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俺の嫁は最強のオーク嫁。無人島を開拓して、異世界一の村を目指すことにした。  作者: tomoibito


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001 プロローグ

港町は、いつも騒がしかった。


潮の匂いと獣脂の焦げる匂い、香辛料の甘さが入り混じり、朝から人と声が溢れている。石畳の通りを、荷車が軋みを上げて進み、背負子を担いだ人間、角のある亜人、耳の長いエルフが、当たり前のようにすれ違っていく。


ここは王国と都市国家を結ぶ要衝。

商人にとっては金の流れる場所であり、傭兵や冒険者にとっては仕事に困らない街だった。


鎖帷子くさりかたびらを鳴らす傭兵。

剣と盾を背負った若い冒険者。

魔鉱石を扱うドワーフ職人と値段交渉をする商人。


世界は活気に満ちている。


――少なくとも、俺以外は。


「……はぁ」


喧騒から少し外れた場所、木箱の上に腰を下ろし、俺は小さく息を吐いた。


霧ヶきりがやハルキ。

年齢は二十代半ば。職は、なし。


……正確に言うなら、この世界では、だ。


俺はもともと、この世界の人間じゃない。

気がついたら死んでいて、気がついたら異世界にいた――よくある話だ。


中身は、くたびれたオッサン。

若い体をもらったところで、人生がリセットされるわけでもなかった。


与えられた能力は一つだけ。

【鑑定】。


物や人の情報が、ぼんやりと頭に浮かぶ。

便利ではあるが、戦闘能力が上がるわけでも、魔法が使えるようになるわけでもない。


剣は凡庸。

魔法の才能もなし。

特別扱いされる要素は、何一つなかった。


「……転生した意味、あったのか?」


そんな言葉を、何度飲み込んだか分からない。

日銭を稼ぎ、安宿で寝て、また働く。


異世界に来たからといって、上手くいくわけじゃない。

むしろ、現実は厳しかった。


転生後の仕事は長続きせず

冒険者は命が軽すぎる事を知り

傭兵は消耗品。

商人になるには元手も信用も足りない。


そうして俺は、気づけばこの港町に流れ着いていた。


「……みんな、前に進んでるよな」


商人は金を回し、

傭兵は戦場を渡り、

冒険者は名を上げる。


俺だけが、ここに取り残されている。


それでも。

心のどこかで、俺は思っていた。


――何か、まだチャンスはあるんじゃないか、と。

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