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第2章 第41.7話  ~番外編・(ぽんこつ)女神リーゼさんのビルダー体験記 その4~

今回のお話しでポンコツ駄女神・リーゼさん視点での番外編は終了です。

書き始めた当初は、第1章の時と同じように2分割くらいで終えるつもりだったのですが、なんで倍の4分割にまで文章量が増えてしまったのやら・・・(汗。


次回は第3章を始めるか、それとももう1本だけ番外編を書くか、現時点でも少しだけ悩んでいます。

もし番外編を書くとすれば、第2章のラストに登場した工兵部隊指揮官のアヴァロさん視点のモノを書きたいと思っているのですが、どうしましょうかね・・・。

 1階部分の探索を終えた私たちは、次は自分らが実際に生活をする空間となる2階へと移動することにしました。


 階段を上がるとすぐの場所にあるプライベートスペースへの専用ドアをくぐり、生活のために作った専用エリアへと移動します。

 そしてリビングに足を踏み入れた途端、アリシアちゃんが驚きと共に大声で喜んでくれました。


「わぁ~~わたしたちココに住んでいいの?」


挿絵(By みてみん)


「まるで貴族様のお屋敷みたいなのニャ♪」


「いやいやいや・・・クリスの実家とか、貴族の屋敷はもっと部屋が広っかただろう」


「でも、お部屋の装飾とかは負けていないと思うよ? お兄ちゃん」


「そうじゃな・・・というより、我の実家や王城の部屋よりも快適そうなのじゃ」


 クリスちゃんとミャウちゃんはそんな事を言いながら、それぞれが二人用のソファーを占拠して寝転がってしまいました。

 前々から感じてはいましたが、クリスちゃんはお姫様のわりには行動が結構庶民的なんですよね~。

 まぁ、さすがにお城の中や他の人の前ではこんな風にダラケタ姿を見せたりはしないのでしょうが。


「お、お兄ちゃん! お台所が下のお部屋のものよりも豪華で凄いよっ!」


挿絵(By みてみん)


 さっそくキッチン側に回り込んだアリシアちゃんが、システムキッチンを前にして目を輝かせています。

 

「ダイニングテーブル側だけでなく、リビング側にもキッチン側から直接料理が出せるカウンタータイプになっているのか・・・。

 たしかにこれは使いやすそうだな」


 このキッチンをメインで使うことになるわたしたちのコック担当者様・・・ようするに薫さんの評価も高いようで安心しました。

 料理を作ってくれる薫さんの評価が高ければ、それだけ美味しいものが食べられるはずですから。


「しかし、リーゼが建築物に対してこんなにも造詣が深かったとは驚いたな」


「モノづくりってジャンルを問わずに好きなんですよ~。

 なので『新建築』とか『商店建築』などといった、薫さんの世界の専門情報誌は頻繁に読んでいますし」


 そういって、自分用の亜空間庫(イベントリ)から、今口にした雑誌の最新号を取り出します。

 すると、私からその本を受け取ったクリスちゃんが食い入るように中身を読み始めました。


「ほぅ・・・これはココに作る予定の町づくりの参考になりそうじゃな」


「だが、この本をそのまま工兵隊の人たちに見せるのはダメだぞ」


「わかっておる・・・彼らには我やカオル殿が提案を出すようなスタイルで、この読み物から得た知識を新しい町づくりのヒントとして出していくしかないじゃろう。

 なので・・・じゃ、この本は少しの間貸してもらえんじゃろうか?」


「ええ、かまいませんよ~。

 なんでしたら、バックナンバーを含めて数冊出しておきますね~」


 亜空間庫(イベントリ)から新たな雑誌を取り出して、クリスちゃんに手渡します。


「そういえばこの世界の町って、汚水の処理はどうしているんだ?」


「なんじゃ突然」


「いやな、ベルドやロイドに滞在していた時、街中で汚水臭を感じることがほとんど無かったんでな・・・ちょっと不思議に思っていたんだ。

 俺の世界では、文明度がここくらいの時代には糞尿の処理が雑な都市が結構多くて、裏路地なんかは結構悪臭が酷かったらしくてな・・・」


「貴族や金持ちの屋敷だと、それぞれの建物に汚水処理用のスライムを使った設備を地下に持っていたりするのう」


「汚水処理用のスライム?」


「黒スライムというのじゃがな、糞尿やら生ごみなどを体内に取り込んで、無害な水や空気に変えてて排出してくれるのじゃ」


「また便利な生き物が・・・・俺の世界の下水処理関係者が聞いたら、泣いて喜びそうな話だぞ」


「ただのう・・・庶民の一般的な家ともなるとなかなか難しくてな、黒スライムの数が足りずに汚水が処理槽からあふれ出すことも時折あるようじゃな」


「私が住んでいた村だと、共用のおトイレにしか黒スライムは居なかったからねー」


「ミャウの村も同じだニャ」


「その黒スライムというのは希少生物なのか?」


「繁殖が難しいのじゃ・・・、窓の材料となる白スライムは簡単に増えるのじゃがのう・・・。

 それに処理槽の中で死んでしまう事も多くてのう・・・」


「すると、ここに作る町でも汚水処理が問題になりそうだなぁ・・・この建物でやっているような方法(チート)は普及させるのは不可能だし・・・」


「あの~~、黒スライムの繁殖方法や長生きさせる方法なら、多少心当たりがありますよ~」


「リーゼ殿、本当か!?」


「まぁ、この世界の生き物の情報は世界樹のデータベースに全て網羅されていますからね~。

 そこを調べれば黒スライムの生態も簡単に判明すると思いますよ~」


 わたしの提案を聞いて、薫さんとクリスちゃんが何か考え込みはじめました。


「となると・・・あとはその方法の公表方法だな」


「じゃな。

 町づくりは我らがここを留守にする間にも進めていく事になるので、古代遺跡から得た知識・・・みたいにして工兵部隊に教えてしまうのがよいじゃろう」


「ということだから、その方法とやらを近いうちに調べておいてくれ」


 薫さんが新しいお仕事を投げてきたので、わたしからも見返りとして要求を出すことにします。


「美味しいお酒と、それに合ったお料理が欲しいです」


「えっ?」


「だからぁ~~、お仕事の報酬として、お酒とおつまみっ!」


「わかった・・・特別に何か考えておくよ」


 そんな私と薫さんとのやり取りを見ていたクリスちゃんは、なぜか盛大なため息をついています。


「はぁ・・・リーゼ殿の正体が国民にバレたら、教会へのお布施が酒ばかりになりそうじゃ・・・」


 教会のお供え物がそのまま私の所に転送されてくるなら、それはそれで大変魅力的なのですが。

 今度どこかの世界で、私への直送転送陣付きの教会でも普及させてみようかしら・・・。


(あん)ちゃん、そろそろ竜のおじちゃん達が帰ってくる頃じゃないかにゃ?」


「おっ、もうそんな時間か。

 じゃぁ、最後にそれぞれが自分の部屋を確認してから外に出よう。

 あとハンスさん達は俺より若いんだから、おじちゃんは可哀そうだぞ」


「にゃはっ」


 ミャウちゃんは笑いながらソファーから飛び降りると、リビングの隣に作られた自分の部屋のドアを開けて中に駆け込んでいきました。

 そしてその後を追うように皆さんがその部屋を覗きに行きます。


挿絵(By みてみん)


「ほう、これがミャウの部屋か。

 意外にも予想に反して、それなりに女の子らしい内装なんだな」


「むぅ・・・(あん)ちゃん、それどういう意味だにゃっ!

 ボクだって女の子にゃんだよっ!」


 薫さんの迂闊な発言を聞いてしまったミャウちゃんが、彼の腹部にパンチを入れました。

 しかも少々本気のパンチ(獣人族の怪力スキル的な意味で)だったようで、薫さんは腹を押さえて床にうずくまってしまいました。


「はぁ・・・お兄ちゃんは時折デリカシーが無い時があるよね」


「まぁ、カオルどのだしのぅ」


「ちなみにこの内装は、ミャウちゃんが自分で選んだものですからねっ。

 薫さんはきちんとミャウちゃんに謝って、その認識を改めた方がいいと思いますよ~。


「す・・・すまん・・・」




 次は隣にあるアリシアちゃんの部屋に移動します。


挿絵(By みてみん)


「へぇ、アリシアらしい可愛い部屋なんだな」


「えへへへ・・・」


「むぅ・・・ボクの時とあまりにも感想が違うにゃ・・・」


「窓のカーテンはお空の模様になっていて、リーゼお姉ちゃんにお願いして作ってもらったんだよ」


「アリシアちゃんは壁紙の柄も、女の子らしい可愛いものを選びましたからねぇ~」


 わたしもこういった装飾に憧れた時期もありましたが、この歳(約300億歳)にもなると痛いだけです・・・。

 世界樹の管理領域を乙女チックな装飾で埋め尽くした過去の事は、黒歴史としてしっかりと封印しておかなければいけませんね~。


「私の部屋はベランダにもつながっているから、みんなのお洗濯ものは任せてねっ」


「ボクも手伝うにゃ」


「もしかしてアリシアがこの部屋を選んだのって・・・」


「うん、お台所に近いし、家事全般がしやすそうだったからだよ」


 うぅぅ・・・

 トイレや洗面所が近くて、最低限の移動で引きこもり生活ができるという理由で部屋を選んだわたしには、常に何事にも一生懸命なアリシアちゃんが眩しすぎますよ~。




 わたしが自己嫌悪に陥っている間に、薫さんらはリビングに戻って反対側の扉から出入り口側の廊下へと移動してしいました。

 慌てて皆さんの後を追ってその廊下へと出ると、薫さんがちょうどリビング横にある部屋のドアノブに手をかけて、まさに開けようとしているところでした。


「ここは誰の部屋だったっけ?」


「そ、そこはわたしの部屋なのでぇ~、開けるのはちょっとまってください~~っ」


 部屋の中には、わたしの個人用亜空間庫(イベントリ)から出しておいた秘蔵のお宝が置きっぱなしになっています。

 アレを見られるのは、少しだけマズイような気がします。


 薫さんの動きを遮るように、彼とドアの間に慌てて身体を割り込ませたものの、足がもつれてしまって部屋の中に転がり込んでしまいました。


「痛たたた・・・」


 起き上がって部屋の入り口にいる皆さんを見ると、なぜか全員が呆れた表情をうかべて部屋の一点・・・机の上を見つめています。


挿絵(By みてみん)


「なぁ・・・なんでこの部屋にはすでに酒瓶があんなに置かれてるんだ?」


「カオル殿、それは聞くだけ野暮というものではないかのう」


「お、お姉ちゃんだしね・・」


「飲兵衛な女神様だから仕方がないにゃ」


 うぅぅ・・・本当の事だから反論できません・・・。


「そういえば、酒瓶の横にあるパソコンみたいなものは何なんだ?」


「これはもちろんパソコンですよ。

 ただ世界樹の管理システムと同じOSで動いていますけどね~。

 薫さんの世界のパソコンのOSもエミュレーションもできますから、あちらの世界のゲームとかも動かせますよ」


「それはすごいな・・・どんなシステムなのか興味があるな」


「世界樹にアクセスするための管理権限はありませんが、同じものを薫さんのお部屋にも用意していますよ~」


「マジか!?」


 そう言うと、薫さんは自分の部屋へと走っていきました。

 これでこのお酒の事から話題を逸らすことが出来たようで安心しました。


 ホッとしながら薫さんの後を追うように廊下に出ると、そこにはアリシアちゃんが笑顔でわたしを待ち構えていました。

 そしてその笑顔が何処かしら怖いです。


「お酒の飲みすぎは身体に悪いから、1本だけを残して残りは私がお台所で管理するからねっ」


「えっ、ちょっと待ってください。

 せ、せめて3本・・・いや2本だけ残して・・・」


「お兄ちゃんの許可があれば、ちゃんと追加のお酒を渡すよっ」


 そ、それって結構絶望的なんですがぁ~~。


「しくしくしく・・・」


 亜空間庫(イベントリ)にはまだお酒の隠し在庫はありますが、ここに出しておいたものはみな特別な高級酒ばかりで予備はほとんどないんですよ~~。

 世界樹の私室に置いてあったお気に入りのお酒は、あの子(シスターズ)たちに全部捨てられてしまいましたし、これはどこかで在庫補強をしないとピンチです。



 台所にお酒を保管し終えたアリシアちゃんと一緒に薫さんのお部屋に移動すると、さっそく備え付けのPCを起動して遊んでいる彼の姿が目に入りました。


挿絵(By みてみん)


「コレ、見た目に反してすごくスペックが高くないか?」


「それは一応DNAコンピュータですからね~。

 単純な処理能力だけでいえば、薫さんの世界にある半導体素子型のスーパーコンピュータよりも遥かに高性能ですよ~」


「げっ、こんなところにもオーバーテクノロジーの塊があったとは・・・」


「薫さんの世界のインターネットにもつながっていますので、引きこもりには最適・・・じゃなかった、調べものをするときにも便利なはずですよ~」


「今一瞬リーゼの本音が漏れていたような気がするが、聞かなかったことにしよう」


「あとリビングのテレビもネットテレビになっていますから~」


「ほんと、そういうところは手を抜かないんだな・・・」


「褒めても何も出ませんよ~。

 なので、むしろお酒を出してください」


「さっき部屋にいっぱいあっただろ」


「全部アリシアちゃんに没収されました・・・くすん」


「全部じゃないよ、1本はお姉ちゃんのお部屋に残してあるよ」


「しくしくしく・・・」


「そういえばクリスちゃんらは?」


「リーゼから預かった本を置きに隣にある自分(クリス)の部屋に行ったぞ」


「じゃぁ私もそっちに行ってるね」


 アリシアちゃんが部屋を出ていくのを確認すると、薫さんがわたしの横に移動してきました。


「まぁ、元気出せ。

 あとで遺跡の貯蔵庫から年代物のヤツを持ってきてやるから」


「本当ですか?

 約束ですよ!」


「今回はリーゼがかなり働いてくれたからな。

 それくらいなら特別ボーナスとして出してあげるよ」


「うぅぅぅ・・・捨てる神あれば、拾う神ありです」


「いやいやいや、あんたが神様だから!」




 薫さんに鋭いツッコミを入れられながら隣の部屋・・・クリスちゃんの私室に移動すると、彼女たちはベッドに腰かけながら談笑している最中でした。


挿絵(By みてみん)


「クリスちゃんは本当にこの小さな部屋でよかったの?」


「ココで生活するようになれば、カオル殿と相談することも増えるだろうからの。

 カオル殿と部屋が近い方が何かと便利そうなのじゃ」


「たしかにその立地条件は魅力的なのにゃ」


「そうじゃのう・・・不満というか悩みがあるとすれば、あのクローゼットに収まる量に実家から持ち込むドレスを厳選せねばならない事かのう・・・」


「クリちゃんはお姫様だもんね。

 お洋服とかいっぱい持っていそうだよね」


「貴族の見栄のために、パーティの度にドレスを新調するのは無駄なのじゃがのう・・・」


「共用スペースの空き部屋とかをドレス保管庫にでもするか?」


「我だけそのような特別待遇をしてもらうのはのう・・・」


「あのぉ~なんでしたら部屋にあるクローゼットの中を、亜空間庫(イベントリ)に改造しちゃいましょうか?」


 わたしの提案を聞いて、みなさんが固まってしまいました。


「リーゼ・・・女神の秘術を大安売りをしすぎだ・・・」


「あのクルマとやらに付いている無限収納と同じものがあるのは便利なのじゃが・・・寝ている真横にその入り口があるのは、寝ている時に吸い込まれそうでちと怖いのう・・・」


「私が創る装置は暴走なんかしませんよ~(・・・たぶん)。

 それにクリスちゃんたちは、あのクルマの亜空間庫(イベントリ)の上で何度も寝ているじゃないですかぁ~」


「あはははは・・・」


「まぁそういった事態になるとしても、カオル殿が我らの親に挨拶をして回った後の事だしのう。

 その辺の事は、婚姻後にココへ戻ってきてからでよいじゃろう」


「今は荷物も少ないしね」


『そろそろ竜騎士のヒヨッコどもが帰ってくるのっ。

 だから新居探検は切り上げて、いい加減帰ってきてほしいのっ』


 クリスちゃんの部屋の外・・・バルコニーの辺りを飛んでいたドローンのスピーカーから、外の監視任務を続行しているレガ子ちゃんからの指示が聞こえてきました。

 どうやらこの建物の案内は、これでいったん終了のようです。


「じゃぁ、そろそろ外に戻ろうか。

 いつまでもレガ子だけにカレー鍋の番をさせておくと、あとで機嫌をとるのが大変になりそうだしな」


「お兄ちゃん、今日のお昼はカツカレーだったっけ?」


「カレーはルウを入れるだけになっているし、ご飯も炊き終わっている。

 だから後は下準備を終えているビッグホーンの肉を牛カツ風に揚げるだけだな」


「私手伝うよ」


 食事係でもある薫さんとアリシアちゃんを先頭にして談笑しながら建物の外へと戻ります。

 外では、レガシィの脇に設置したアウトドアコンロに置いた大型の両手鍋の上をレガ子ちゃんが飛びながら、鍋に差し込まれたお玉を時折動かして調理の補助をしていました。


「薫さま、遅いのっ!

 灰汁取りはもう飽きたのっ!」


「ごめんごめん。

 中の具材もちょうどイイ感じになっているな」


 そういって薫さんは弱火になっていたアウトドアコンロの火を止めると、鍋の中にカレーのルウを入れていきます。


「お兄ちゃん、なんで火を止めたの?」


「ああ、煮立っている状態でこのルウを入れるとな、鍋の中で表面が固まってダマになってしまうことがあるんだよ。

 で・・・ルウがしっかりと溶けたら5分ほど弱火で煮込んでトロミを付けるんだけど、これはアリシアに任せていいかな?」


「うん、任されたよ」


 そういって薫さんはアリシアちゃんにかき混ぜるための木べらを渡すと、自身はカツを揚げるための準備に入ってしまいました。

 イベントリから取り出されたビッグホーンの肉は、すでに小麦粉やパン粉がまぶされており、本当にあとは揚げるだけの状態のようです。

 どうやら薫さんは朝のうちに昼食の下準備をあらかた済ましていたようですね。



 やがて私の魔力感知の範囲内に、ハンスさん達が乗っているワイバーンらしき気配を感じました。


「薫さん、そろそろハンスさんらが戻ってくるみたいですよ~」


「そうか、残りのカツの処理もアリシアに任せて大丈夫か?」


「うん、火傷にだけ気をつければいいんだよね」


「それじゃ、ハンスさんらがこの建物を見て驚く姿でも拝みに行きますかね」


「言い訳のでっち上げは、全て薫さんにお任せしましたからね~。

 がんばってくださいね~」


 徐々にこちらへと近づいてくるハンスさんらが建物を見て驚いているのが遠目からでもわかります。

 さて、薫さんとクリスちゃんがどのような言い訳をするのか見ものですね~。


 そんな事を考えながら、自分用の亜空間庫(イベントリ)から取り出した缶チューハイをテーブルの上にいったん置きます。

 視線は薫さんらの方を見たまま、その缶チューハイを再度掴もうとしたのですが、なぜか缶を掴むことが出来ずに、その手は空中を泳いでしまいました。

 缶酎ハイがあったはずの方向を見ると、そこにはその缶酎ハイを抱えてこちらを睨んでいるアリシアちゃんの姿があります。


「お姉ちゃんも午後から魔銃を撃つんだよっ。

 だから今お酒を飲むのはメッだよっ!」


「くっくっくっ・・・女神様もアリシア殿の前では、まるで食事時に説教される子供のようじゃのう」


 この様子を見ていたクリスちゃんが盛大に笑っています。

 本当にこの子たちの前では管理神の威厳もどこかに消え失せちゃっていますね~。

 まぁ私自身が神様的な立ち位置にこだわっていないので別にいいのですがね~~。


 アリシアちゃんはエルフ族なので人族よりも若干寿命が長めですが、それでも私たち管理神の寿命からみれば、その生涯なんて一瞬のようなものです。

 面倒な管理神の仕事は、あの子(シスターズ)達が代わりにやってくれているわけですし、その一瞬の時を、薫さんと一緒にこの子たちに振り回されてみるのも面白いかもしれません。


 そんな事を思いながら、今はアリシアちゃんの手からどうすればお酒を取り戻せるのかに考えを巡らせるのでした。

薫「今回の話しの中で、この世界での下水処理事業が少し明らかになったな」


リーゼ「スライムを汚水処理に使うのは、この手の異世界ラノベでは定番になりつつありますよね~」


作者「第3章ではこの世界では初めてとなる、男女別棟での水洗式公衆トイレなんかも登場させる予定だよ。そのつもりで、すでに建築図面ソフトで建物は作ってあるしね」


クリス「そのために、今回の話しで黒スライムの繁殖方法の件が出てきたのじゃな?」


作者「そうそう。あとリーゼさんのお仕事になるようなものを、伏線でいろいろ作っておくように言われているからね」


リーゼ「誰ですかぁ~~、そんな酷いことを言っているのはぁ~~(プンプン)」


コリーゼ「お姉さまの可愛い妹分の私たちですが、何か文句でも?(ギロリ)」


リーゼ「ガタガタ・・・ブルブル・・・」

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