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3-1

 Kは大学時代の部活では目立った成績は残せなかったそうで、大学を卒業すると東海地方の大手学習塾運営企業に就職した。しかし色々嫌なことがあったようでそこを短期間で辞め、いったん栃木の実家に戻り、地元の小さな学習塾に再就職した。


 私は浪人したためKより一年遅れで大学を卒業し、一年半フリーターをしてから都内の会社に入社した。


 そこでかなりひどい――と今でも客観的に思うのだが――働き方をさせられ、働き始めて一年半で体を壊し、精神を病んで実家に舞い戻った。


 精神的にどん底にあった私は助けを求めるように久しぶりでKに連絡した。過労で仕事を休職して栃木に戻っている、食事でも行かないかと言うとKは快く応じてくれた。


 二人の住居の中間にある栃木駅前の居酒屋で会った。私は医師から止められていたため、Kは車で来ていたため二人とも酒は飲まなかった。


 食事をしながらKは私の体調を気にした。「休職しているって、何か病名はついているの?」

と聞いてきた。


「――症っていう病気」


 私は仕方なく正直に答えた。答えながら、心臓が早鳴りして上半身に汗が噴き出してくるような、そんな嫌な感覚があった。まだ自分が精神病であることを、認めたくない段階にあった。この友達は私がそういう病気に罹ったことをどう思うだろう。一瞬でそんなことを考えた。


 Kは、ははっと一声笑った。


「ああ、なんだ。二カ月休職するって聞いたから、過労でなんでそんなに休むのかわからなかったけど、めちゃめちゃメンタル系の病気じゃん! そういうことね。ははは、なるほど。納得した」


 なんだか妙に明るく笑って、


「良かったら酒でも飲めば?」


と言ってきたのである。


 私は、Kのあっけらかんとしたこのリアクションに、ちょっとむっとしつつ、しかし強い安堵を覚えた。こいつは、私が精神病に罹っても、全然気にしないのだ。そんなことで差別したり、距離を置いたり、逆に気を遣いすぎたりするような人間ではないのだ。私はそう思い、「医者に止められているから」と飲酒は断り、その後和やかにその食事の場を過ごした。

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