011 耐える戦い
後方で構えていたイノシシが動き出し、
左右に分かれていた戦力を無視して、
四体のイノシシが中央突破を成功させた。
左右に分散していた戦力では、止められない。
イノシシは、止まらず――
最深部へ。
――俺のいる場所へ。
(……こっちを、狙ってる)
巨体が迫る。
牙。
赤い目。
突進の衝撃。
逃げ場は、ない。
(――死ぬ)
本気で、そう思った。
その瞬間。
バチッ!!
電撃が走る。エルフ夫・セイルの電撃魔法。
イノシシの背にいたゴブリンが、激しく痙攣した。
次の瞬間、弓矢が突き刺さる。
ドサッ。
一体、地面に落ちた。
だが――
イノシシ本体は、止まらない。
「ミーラ!」
俺の叫びと、ほぼ同時。
ミーラが、前に出た。
肩に担いだ、太い丸太。
腰を深く落とす。
「――ふぅううん!!」
ドゴォンッ!!
丸太が、イノシシの突進を正面から受け止めた。
突進は、止まる。
だが、完全ではない。
イノシシは暴れ、地面を蹴り、体を振る。
土埃が、さらに舞い上がる。
視界は最悪。
心臓の音だけが、やけに大きく聞こえた。
(……生きてる)
膝が、震えていた。
一歩間違えば、確実に死んでいた。
戦場は、混乱の只中。
だが――
まだ、終わっていない。
俺は、皆の意識がイノシシに集中するのは「マズい」と、瞬間的に判断した。
「ニケ! タマ! ゴブリン優先!」
「セイル! 乗ってるやつを落とせ!」
「ドン! 下がれ! ニケたちを守れ!」
声が、戦場を切り裂く。
一人、また一人と視線が外れる。
役割が、元に戻っていく。
狼夫婦には――
「ガルド! 近い敵からだ! 各個撃破で!」
返事は、いらなかった。
戦場は、再び動き出す。
俺の胸は、激しく脈打っていた。
(……間に合え)
崩れた塀の向こうで、戦いは続く。
これは、勝てるかどうかじゃない。
――耐えられるかどうか、だ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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たのんます。




