002 オーク娘ミーラと出会う
その日は、朝から嫌な予感がしていた。
港に停泊していたのは大型の貨物船。
積み荷は木材と鉄材、ずっしりと重い。
「気をつけろよー! 今日は風が強いぞ!」
監督役の怒鳴り声が飛ぶ中、俺はロープを引きながら、鑑定を使っていた。
――木材:乾燥良好
――鉄材:一部に歪みあり、固定注意
(……この積み方、ちょっと危ないな)
そう思った瞬間だった。
ガキンッ
金属音。
ロープが軋み、次の瞬間――
「うわっ!?」
積まれていた貨物が、崩れた。
視界いっぱいに迫る木材。
逃げ場は、ない。
――あ、これ死ぬやつだ。
妙にあっさり、そう思った。
だが。
「――どいて!!」
低く、力強い声。
次の瞬間、俺の体は横から弾き飛ばされた。
地面を転がり、衝撃に息が詰まる。
ドォン!!
木材が落ちる音が、すぐそばで響いた。
「……生きてる?」
目の前に立っていたのは、女だった。
死ぬ代わりに、強い腕に抱き止められた。
「大丈夫!?」
聞き慣れない、明るい声。
顔を上げた瞬間、俺は言葉を失った。
目の前にいたのは、大柄な女性だった。
人間の女より頭ひとつ分は高く、骨太で、がっしりしている。
赤みがかった茶色の髪はぼさぼさで、後ろでひとまとめ。
埃っぽい服装だが、不思議と不潔さはない。
太い腕と脚。
分厚い指。
長年、力仕事をしてきた体だと一目でわかる。
だが――
グリーンの瞳は澄んでいて、長いまつ毛に縁取られている。
少し低い団子鼻。
丸みのある耳。
(……オーク?)
鑑定が、遅れて反応する。
種族:オーク。
俺が知っている“モンスター”のオークとは、まるで違う。
「急に飛び出してきてごめんね。ケガしてない?」
大きな体に似合わない、気遣うような声。
俺は、しばらく言葉を失ったまま、彼女を見上げていた。
「……だ、大丈夫です」
そう答えるのが、精一杯だった。
それが――
ミーラとの、最初の出会いだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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たのんます。




