022 夜明けの刃
俺たちは、第二防衛線で陣形を立て直した。
中央に、ドワーフのドン。
その左右に、猫人のニケとタマ。
さらに外側、左右両翼にエルフ夫婦。
密集隊形。
一歩間違えれば、まとめて押し潰される。
だが、狙いは明確だった。
ドンの棍棒を、あえて盾で受けさせる。
その一瞬の隙を、左右から弓で貫く。
大型ゴブリンが来る前に、
盾持ちの兵を減らす。
リスキーだが、今できる最善策だ。
槍と盾を構えたゴブリン兵が、一直線に突っ込んでくる。
その時だった。
俺の頭上を、影が横切った。
「――っ!」
大石だ。
ミーラさんが、後方から走り込み、
サッカーのスローイングのように、両手で抱えて投げ放った。
大石は、先頭のゴブリンの盾に直撃する。
バキンッ!
盾が砕け、体勢が崩れる。
その瞬間――
左右から、矢が突き刺さった。
「……見えた」
盾ゴブリンの攻略法が、はっきりと形になる。
ミーラさんは、もう振り返っていない。
次の大石を求め、後方へ走っている。
ドンが、一歩踏み込む。
「どらぁっ!」
棍棒が、盾に叩き付けられる。
鈍い衝撃。
その直後、
また左右から矢が飛び、ゴブリンが倒れた。
さらに――
ミーラさんの大石が、再び空を舞う。
今度のゴブリンは、
盾ごと後方へ吹き飛ばされ、そのまま動かなくなった。
前面のゴブリン兵――残り三体。
(大型が来る前に……)
そう思った、その時。
ゴブリンの側面。
やや後方から。
「オラァァッ!!」
怒号が響いた。
続けて――
「待ちやがれぇぇぇ!!」
夜明け前の、冷たい空気を切り裂く声。
ガルドだ。
水源方向の道から、
横合いに走り込んでくる。
ゴブリンの進軍列、その後方へ。
息は荒い、肩で息をしている。
だが、動きに迷いはない。
「――!」
最初の大型ゴブリンが、振り向いた。
槍が突き出される。
だが――
一閃。
ガルドの剣が、胴を横一文字に断ち切った。
上半身が、地面に落ちる。
夜の闇が、薄れていく。
朝の光が、わずかに差し始めた。
白い息。
赤い血。
残るのは――最後の一体。
大型ゴブリンは、慎重に大盾を構えた。
だが。
ガルドは、正面には行かない。
踏み込む。
低く。
前に出ていた、左足。
ズンッ。
足首が、落ちた。
体勢を崩した瞬間――
背後へ回り込み。
一刀。
大型ゴブリンが、崩れ落ちる。
朝の光が、戦場を照らした。
ゴブリンたちは、散り散りに逃げていく。
「待ちやがれ!」
ガルドが叫ぶ。
「待ってくれ!」
俺は、声を張った。
「ちっ、またかよ!」
ガルドが舌打ちする。
それでも、俺は続けた。
「後をつける!」
「巣を、見つけるぞ!」
ガルドは、ニィと笑った。
「……おう!」
冷たい夜が、ようやく終わった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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