第5話
「ここが1のDの教室か。一つ一つの教室が大きいなー……」
ライウスは大きな扉を開き、教室の中へと足を踏み入れる。
「先生が来たぞー。みんな座れー!!」
教室の中では不思議なほどに綺麗に整列された学生たちが教壇の前に立っている。
「先生!今日からご教授よろしくお願いします」
学生たちは同時に顔を下げる。
━━━どういうことだ?とりあえず誤解を解かないと!!
「違います!!僕は学生です!先生なのではありません!」
顔を下げていた学生たちは顔を上げて、こちらを見つめる。
「そうだったのかー!何だ、俺たちと一緒なんだな!わっはっはっ!!」
学生たちは緊張の糸が緩んだかのように散らばっていった。二人の学生が俺に話しかける。
「君もしかして教室手前の扉に掲げられていたの見てない?」
ライウスはそのことを聞いて、教室の大きな扉へ確認しにいく。扉の横には「教授専用」と書かれた看板が吊るされていた。
「······あ…」
ライウスはもう一つの扉を確認していく。そこには「学生専用」と書かれた書かれた看板が吊るされていた。
━━━通常学生はこちらから入らなきゃいけなかったのか。
ライウスは先ほど起きていた出来事を思い出し、赤くなってしまう。
「次から気を付ければ良いんだよ!それより君の名前は何て言うの?」
聞いてきたのは黄色髪で明るい女子生徒だった。
「僕の名前はレベッカ・ライウス。ライウスと呼んでください…」
恥ずかしさを感じるライウスに微笑な笑みをしながら話の輪に入る。
「全員今年の新入生だから、あんまり気にしなくて良いよ!」
「私のことをマリアって呼んで!これからは良く会うことになるだろうし!」
「俺はクラウスだ!俺も工業科の所属だから、これからよろしくな!」
ライウスはマリアとクラウスの近い席に座り、教授が来るのを待つ。
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「これから名簿を呼んでいく。呼ばれたら返事をしてくれ…」
教授は一人一人、名前を呼んでいく。呼ばれるたびに生徒が返事をする。やがて、ライウスの番になり、同じように返事をする。
全員の点呼を済ませた後、教卓に手をつき、話し始めた。
「今日から工業科1のDの教授になったリクセルムだ!今日は学校の説明を含めて、学校探検を行う!」
教授は教室から出ていったため、教室の中にいた学生たちは教授に追いつくようについていった。
「まずは工業科の生徒が頻繁に通う。魔工技師室だ!ここでは魔法を使った魔道具や魔装置を作ったり、動かしたり、様々な授業を行う。今回はじっくり見ることは出来ないから、授業が始まる前には分かるようにしておくように!」
リクセルム教授は次々と学校内にある教室を教えていく。食堂や体育館、魔鉱石の倉庫など色々と案内していく。
リクセルム教授と学生たちが教室に戻ってくるとそこには学生分の制服が2種類置かれていた。
「机に置かれているのは、通常時の制服と運動時に着る運動着だ。基本的に学校内にいる時はかこのどちらかの制服で生活を頼む。……それでは今日はこれで終わりとする!」
今日の役目を終えたリクセルム教授は教室を出て、職員室へと向かっていった。
残された学生たちは自分の部屋へと向かっていき、教室にいる生徒たちも少なくなっていった。
「~はぁ!終わったぜ!マリア、ライウス!これからみんなの部屋見に行こうぜ!」
「それは良いですけど、確か女子と男子で寮は別になっていませんでしたっけ?」
「そうだった!しかも、男子は女子寮に立ち入り禁止だった!?すまんマリア!俺たちだけでやるわ!今日はバイバイ」
「そんな〜!待って待って、私は男子寮に入れるから、男子寮に行こう!」
「駄目だ!それは平等じゃない!!今日は諦めてくれ……」
「そんな~!!」
そして、ライウスとクラウスは男子寮へと向かっていくのであった。……マリアを置いて………。