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第1章 第10話(第17話) ~女神(リーゼ)の目的と世界の危機~

レガ子「作者さまっ。

    レガ子は最後お嫁さんになれるんですよね?」


作者「さぁ・・・」


レガ子「ダメなの! ダメなの! ダメなのっ!」


女神リーゼ「大丈夫ですよ、レガ子ちゃん。

   薫さんには〝女難の相〟の加護を付けておきましたから、そう簡単には他の女性に奪われたりしませんよ」


薫「お前らなぁ・・・・」


作者「でも〝女難の相〟って、ハーレム系主人公のお約束スキルじゃないかな・・・」




ということで、前回までのおさらいです。


この異世界と元の世界は、双子みたいな関係の次元世界だった。

大昔に女神リーゼのドジで、この世界の文明が滅んだ。

またその影響で元の世界の生き物は魔力が使えなくなった。

女神には命の大切さが分からいようなので、友達になって学んでもらうことにした。


「それなら、今からリーゼとは友達だ。

 それなら問題ないだろう?」


リーゼの目を見ながら、彼女の手を握る。

あと友達になったなら、〝駄女神〟は止めてあげないとな。


するとリーゼは顔を真っ赤にしながらオタオタしはじめ・・・


「お友達っていままでいなかったので・・・

 どうすればいいか・・・・

 こんな私でよければ、よ、よろしくお願いします」


と、照れながら俺の手を握り返してきた。


そしてその隣では、なぜかレガ子の機嫌が悪くなっていた。




「オーナーさまっ!

 浮気なの。

 浮気なの。

 これはもう浮気なのですぅ!」


こいつはいったい何を言い始めたんだ?


「浮気もなにも、俺とレガ子は恋人とかじゃないだろう」


「ダメなの!

 オーナーさまはレガ子のものなのっ!

 レガ子とオーナーさまは一心同体なのっ!

 レガ子とオーナーさまは、運命の・・・・」


「運命の?」


「う・・

 運命のタイミングベルトで結ばれているのっ!」


おぃ・・・

それだと10万キロくらい走ったら要交換だぞ・・・・


でもまぁ・・・

レガ子らしい面白い例えだよな・・・。


「くっ、くっ、くっ

 あはははははっ・・・」


「オーナーさま、何を笑っているのですか。

 レガ子は本気なのっ!」


さらに食って掛かってきそうなレガ子の頭を撫でて、それを止める。


「わかってる。

 でも、レガ子も最初は友達からスタートだ」


「ぶぅぶぅ・・・」


まだ不満そうにしているので、もうひと押ししておく。


「ただまぁ・・・

 レガ子との付き合いは長かったみたいだからな・・・

 幼馴染の親友的ポジションに格上げしておいてやる」


「わ・・・わかったの。

 今はそれで満足しておいてあげるの」


どうやら〝幼馴染〟とか〝親友〟という単語が気に入ったようだ。

レガ子は自分でその単語を反芻してはニヤけている。

見ていて少々気持ちわるいが、機嫌がなおったようなでそのままにしておくことにした。


「じゃぁ、レガ子はこれから俺のことを呼ぶときに〝オーナーさま〟は禁止な」


「どうしてなの?」


「友達なのにその呼び方はおかしいだろ?

 〝如月さん〟とか〝薫さん〟とかでいいからさ、名前で呼んでくれよ」


するとレガ子は呼び方を変えることに最初は抵抗していたものの、やがて困った表情を浮かべながら「う~」とか「あ~」とかかなり悩んだ末に妥協案を出してきた。


「で、では・・・

 か・・・薫さまで・・・・」


本当は〝さま付け〟も何とかして欲しかったのだが、俺もここで妥協しておこう。

顔を赤らめながら「薫さま」となぜか繰り返し呟いているレガ子も、まんざらではなざそうだしな。

あと、レガ子は怒って興奮すると〝なの言葉〟になるようだ・・・。





さて話しが思いっきり脱線してしまった。

重要なことをまだリーゼから聞いていないので、再度質問してみる。


「リーゼは、俺たちにこの世界で何をして欲しかったんだ?」


「いいんですか?

 お願いしても・・・・」


「無茶な要件でなければ、〝友達〟からの頼みごととして聞いてやる。

 ただし、リーゼも手伝えよ?」


「はいっ。

 ありがとうございます」




リーゼのお願いというのは、かつてこの世界の文明を破滅に導いたリーゼの忘れ物がベースになっている魔導装置を、奪還もしくは破壊して欲しいというものだった。


数千年前にかつての魔法王国が魔導装置の暴走で滅んだあと、リーゼはその魔導装置を探したそうだ。

しかしその時は見つからず、装置は破壊されて消えたものだと思ったそうだ。

ところが、30年ほど前にその装置のコア部分が大陸北端にあるミノア帝国の地下深くから発見されてしまった。

慌てたリーゼは、コアの回収を試みたが女神自身が次元世界に顕現するためには神の力の大半を世界樹に置いてこなければならず、リーゼ自身の力による回収はほぼ不可能。

そこで、その当時に俺の世界に居た人間をこの世界に転移させ、女神の加護と強い魔法の力を与えて回収を依頼したそうなのだが・・・・


「その時この世界に来ていただいた人間はブラッドさんと言うのですが・・・

 彼は自身が身につけた魔法の力に魅了されてしまい、ミノア帝国を滅ぼしたあとは自らを魔導皇帝と名乗って国を乗っ取り、今の魔導帝国を樹立しちゃったんです」


「つまり・・・

 ミイラ取りが、ミイラになってしまった・・・と?」


「はい・・・・」


事の次第を全て打ち明け、シュンとうなだれるリーゼ。

どうやら欲望に負けてたブラッドでの失敗を反省して、今回は人間的な欲とは無縁である八百万の精霊〝レガ子〟に白羽の矢を立て、この世界に送り込んだ・・・ということらしい。

レガ子に最初から目的を告げていなかったのは、しばらく俺らを観察して依頼しても大丈夫かどうかを見極めるためだったそうだ。


「レガ子ちゃんや薫さんを騙すような事になってしまい、申し訳ありませんでした」


俺らに対して深々と頭を下げて謝罪するリーゼ。


「別にいいさ、そこまでして謝らなくとも。

 でも、そのブラッドとやらの件から30年もたった今になって、また俺たちを送り込んだのには理由があるのか?」


「どうやらブラッドさん、コアから魔導装置を復元しているみたいで、つい最近小規模ながら装置が動いた形跡があるんです」


「つまり緊急性が生まれちまったわけか・・・」


「はい・・・

 ただ検出したマナ変質の規模だと、かつての出力の10%も出ていないみたいなので、完成にはまだかなりの時間がかかると思います」


「もし、もしもだ・・・

 その魔導装置が完成して、再度暴走したら、今度はどうなるんだ?」


「高い確率で、この世界の葉が付いている枝の部分から世界樹が砕け、その枝から先に生まれている世界のすべてが滅びます。

 その中には薫さんが住んでいた元の世界も含まれます」


なんとなく予感はしていたが、やっぱそうなるのか・・・。


俺は大きく息を吐き、目を閉じた。

脳裏に頑固者の親父や優しい義母、口うるさいけど大切な愚妹の姿が浮かんだ。

次いで、今まで一緒にバカ騒ぎをしてきた友人らの顔が思い浮かぶ。


世界を救うとか、俺のガラじゃないんだけどなぁ・・・


でも、元の世界に残してきた家族の安全は守ってやりたいし、友人らの人生が突然終わるのも防ぎたい。

そのついでに、見知らぬ多くの命を守ることができれば、それはきっと素晴らしいことのはずだ。


「レガ子をレベル100にして、俺と同じにしてやる約束もあるしな。

 そのついでにこの世界の破滅を防いでみるのも悪くない・・・かもな」


「薫さん・・・」


「そうなのっ。

 オー・・・じゃなかった、薫さまの目標はレガ子を人間サイズにして、お嫁さんにしてくれることなの!

 だから、そのブラなんとかがレガ子の野望の邪魔になるなら倒してしまうのっ」


おいおい・・・

俺はいつお前と結婚する約束なんてした?


「レガ子の野望はとりあえず横に置いとくとして・・・

 当面俺たちはどう行動すればいいんだ?」


この世界のことが何一つ分かっていない今の状況では動きようがない。

なので3人の中でこの世界のことを一番知っているリーゼに助言を求めた。


レガ子は〝お嫁さん〟の部分を棚上げされたことに文句を言っているが、今は無視でいいだろう。


「わたしもこの世界を監視していただけなので、人間社会の情勢などは詳しくありません。

 ただ、今の状態でブラッドさんに戦いを挑んでも勝てる見込みはありません。

 なので、とりあえずは情報を集めながら旅を続けて、レベルアップによる能力の強化をしてください」


やっぱそうなるよな・・・


「あと、ブラッドさんには薫さんとレガ子ちゃんの存在をまだ知られたくないので、力をつけるまでは極力帝国には近づかないで欲しいかと・・・」


ふむ・・・


「となると・・・今俺たちが居るこの場所の確認と、周辺地理の状況を把握したいな。

 この世界の地図とかはないのか?」


「そうしましたら、世界樹の管理区域に帰った時に、あのクルマの位置情報システムにこの世界の地図を転送しておきます。

 あと自分の位置を特定する機能も使えるようにしますね」


「ナビ用の人工衛星がないのに、位置測位なんかできるのか?」


「世界の各所にある〝霊脈〟の噴出点を使って測位を行うようにしますので問題ありません。

 そういえば薫さんの世界では、〝霊脈〟のことを〝龍脈〟と呼んでいましたね」


「ナビシステムが使えるようになるのは便利だからぜひ頼む」


となると当面の問題は・・・


「この先には何があるのか、今わかるか?」


俺はレガシィの進行方向であった道の先を指さしリーゼに訪ねた。


「今いる場所はフローリアス王国と呼ばれている国の南端で、どこ国にも所属していない龍の森との国境近くです」


「ちょっと待て・・・

 龍の森ってまさか・・・」


「はい。

 薫さんが昨晩いらしたところです」


俺ら、そんな危険そうな名前の場所にいたのかよ・・・(汗。


「あ、大丈夫ですよ。

 あの森に居る龍さんたちには、薫さんたちに近づかないように言っておきましたから」


〝安全に配慮しましたよ〟言わんばかりにドヤ顔を決めるリーゼ。

いろいろと言いたいことはあるが、この女神に突っ込むだけ無駄なんだろうな・・・。


俺のため息に気づくことなく、周辺説明を続けるリーゼ。


「この先は・・・薫さんの世界の距離単位で100kmほど進んだ場所に、フローリアス王国最南端の町がありますね」


「100kmか・・・」


町までの具体的な距離を聞いた時、自分らが直面していた大きな問題を思い出した。


「そうだ、リーゼ。

 移動に必要なガソリンの補給って、いったいどうなっているんだ?

 お前、レが子に詳しい説明していなかっただろ」


「あぁ、それでしたら・・・」


俺の疑問にリーゼが答えようとした時、スマホが午前0時を告げるアラームを鳴らした。

そしてその次の瞬間、俺の身体と愛車レガシィのボディが光り出した。




本当であれば今回までの内容を前回にまとめるつもりだったのですが、物語を作るのってやっぱり難しいですね。

キャラたちの会話を整理することがこんなにも難しいとは思っていませんでした。


駄女神様は次回で一旦退場します。

そしてようやく燃料補給の謎について種明かしができそうです(汗笑。

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