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俺の嫁は最強のオーク嫁。無人島を開拓して、異世界一の村を目指すことにした。  作者: tomoibito


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018 名もなき手仕事

朝の作業の合間、ふと、ミーラさんの足元に目が留まった。


「あれ?」


言葉に出す前に、違和感の正体が分かる。

靴だ。新しい。

しかも、今まで見てきた即席の作りとは、明らかに違う。


「その靴……新しいですよね」


声をかけると、ミーラさんは一瞬きょとんとしてから、少しだけ照れたように笑った。


「うん。ピリカさんが作ってくれたの」


「作った……?」


思わず聞き返す。

ミーラさんは頷いた。


「ゴブリンが着てた鎧、覚えてるでしょ。

 あれ、皮の部分が使えるって」


ああ、と思い出す。

あの夜、倒したゴブリンたちが身につけていた、粗末な皮鎧。

鉄でも布でもない、妙に硬くて、油臭いそれ。


確かに、捨てずにまとめて保管してあったはずだ。


視線を巡らせると、少し離れた場所にピリカさんがいた。

地面に腰を下ろし、膝の上で皮を扱っている。


無言。

迷いのない手つき。

刃物は小さいが、動きは正確だ。


削ぐ。

伸ばす。

油を含ませる。


使っている皮は、見覚えがあった。

あのゴブリンの鎧だ。

汚れと臭いを落とし、なめされて、別物のようになっている。


「……すごいですね」


そう言うと、近くで作業していたドンが、顎鬚あごひげを撫でながら答えた。


「あいつは、昔からじゃよ」


それだけ言って、また手元に視線を戻す。


少し間を置いて、ぽつりと続けた。


「手先が器用でな。

 ワシも手先には自信があったが、ピリカにはかなわん」


妻の方は見ない。

大きな声でもない。

自慢というより、事実を並べただけ、という調子だった。


「無駄なもんは残さん。

 使えるなら、全部使う。上手いもんじゃ……」


ドンさんの目は、どこか温かい。


それから、ピリカさんの皮製品が、開拓村の生活を静かに支えていることに気づいた。


腰のベルト。

道具袋。

水袋の口を縛る皮紐。


気がつけば、革製品はいつの間にか増えていた。


ピリカさんの仕事は、少しずつ、だが確実に、暮らしを便利にしている。


ピリカさんは皮仕事の合間に、炊事場の鍋を確認し、

乾かしてある壺をひとつ裏返した。

壺作りは素人だと聞いているが、数は確実に増えている。


必要な場所に、必要なものが揃っていく。


派手さはない。

前に出ることもない。


でも――無いと困る。


ミーラさんは、新しい靴で地面を踏みしめ、作業場へ戻っていった。

歩きやすそうだ。

少し、足取りが軽い。


俺は一輪車の取っ手を握る。

今日の作業は、まだ続く。


ゴブリンの鎧だった皮が、

今は仲間の足を守っている。


なんとも、愉快な話じゃないか。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


この開拓団、

「まあ、悪くないな」

と思ってもらえたら、☆やリアクションを押してもらえると助かります。


正直、かなり励みになります。

というか、次のウェーブを考える元気が出ます。


気軽で大丈夫です。

たのんます。

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