第9話
「みんな~新入生が来たぞー!!」
部室の中へ入ると複数の女子生徒と二人の男子生徒が乱雑に配置されている椅子に座って別々の行動をしていた。
部活動紹介をしていた者が中に入り、複数いる生徒にライウスの存在を告げると別々の行動をしていた生徒たちが次々と興味を持ち始める。
「君の名は何て言うの?」
「どうしてこの部活に興味を持ったの?」
「この中で一番好みの女子は誰?」
「それはいきなりぶっ込みすぎるだろ!」
ライウスに対して色々な興味を持った生徒たちは次々と質問をする。その対応に困るライウスを見て、部活動紹介にいた者が生徒たちに話しかけた。
「みんな落ち着いて!!新入生が困っているじゃないか!」
「すまんすまん!気が利かなかった!」
猛質問していた生徒たちはすぐさま後ろに下がった。
「すまんな新入生くん、私の名前はエルビン・スモーク。この帰宅部の部長をやらせていただいてます」
エルビン・スモーク······特徴的な眼鏡に短髪の美形男子。他の者も劣らず美形なのはこの世界の理なのだろうか?
「俺はこの部活の副部長をしている風見誠って言う」
日本人っぽい名前もこの世界にもいるんだな。
「この部活のこと説明した?」
「いや、まだだけど······」
「なら俺らでしっかり教えとくよ!エルビン部長、今日は部会があって説明する時間ないでしょ?」
「確かにそうだが······」
「よ〜し!そうとなったら新入生くん行こうか!!」
「······どこに行くんですか?」
「僕らの試合場だよ!」
「???」
エルビン先輩と別れ、部員の先輩たちの言う試合場へ向かった。
「ここが僕らの試合場だよ!」
来させられた場所は木に囲まれた森林だった。
「ここで何をするんですか?」
「部活の名前の通り、自分の家に帰るんだよ」
······???。どういうことだ···。
「誠くん!それだけじゃ説明になってないよ!」
「そうか?」
「私たちの部活は現在地不明の場所からゴールである目的地に一番早く帰れたら勝ちの部活だよ!」
「基本的には秋頃にある大会で優勝を目指しているわ!」
「そうなんですね~」
「魔法や自身の技量を使って勝負するから、結構楽しいぜ!!」
思ったよりもこの部活は体を動かすみたいだな。······待て、確かこの部活は現在地不明の場所から目的地に向かう部活なんだよな。まぁ、流石に現在地が分からないとかは無いよな···。
「···そろそろ始業の時間ですし、戻りましょうよ!」
······。
「どうしました?」
「これから部活を始めるんだよ」
······え。
「それじゃあ始めるか!」
部員の生徒たちは武器を持ち出し、詠唱準備を始め、あっという間にどこかへ飛んでいってしまった。
「待って!置いていかないでください~!!」
ライウスは置いてかれないように、今使える魔法で追いかけるのであった。