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破滅の魔道具

時間軸は巨人島出張前です。




 私は走り出す。

 手には人を破滅させる道具を携え、身には姿を惑わす魔法を纏って。


 向かったのは、とある庭園。そこでは仲睦まじい男女が抱き合っていた。しかし私は、幸せそうな男女に躊躇なく道具を連射した。



 ――ズキュンッズキュンッ



 銃声が庭園に木霊する。私は何の感情も出さずにその場を後にして走り出した。


 私の野望を達成するためには、まだまだ犠牲が必要なのだから。



 ――ズキュンッ


 ――ズキュンッズキュンッズキュンッ



 若い侍女に屈強な騎士、はたまた蝶よ花よと育てられた令嬢まで。

 私は手にかけたのだ。



 私の名はカナデ。欲に囚われた魔法使い。









 「これはどういう事です、カナデ?」


 「これですか?写真です。見たままの風景を写したもので、こちらのカメラという魔道具を使って撮りました」


 

 私は宰相補佐様にカメラ(試作品)を渡した



 「画期的な魔法具ですね……でも私が言いたいのは、この『写真』に写っているものです」


 「どれどれ……すごいね、カナデ。マクレガー侯爵とパーヴィス男爵夫人の逢引きに他国の密偵と待ち合わせする王宮侍女、賄賂を受け取る騎士に身分の低い令嬢を苛める公爵家の姫……あっははは、まさに決定的瞬間だ!」



 褒め称えたまえ、私の成果を!!



 「このボタンを押せばいいの?」


 「はい、王太子殿下。そこを押すと、写真が撮れます」



 王太子はカメラを手に取ると、サッとユベールにシャッターを切った。



 ――ズキュンッ



 銃声(シャッター音)と共に一枚の写真が出てくる。ちなみにカメラは前世のポラロイドカメラを参考にしている。本当はデジカメ並みの高性能にしたかったんだけど、現像する魔道具を別に作るのが面倒だったんだよね。



 「エドガー様……その写真を渡して下さい」


 「ええ~絶対に嫌だよ、ユベール。ねぇ、カナデどうしてこんな物を作って、らしくない不祥事の現場なんて押さえてきたんだい?」


 「是非とも、このカメラを大量生産させたくてですね!面倒な根回――ではなく、有用性を示したかったのです」


 「うーん、でもこれが大量に出回ると面倒な事になるし……私が許可した相手にのみ、売っていいよ」


 

 元々魔族領に旅行に行った時に、写真が撮れればいいなと思ったから作った訳だし……まあ、いいか。あわよくば安く店で買えれば楽だな~と思ったけど、それほど作るのに手間のかかるものじゃないしね。


 

 「構わないですよ。利益の方はどうします?」


 「一割を国に収めてくれればいいよ」


 「随分少ないんですね?」


 「それ以外に利益があるからいいんだよ」


 「左様ですか」


 

 詳しく聞くのは止めとこう、絶対に碌な事じゃないよ!





 その後、幾人かの貴族が裁かれた。いずれも、とぼけられない『決定的な証拠』とやらがあったらしい……王太子殿下には合成写真とかの存在は絶対に秘密にしよう。冤罪よくない!




 カメラのご利用は計画的にね!


 ズキュンッ






 

この御話は元々本編で投稿していたもので、今回SS集の方に移動させました。


 ちなみにこの世界には銃は存在しません。

 シャッター音はカナデの趣味です。




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