第3話
「ライウス!!起きなさい!!もう学園に行く時間よー」
慣れ親しんだ声がいつものように起こしにやってくる。
「もう起きてるよ母さん!」
ライウスは急いで制服に着替えてリュックを持ってリビングへ向かった。机の上にはパンとコーンスープが置かれており、お父さんが静かに食事を始めていた。
ライウスは静かに椅子に座って、パンを食べ進める。
「………ライウス、今日は大切なクエストを依頼されてしまったからお前の入学式には行けないがお父さんはこれからも応援しているぞ…」
━━━お父さんの口数は年々減っていき、今では俺とあまり会話をしなくなってしまっている。なのに、たまに突然話し始めるのは何とかならないのだろうか。お父さん応援してる······まったく意味が分からない。何を応援しているんだ家の親は…。
「あぁー、うん…」
お父さんは話し終えると食べ終えた食事の皿を持ってシンクに置いて、家を出ていってしまった。
「私は行くわよ〜!ライウス!」
━━━それはそうだろうな。入学式は親同行じゃなきゃだめなんだから。
ライウスは食事を終え、汚れた皿をシンクで洗い始める。ついでに置かれていた食器を洗う。
「良いわよ!私がやっとくから」
「いいよ、これくらいなら…」
洗い終えた食器を乾燥させるために置いていく。
「そうだ!ライウス宛に手紙が届いていたわよ〜!行く前に読んどきなさい!」
母に手紙をもらい、封蝋で止められた開け口をナイフで開ける。中には昇級状と手紙が入っていた。
━━━拝啓、ライウス殿。この度はBランク昇級おめでとう。君が商業ギルドに登録したのは4歳、つまり約2年は登録してから経っている。2年間でDからBにまでランクを上げたのは6年ぶりの快挙だ。2年で2つもランクを上げたものは滅多にいないことを分かって欲しい。コホン。ここからが本題だ!君には昇級早々だが頼みたいことがある。この手紙が届いてから7日以内に商業ギルド本部に来てくれ。ギルド本部で会うのを待っている。
内容はこれで終わりだった。読み終えたライウスは手紙をリュックの中にしまい、母であるアリシアと共に入学する学園へ向かう。
ここから学園までは10kmも離れているため、いつも馬車や魔電鉄で向かう。
今日は急いでいたため、近くを通る馬車に乗らせてもらった。
学校までにはまだ時間がありそうなので先ほど読んでいた手紙の話を始めた。
「さっきの手紙、商業ギルドからのものだったわ…」
「商業ギルド······?ライウス宛に何で商業ギルドの手紙が届いたのかしら?入会を勧める手紙かしら…」
······忘れてた〜!危ねぇ〜。そうだった、母さんには商業ギルドに登録していることを言ってなかったんだ。1年前にたまたま商業ギルドに来ていた俺を父さんがたまたま見つけて、父さんにはバレてしまったが父さんは母さんには伝えていないようだ。
ライウスは話を誤魔化しながら学園の入学式へと向かうのであった。