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俺の嫁は最強のオーク嫁。無人島を開拓して、異世界一の村を目指すことにした。  作者: tomoibito


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020 夜に走る、燃える影

朝食の場に、短い沈黙が落ちた。


俺は皆の顔を見回してから、はっきりと言った。


「……次のウェーブまで、二十時間です」


空気が、目に見えて重くなる。


ドワーフのドンが、低く唸った。


「二十時間……」

「どうする? 村のへいは、まだ完成しとらんぞ」


俺は頷く。


「分かってます」

「でも、今からでも、できる範囲のことをしたいと思います」


言葉は前向きでも、皆の表情は暗い。

間に合わないかもしれない――その不安が、隠せていなかった。


その時だった。


狼夫・ガルドが、音を立てて立ち上がった。


椅子代わりにしていた木箱が、後ろに倒れる。


彼は無言で装備を整え始める。

剣を腰に差し、革紐を締め、深く息を吸う。


「……ガルド?」


俺が声をかける。


彼は振り返らずに言った。


「俺が、敵のアジトを探して、壊滅してくる」


「待て――」


止める間もなかった。


ガルドは、そのまま森へ駆け出していく。


「あんた!」


少し遅れて、狼妻・ルナが後を追った。

二人の背中は、すぐに木々の間に消えた。


残された場に、微妙な沈黙が漂う。


猫夫のニケが、ぽり、と頭を掻いた。


「あー……行っちゃった……」

「ボクも、止めに行ったほうがいいですか?」


俺は首を振る。


「それは、ルナさんに任せましょう」

「……俺たちは、今できることを」


ドンが、俺を見る。


「それで、どうする」


俺は、地面に描いていた簡単な村の図を指差した。


「今作っている本格的な塀は、一旦ここで止めましょう」

「代わりに、軽い木材を使って、隙間を埋めます」


ドンが眉を動かす。


「ほう」


「幸い、弓矢の高台は完成しています」

「侵入を遅らせられれば、それだけ有利です」


指を、中央へ動かす。


「ここに、木材のトゲ罠を追加しましょう」

「イノシシの突進対策になります」


ドンは、短く頷いた。


「そうじゃな……できることからじゃ」


それからは、時間との勝負だった。


深夜。


森の音が、消えた。


虫の声も、風の音もない。

ただ、冷えた空気だけが、肌にまとわりつく。


《ウェーブまで……残り数分》


俺は、村の周囲に設置した松明に、次々と火を灯した。

光源を確保しなければ、何も見えなくなる。


ニケが、ため息混じりで言う。


「……ガルドさんたち、戻ってきませんでしたね」


俺は、答えられなかった。


その時――。


森の奥に、影が浮かぶ。


エルフ嫁のフィアさんが、静かに前へ出た。


「聖霊よ――明かりを」


淡い光が夜空に広がり、

森の縁が、はっきりと照らし出される。


見えた。


ゴブリンだ。


軽装の皮鎧。

木の槍と、丸い盾。


「……盾か」


俺は、思わず歯噛みする。


「まずいぞ……」


その背後で、

ボウッ、と異様に明るい光が揺れた。


ゴブリンが、木の棒の先に、

ボウボウと燃える火球を掲げ、こちらに走ってくる。


「いかん!」


エルフ夫のセイルが叫ぶ。


火爆実かばくじつだ!」


弓が鳴る。


一本目は外れ、

二本目が、ゴブリンの肩を射抜いた。


ゴブリンは、よろよろと数歩走り――転ぶ。


手から離れた火球。

転がる、火爆実。


その直後――


ドンッ!


爆音とともに、地面がめくれた。


「……なんだ、あれ」


俺は、息を呑む。


「爆弾か……?」


セイルが、冷や汗をかきながら答える。


「あれは、山火事のときに、種子を遠くへ飛ばすための実だ」

「威力もあるし……周囲に延焼する」


視線を鋭くする。


「あれは、絶対に近づけてはならん……」


ギィィ――。


盾を構えたゴブリン兵が、数体、前へ出てくる。


高台から、エルフ夫婦が弓で応戦するが、

矢は盾に弾かれる。


そのまま、ドンと衝突した。


「ぬぅっ!」


ドンのこん棒が唸り、

ゴブリンの進撃を止める。


だが、倒れた数は少ない。


すると――


さらに奥から、

二体のゴブリンが、火爆実を掲げて走ってきた。


「奥から、火球が二体!」


俺は、必死に叫ぶ。


エルフ夫婦が、仰角を取って矢を放つ。

放物線を描く矢は、なかなか当たらない。


それでも――


一本が、先頭のゴブリンに刺さる。


倒れた。

――だが、火爆実は止まらない。


勢いのまま転がり、

中央のトゲ罠へ。


「伏せろ!!」


俺の叫びと同時に――


ドガァン!!


爆発。


木片と、火のついた破片が、四方に飛び散った。


爆風に巻き込まれ、

何匹かのゴブリンが倒れる。


だが――


まだ、もう一体。


火爆実を掲げたゴブリンが、

こちらへ向かって走ってきていた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


この開拓団、

「まあ、悪くないな」

と思ってもらえたら、☆やリアクションを押してもらえると助かります。


正直、かなり励みになります。

というか、次のウェーブを考える元気が出ます。


気軽で大丈夫です。

たのんます。

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