない。

(と思う・・・)


クルマレガシィから草原の狼ステッペンウルフの毛皮を9枚取ってくる。


それを見てメイベルは「ほぅ」と息を吐いて、細かな部分を検分し始めた。

その顔は、掘り出し物にめぐり合った時の商人の表情だった。


「どうやって仕留めたのかは分からないけれど、剣や弓矢による傷がまったくない立派な状態じゃない。

 2つほど首の部分に刺し傷があるけれど、それでもここまできれいな状態の1枚ものは滅多に出ないわよ♪」


その2つは、俺がとどめを刺したやつだ。


メイベルは楽しそうに9枚の毛皮を検分し終えた。


「これなら1枚に付き、金貨2枚は出すわよ。

 どう?」


どう?と言われても、俺には相場が分からないので、その条件で了解をする。

後で聞いた話しだが、草原の狼ステッペンウルフの毛皮に金貨2枚は破格の買取価格だそうだ。

通常はその半分以下の値段らしい。

傷や欠損がないモンスターの毛皮は、貴族などが財力を自慢するために高値で買い取ってくれるそうだ。


メイベルから毛皮の代金、金貨18枚を受け取る。


「で、他にも何かあるの?

 ベルは〝毛皮とか〟って言っていたけれど」


見た目が少女でも、さすが商人。

ベルが発した言葉の細かなところまでちゃんとチェックしていた。


「ああ、上物の砂糖とか塩があるのだが、あいにく小分け用の入れ物を持っていなくて。

 手持ち全部を売ることはできないので、小瓶を売ってくれたら、それに入れて持ってくるがいいか?」


「それなら、量り売り用の容器があるの。

 それを譲りますので、そちらに入れて持ってきてください」


そう言ってメイベルは、大きさが計量カップ(200ミリリットル)ほどの大きさの瓶を取り出してきた。


その大きさなら・・・・

「自分の保管用も入れて、その瓶を10個ほど売ってもらうことはできるか?」


「分かりました、今ご用意します」


そうしてメイベルが出した瓶を受け取って、一度クルマレガシィに戻り、イベントリから出した「伯○の塩」と「上白糖」「グラニュー糖」をそれぞれ3瓶ずつに詰め替え、そのうち2瓶ずつを改めてメイベルのところに持ち込んだ。


残った各1瓶は、イベントリに新規登録させて記憶させた。

これで今晩の0時になれば、袋の中の塩や砂糖が加護で復元され、瓶の分だけアイテム量を増やせることになるはずだ。


メイベルは持ち込まれた塩や砂糖の純度の高さに驚いていたが、俺の職業を魔導器製作者クリエイターと聞いていたため、こういった塩や砂糖を精製できる魔導器があるのかもしれないと勝手に解釈し、買取値段を出してくれた。


塩は一瓶につき金貨1枚と銀貨10枚、上白糖とグラニュー糖は一瓶につき金貨3枚が付いた。

ちなみにこの国の貨幣は20進数らしく銅貨20枚で銀貨1枚、銀貨20枚で金貨1枚となるそうだ。

なお銀貨3枚で3日分のパンが買え、労働者の日当が銀貨8枚程度というので、砂糖や塩がいかに高級品であるのかが分かる。


計量用の瓶は10個で銀貨1枚らしいのだが、メイベルはタダにまけてくれた。

その代わり、今後も取引はできる限りメイベル商会を使って欲しいという事だった。

ぶちゃけ、「今後も瓶くらいタダであげるから、上物の砂糖や塩は全部メイベル商会に持ち込め」みたいなことを店を出るときに言われた。

実に商魂たくましい女の子だ。


俺は受け取った売却金額から金貨6枚をベルに渡した。

草原の狼ステッペンウルフを解体して毛皮にしてもらった報酬である。

ベルは「少し多いよ」と言ってくれたが、「サイモンとトニーと3人で分けるなら金貨で割り切れるほうがいいだろ?」と言って納得してもらった。

ま、俺からのお礼の気持ちを上乗せしただけなんだけどね。


取引を終えてクルマレガシィに帰ると、レガ子とサイモンが難しい顔をして俺たちの帰りを待っていた。


「なにかあったのか?」


するとレガ子は声を潜めて・・・

「薫さま、レガ子は盗賊団のアジトを見つけちゃったかもしれないの」

などという、とんでもないことを言い出したのだった。



ということで、ハーフエルフの合法ロリっ娘が新規キャラで登場しました。


主人公が最初に立ち寄ったお店の女主人が、合法ロリで、行く先々にも支店を持っていて、そこになぜか必ず居るのはエロゲのファンタジー系ではお約束ですよね?(マテwwww


ということで、このメイベルちゃんは、今後あちこちで主人公に絡んでくる予定です(苦笑。



金貨、銀貨、銅貨の通貨単位は、実際の中世ヨーロッパ時代のようにすると、貨幣に含まれる貴金属の割合で、国ごとの硬貨によって価値が違ってきてしまい、物語を進行していく上でややこしくなるため、この世界では国が変わってもこの大陸にあるある国家みな共通の通貨規格で貨幣を作っていることにしてしまいました(汗笑。


おつりを小銭を持ち歩くことを考えたら、20進数くらいが限界だと思うのですが、いかがでしょうか?

100進数だと、銀貨1枚の商品を金貨で買って、銀貨99枚のお釣りとか・・・重くてかさばるので考えたくないです・・・。

かとゆって10進数だと、金貨と銀化の価値の釣り合いが・・・・。


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