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糸結び  作者: 吉満日吉
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 12月24日、世間はクリスマスイブ。街を歩けばクリスマスソングと共にイルミネーションがキラキラと光を放ち、21時を過ぎても夜の街を音が光があふれています。


 とある家族のおうちでは娘を寝かそうと、父親と母親が一緒に布団に入り川の字で横になっていました。

「パパー、パパはどうしてママとけっこんしたの?」

「どうしてか、どうしてと言われてもなぁ。ママのことが好きだからとしか言えないなぁ」

「じゃあママは?」

「そうね。実はママはね、パパと付き合う前にパパに助けられたことがあるのよ」

「へー」

「えっ!? そんな話し聞いたことないぞ」

「初めて言ったもの。昔、パパがね、ママのアルバイト先の常連さんだったんだけど、常連さんになる前ね、初めてパパがお店に来た時、その頃ママはアルバイトを始めたばかりで失敗ばかりしていたの」

「うんうん! それでそれで?」

「パパの注文も間違っちゃってね。それでもパパは怒らないで優しく、注文間違っていますよ。って教えてくれたの」

「それだけ?」

「そうよ。それからパパを意識し始めて、いつも同じ席に座るパパを見ていたら、気づいたら好きになってたのよ。だから、結婚したんだわ」

「は、恥ずかしいなぁ」

「すきってそんなにすぐになっちゃうの?」

「そうよ。ね、パパ」

「そ、そうですね」

「ふふふっ」

「ふわぁ~~。そうなんだぁ」

「眠いか? 眠くなったなら寝ちゃいなさい」

「でもでも、サンタさんがくるから」

「イイコにしてないと来ないんだぞ。夜ふかしする子はイイコかな?」

「ね、ねる! おやすみなさい」

「はい、おやすみ」











「寝たか?」

「そうみたいね」

「プレゼント持ってくるぞ」

「うん。あっ、あなた」

「ん? なんだ?」

「外見て」

「おお、雪か」

「あなたに初めて告白された時もこんな雪が降っていたわね」

「ああ、告白する前はひどかったけどな。……ん? 今なんか懐かしい感じが」

「ふふっ。あなた、大好きよ」

「僕もだよ」

「……わたしも……すぅー」



 幸せそうな声が聞こえていました。

 カーテンを開けて男が外をのぞいたとき、私と目があった気がしましたが、気のせいですよね。

 それにしても、あの時の二人は良き家庭をつくりましたね。二人を結んだ私も嬉しくなりますよ。

 赤い糸と人は言いますけど、本当に赤い糸でつながっている人と結ばれるかと言えばそうではないのです。勇気が足りない。好きなのに自分に嘘をついている。好きなのに違う人と付き合っているから諦める。などなど、そんな人達の後押しをするのが私達の仕事なのです。結ばれた赤い糸だったとしても、ちょっとしたことでその糸が壊れてしまうということはありえますけど。今日はたまたま見つけましたが、昔ちょっと背中を押した人達が今も良き生活をしていると思うと嬉しいですよね。そういえばこの二人が結ばれたのも今日の日付でしたね。私と縁でもあるのでしょうか。もしかしてこの娘とも縁があるかもしれないですね。

 あっ、そうそう、いつか貴方のもとにもいくかもしれませんよ。私達は年中無休、好きなときに仕事をしていますからね。姿は見せないですが、あの男みたいに上から見られている気がしたら恋はうまくいくかもしれませんね。



                  ~おしまい~

読んでいただきありがとうございます!

冬童話祭2015に参加させてもらいました。


童話というものを初めて書いたのですが、童話になっていたのでしょうか?

本編は短いですが、暇つぶしにでもなれば幸いです。


12/18

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