第8話
「まさかこの学園の理事長に会えるなんてな〜。普通理事長に会えるのなんて、大会に優勝した時か学園の選抜試験にて一番を取った者くらいだぜ」
部屋へと戻る道を歩いている時にクラウスたちと理事長の話をしていると派手な服を纏った上級生っぽい生徒が偉そうに脇に生徒を置き、歩いている。
通り過ぎようと横を歩いていると、わざわざぶつかるため端まできてぶつかってきた。
「痛い、痛い!!どうしてくれるんだね。見たところ新入生じゃないか。上級生に歯向かうとは、しかも子爵の息子である私に歯向かうとはいい度胸だな!!」
典型的な悪役が出てきたな······。どこの異世界ファンタジーでもこういう悪役っているんだな。ってか、こいつら恥ずかしくないのか······?
「黙ってんじゃねぇよ!出すもの出せ!!慰謝料だよ!慰謝料!!」
「今のはあんたが悪いだろ!!」
クラウスが上級生の子爵の息子に間違いを正そうと発言すると上級生は怒ったのか、怒り始める。
「おい!子爵の息子に口答えするのか!そうかそうかそんなに死にたいなら侮辱罪で死刑にしてやるよ!!」
クラウスに対して暴言を吐く上級生を見ていたのか、遠くから女上級生がやってくる。
「何をしているのかしらあなたたち!」
「やばっ!!」
クラウスに暴言を吐いていた上級生たちは脅えたように颯爽と逃げ出していった。
「大丈夫だったかい?入学早々絡まれて大変だっただろう···」
「メリッサ先輩!!」
クラウスとマリアはメリッサ先輩を見た瞬間に憧れの眼差しを向けて、次々とメリッサ先輩の功績を語り始めた。
「数々の大会を独占してきた。特に学園対抗剣義魔術混合戦では、誰にも成し遂げられなかった5連覇を達成したお方ではないですか!!」
······そんな凄い人なんだ。
「堅苦しいのはやめたまえ!同じ学園の生徒ではないか」
寛大なメリッサ先輩に感動するクラウスたちは池が出きるのではないかと思うくらい泣いてしまう。
「ついていきます~」
「同じようなことがまた起こるかもしれないし、部屋へ戻るまで送っていこう!」
「本当ですか!!」
ライウスたちはメリッサ先輩と共に部屋へと戻るのであった。
「ありがとうございましたメリッサ先輩!」
「いいよ!マリアは女子寮まで送るよ」
「はい!」
マリアとメリッサ先輩は行ってしまった。
「やっぱり性格から最強の波動を感じるぜ!!」
憧れの相手と会うとこんなに印象が変わるほどに変わるんだな。
こうしてライウスたちは部屋へ戻り、ベッドに横たわり、眠るのであった。
「ライウス!ライウス!」
誰か、俺の名前を呼んでいる?うるさいなー。人が気持ち良く眠っている最中だっていうのに···。
「━━━何だ?」
「やっと起きたか!!早く行くぞライウス!」
「どこに?」
「学校だよ、学校!!」
「まだ始業の時間じゃないだろ」
「部活見学しに行こうぜ!!」
クラウスによると入学式の次の日は部活動を朝から活発に行っているらしい。そのため、新入生は朝早く学園に来て、部活動を見学するのだという。
ライウスはクラウスに言われるがままに部活動見学に行くのであった。
「新入生の皆さーん!見学するならうちの弓道部はいかが~!」
「私たち魔法研究部の見学見に来てねー!!」
学園の校舎周りでは沢山の部活の紹介が活気に行われていた。
「どこの部活にする?やっぱり俺は魔工技師になりたいから魔法研究部と技術研究部かな~」
「2つも良いのか?」
「何言ってる、部活は一人二つ選択しないといけないんだぞ」
二つ選ばなきゃいけないのか···。知らない部活ばかりで選ぶのに困るな······。
そんな時だった。どこからか凄く聞き覚えのある部活名が聞こえる。
「帰宅部に見学はいかがかな~!!」
━━━帰宅部は部活なのか?俺のいた世界では部活に所属していない人たちのことを呼ぶ名前だった気がするが······。
ライウスはそのユニークな部活に惹かれ、足を進めるのであった。