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プロローグ

一章が書きあがったので上げて行きます。

 重々しい雰囲気だ。

 初老の男性たちが円卓の机に座り、各々がこれ以上にない、とばかりに険しい顔をしている。

 タダトはため息をつきたくなった。

 結局のところこの場は責任逃れと責任の押し付け合いの場だ。

「で、タダト君。君の息子はどうなのかね?」

 スポンサーである国のお偉い方がその禿頭にしわがよらんばかりに勿体をつけて話す。

「は、明日には退院予定です」

「困るのだよ。勝手に突撃して勝手に死に掛ける。そんなことで人類を守ることが出来ると思っているのかね。対ビの司令官である君がしっかりと実働部隊の手綱を引いてくれなければ、人類は神に蹂躙されるのだ」

「は、心得ております」

 お偉方の嫌味はいつものことなので、適当に合わせる。

 我が子のことは良くわかっている。

 手綱を握ることなど、誰にも出来ない。

 誰がどうしようが、我が子は自分のやりたいようにするだろう。

「今、人類側に協力している神も何時こちらに牙をむくのかわからないのだ……くれぐれも頼むよ」

「はっ」

 深く礼をし、恭順の意を示す。

 タダトは内心で舌打ちした。

 信頼関係も何もあったものではない。

 上の人間はどこまで行ってもこういった連中ばかりだ。

 自分の利権を守るために下に無茶ばかり言う。

 対ビジター対策室は対神も兼ねている。

 だからこそ人類で唯一、神に対抗しうるコウに対して過剰な期待をかけている。

 期待は負担に取って代わるときもある。

 それがわかっているからこそ、タダトはコウがこの老人たちに会うことを避け続けていた。

 少しでも我が子に負担がかからないように。

 自分に出来ることがこれくらいだと知っているタダトが出来る唯一の戦いだった。

 会議室から退出し、肩を回してリラックスをする。

「お疲れ様っす」

 廊下の向こうからポニーテールがヒョコヒョコと動きながらこちらに歩み寄ってくる。

「おや、神が労をねぎらってくれるとは。司令官にはなってみるものですな。どうでしたか?」

 クゥはタダトに頼み、内密にこの会議をカメラで覗いていたのだ。

「退屈すぎて途中から寝ていたっす。駄目っすね。あいつら」

 クゥの辛口な評価にタダトは苦笑。

「利潤に体を浸せば魂が濁るものです」

「濁りすぎて話をする気にもならないっす。あいつら、あたしたちの前に立ちたくないから、あたしらに何にも言ってきてないんっすよね?」

 触らぬ神にたたりなし。

 服従因子により、神と天使は人間を屈服させることが出来る。

 それが怖いのだろう。

「あんなのばかりが上層部と考えるとぶっ飛ばしたくなるっす」

「まぁまぁ。ここは抑えて。ああいった方々でも必要なのです」

「例えば?」

「予算の都合など」

「違いないっすね」

 クゥはニィ、と笑う。

「息子は……どうですか?」

「良くないっすね」

 タダトの問いにクゥは渋面を作って応える。

「メツ君が戦線に参加するようになったことと、ロウアーに完膚なきまでに負けたこと。この2つが彼にどうしようもない焦りを生んでいるっす」

「息子のことを良く見てくれていただけてありがたい限りです」

 タダトは出来ることならば自分が代わってやりたかった。

 息子がどれだけの重荷を背負ってしまっても、自分にはこれくらいしか出来ないことがもどかしかった。

 これから先、コウはどれだけのものを背負ってしまうのか、と思うとこちらの気まで重くなる。

 背負いすぎの果ては崩壊である。

 これは青年が全てを失う物語。


2程の連投ペースはきっと、ないです。一週間後くらいにまた。

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