プロローグ 第2話 ~レガ子の願い~
ドライブ中に愛車ごと異世界に飛ばされたと思ったら、愛車に自我が芽生えて、身長40センチほどのメ○タルモデルが誕生。
彼女の名は〝レガ子〟
そして俺は彼女のオーナー様らしい
「君は・・・誰かな?」
「オーナーさまのかわいい愛車〝レガ子〟ですよ♪」
俺の疑問に、躊躇することなく即答で応じてくれた、全長40センチほどのいろんな意味で小さな女の子。
どうも〝レガ子〟というのがこの娘っ子の名前のようだが・・・・
えっ?
俺の愛車だって?
「愛車っていうと、君はもしかしてコレなのか?」
ダッシュボード越しに、フロントガラスから見える愛車レガシィのボンネットを指差す。
「はいっ。この子に宿った八百万の魂がレガ子です♪」
〝この子〟と呼びながら、レガシィのセンターコンソールに手を伸ばして撫でる姿は、まるでクルマをわが子のように大切にしている愛車家のようだ。
このクルマの持ち主である自分としてはちょっと複雑な気分だ。
「オーナーさまも、先ほど撫でてくださいましたよねっ♪ ありがとうございます」
「うっ・・・・」
レガ子が向けた無垢な微笑みにちょっと赤面しながら視線をそらす。
う~~ん、リアル女性への耐性が相変わらず弱いなぁ・・・・俺・・・・・・
「で・・・・その八百万の魂さんが、なんで女の子の姿になって突然現れたんだ?」
「それは、オーナー様がレガ子を捨てようとしたから・・・〝オーナー様と離れたくないっ〟って強く願ったら、レガ子よりもはるかに上位存在の神様が願いを聞いてくれて、レガ子に実体をくれただけじゃなくて、オーナー様とレガ子が離れられないように手を打ってくれましたっ♪」
んっ?
今・・・何かとんでもないことを言っていなかったか?
彼女の機嫌を損ねるといけないから、とりあえずは当たり障りの無さそうなところから訊いていこう。
「俺が、レガ子のことを捨てようとしたというのは?」
「だって・・・オーナー様・・・・『そろそろお前も引退かなぁ・・・』って言っていました。老朽化したレガ子は用済みの、お払い箱だったんですよね?(涙目)」
あぁ・・・確かに言った。
(上目づかいで涙溜めて、かわいいじゃないかっ)
でもそれは・・・コイツの耐久性が過走行によって限界に近づいているからであって・・・。
「そんなことは全然思ってないよ。俺だって、まだまだコイツに乗っていたいと思っているよ」
「だったらなんで・・・(ぐすっ)」
「でもね、さすがに製造から16年間経っているし、30万キロも走ったからボディ剛性も足回りも、エンジンもガタガタなんだよ。そろそろコイツも引退させて、休ませてあげるべきなんじゃないかな?」
そう言って、レガ子の頭を撫でようとしたら・・・
思い切りレガ子の手で撥ね退けられた。
「そうして、レガ子はスクラップにされちゃうんですよね? 解体場でバランバランのギッタギッタに切り刻まれて、スプラッタなくず鉄にされちゃうんです!」
「いや・・・」
「それともオーナー様は、引退した後のレガ子を手元に置いてくれるんですか? そして現役の時と同じように愛してくれるんですか?」
「さすがに東京都内の車庫事情を考えると2台持ちは・・・・」
「ほらっ、やっぱりレガ子は捨てられちゃうんです! きっとオーナー様も16歳になったババァよりも、生まれたての無垢な娘っ子(新車)の方がいいんですよねっ!!」
やばい・・・・
レガ子が暗黒面に落ちかけている・・・。
(瞳のハイライトが無くなりかけている気がする)
というか、その言い方だとまるで俺が新生児フェチのヘンタイみたいじゃないか!(汗。
俺は〝ロリではあるが、ペドではないんだ!〟
だいたい16歳でババァとか言ってしまったら、世の中のJKたちが怒り出すぞ。
とにかくこのネタを続けるのは危険だ。
別の話題を振って話しを変えないと・・・。
もしも愛車が擬人化したら、なかなか廃車にできないですよね?
もし廃車にしようとしたら・・・・
たぶん間違いなく愛車がヤンデレ化します(汗笑。
そんな状況を想像しながら、後半の会話を組み立てました。
結構楽しかったです(笑。