「彼氏何してる人?」から始まる話
名前を借りました
フィクションです
「あら、田中じゃない」
職場の同僚同士が、カフェで遭遇した。
声を掛けたのは、派手な見た目のワンピース姿でハイヒールを履いた女、佐藤舞子。
「あら…こんにちは」
声を掛けられたのは、地味な見た目の、大人しそうなおっとりした眼鏡の女、田中桜。
「その人って彼氏?」
不躾な女・佐藤舞子は、ジロジロと田中の隣に座る、Tシャツにジーパンのモサモサ頭の眼鏡男を見て言った。
「えぇ」
田中は、おっとりと返事した。
「彼氏何してる人?」
不躾な女は、遠慮なく聞いた。
「作曲家で…」
「えぇ〜?売れない作曲家なんて大変ね〜!もしかしてヒモ?」
舞子は大声で嘲笑い
「私の彼氏は社長なのよ〜」
と、ドヤ顔をした。
「私知ってる!他人を下げて自分の自慢ばかりする人のこと『マウントヒヒ』って言うんだよね!」
田中は、ふんわり笑いながら言った。
「「「ぶっ!!」」」
舞子の声がでかくて聞こえてしまっていた周りの客達から、吹き出す音がした。田中もけっこうな大声だったから、周りには丸聞こえだった。
「誰がマントヒヒよ!」
舞子が、いきり立った。
その時、舞子に声が掛かった。
「どうしたの?」
身なりの良いスーツ姿のイケメン男だ。
「あっ涼介〜、同僚がいたから話してたの〜。彼氏を紹介してもらってね」
舞子は、恋人の高橋涼介に、媚びるように腕に絡みつく。
涼介が、示された方を見た。
「あ…いつもお世話になっております!」
相手を見た涼介、すぐに頭を下げた。
「どうも」
ヒモ(仮)が頷いた。
「お世話してあげてるの?」
舞子が涼介に聞くと
「わが社のCM音楽を作曲してくださった方だ。評価が高くて、お陰で、わが社が有名になったんだ。恩人だよ」
涼介が言った。
「いや〜そんな〜ヒモだし〜」
ヒモ(仮)が謙遜するように言った。
「ヒモ?」
涼介が首を傾げた。
「彼女が教えてくれたんだ。恋人がいる作曲家はヒモって」
ヒモ(仮)が、舞子を示して教えた。
「…ほう?」
涼介のこめかみが、ヒクリとした。
「あ…はははは…冗談がお上手ですね」
舞子は笑って誤魔化した。
「お前…恩人になんてことを!…別れよう」
涼介が言うと
「ちょっと待って!そんな事で…」
舞子は焦りだした。
「そんな事!?恩人を侮辱するなんて許されない!名誉毀損で訴えてやる!」
「そんなぁ!」
争い出した舞子と涼介。
「そんなのいらないよ。だって、関わりのない人に何を言われても気にならないし」
2人に割り込むヒモ(仮)。
「「え?」」
2人は驚いてヒモ(仮)を見た。
「彼氏が社長ということしか価値が無いマウントヒヒさんに、何を言われても気にならないよ〜あはは〜」
ヒモ(仮)は、のほほんと笑いながら言った。
「マウントヒヒ?」
涼介は、また首を傾げた。
「他人を下げて自分の自慢ばかりする人のことだよ、ね〜」
ヒモ(仮)が言うと
「ね〜」
田中と頷きあった。
「なるほど。確かに価値は無いですね。人としての価値も。訴える価値も」
涼介は納得した。
「お二人の貴重な時間をお邪魔して申し訳ありません。ここの支払いは、私がしておきます」
涼介が言うと
「そんなの気にしないで〜」
ヒモ(仮)が手をパタパタ振った。
「いえ、また仕事を依頼させていただきたいので、お詫びさせてください」
涼介が頭を下げた。
「う〜ん」
ヒモ(仮)が考えていると
「気持ちを受け取ってあげなよ。それで、今回のことは終わり。ね?」
田中が言った。
「そうだね。じゃあ、今回はこれで終わりね。また連絡待ってるから」
「ありがとうございます」
それまで黙っていた舞子が叫んだ。
「私を無視しないで!!」
涼介は、舞子を冷たく見て
「君とは縁を切る。二度と話し掛けないでくれ。近付いたり騒ぎを起こしたら警察を呼ぶからな」
と言った。
「そんな…」
舞子は悲劇のヒロインを気取っているが
「自業自得じゃん」
「恥ずかし〜」
「マウント取るからよ」
「マウントヒヒだよ」
「そうだった」
と周りの客達から笑われて、急に恥ずかしくなり、カフェから出て言った。
涼介も、挨拶して帰った。
あとには、ほのぼのとカフェオレを飲み、プリンパフェを食べている、おっとりしたヒモ(仮)こと鈴木と田中が残された。
読んでいただきありがとうございます
涼介は医者にした方が良かったかな〜?




