首を持っていった者は・・・・・・。
これは私の住む○○県××村には古くからある大きな館の話である。この館は明治時代に建てられて、古びれてはいるが、館の持ち主の一家と執事と家政婦が暮らしていた。館の持ち主の一族は八神家(仮名)という名で、地元では、八神家は男の子がなかなか生まれなく、あととりがなかなかできなかったため、養子で昔から一族をつないできたことで有名だった・・・。
そんな中、やっとの思いで男の子が生まれました。男の子はスクスクと育っていき、小学校6年生に上がる頃には高校生並みのガタイを得て、地元の子供たちの間では、親分のような存在でした。権力のある家庭で過ごし、ワンパクだった彼が村で問題をおこすことは日常茶飯事でした。そんな息子に激怒し、父親の堪忍袋の緒が切れたのはいうまでもありませんでした。
「龍之介を一晩外に放り出しておけ。 」
「ですが、旦那様。最近は獣がうろつくと聞きます。そのような中、坊ちゃんを御一人で外に出られているのはあまりにも危険なのでは・・・?」
「かまわん。あいつは俺の顔の泥を塗ったからな。そのくらいの覚悟はできてあろう。」
「かしこまりました。」
家政婦と執事は龍之介の部屋に押し入り、部屋から引きずり出す。
「なんだよ。やめろよ。」
「仕方ありません。旦那様の御指示でありますので。」
八神龍之介は手足をブンブン振り回して、抵抗しているが6人の執事と家政婦たちの前ではなすすべがない。
「龍之介・・・。お前は八神家を背負う者としての自覚が足りない。一晩、外で反省していろ。」
「止めてよ。父さん。」
龍之介は泣きながら外に投げ出される。
外へ投げ出されてから2時間経っても彼は泣き続けている。
「ごめんなさい。お父様。もうしません。うわぁぁーーーーーん。」
あまりにも聞くに聞かねた家政婦が「旦那様。龍之介坊ちゃまも反省しておられるので、もう許してあげてもよろしいのではないでしょうか?」
「いや。まだ甘い。」
外へ投げ出されてからもう少しで4時間となるところで必死な声で泣きながら叫ぶ。
「助けて。誰か。真っ赤な目をしたやつが走ってくるよ。僕が死んじゃうよ~。」
異様な行動を起こしている龍之介を一反中へ戻してあげようと家政婦たちがしようとすると
「放っておけ。所詮子供の戯言だ。中にいれてもらいたいがために嘘をついているにちがいない。」と旦那様がおっしゃるので、家政婦たちは龍之介の必死な叫びを無視することにきめた。
数分経ってから龍之介の泣き声が止んだ。
「ほらな。所詮子供だ。泣き疲れて、寝ているんだろ。」
執事と家政婦たちも旦那様のいうことに納得し、その晩は皆就寝することに決めた・・・。
翌朝、日課の掃除のため門の外に出てみると、そこには首だけが無くなった八神龍之介の死体が転がっていました。その館付近では、熊やオオカミの目撃情報が常日頃から多かったのだが、果たして本当に獣たちが首だけ持って帰るでしょうか。
いったい少年の首を持っていった赤い目をしたやつとは何者だったのでしょうか。
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