第20話
親玉の一方的な殺戮はほんの数秒で複数の人を還らぬ者とし、残った血や皮膚が次々と腐り始める。おそらくだが周囲に漂う霧が死体の腐敗化を早めているのだろう。そのせいでここ周辺の匂いはキツイ匂いが漂っている。
親玉の様子を見るに人を殺める罪悪感など無く、剣魔聖騎士団に見つかる恐ろしさに怯えているように感じられる。
ギャ~~!!━━━━グハァッーー!!━━━━キャーー!!
人質とされていた者たちは続々と親玉の手によってやられていく。でも、なぜそこまで殺すことに執着しているんだろうか······。剣魔聖騎士団が恐ろしいのなら、人質など捨て置いてさっさと逃げれば良い。いや、そんなこと考えてる暇なんてないか。今、動けるのは俺1人······あいつの殺戮を止めるには何を生み出せば良いんだ······。
ライウスは危機的状況で思考速度を上げ、打開策を練り上げる。
「我が手のひらに敵を眠らせる麻酔薬を召喚せよ!ジェネレートスリープ······」
ライウスの手に麻酔薬のような物が入った小瓶が生成される。
「我が手のひらに針を召喚せよ!ジェネレートニードル······」
ライウスは生成した針に麻酔薬を十分に塗り、土属性の魔法ロックバレットで針を親玉の両足と両腕に飛ばした。飛ばされた針は親玉の両足と両腕に的中し、徐々に親玉の動きが鈍くなり始めた。
「何だ?急に······身体が·········」
━━━バタン!!
今だ!━━━
ライウスは身体を起こし、クラウスとマリア、メルリーの下へ行き、それぞれに麻痺を治す薬を流し込む。
「皆、大丈夫か?」
「俺たちは大丈夫だよ···。でも············」
クラウスたちは残虐な目にあった人々の遺体を見渡す。
「あぁ、絶対にあいつだけは許せないな······」
ライウスたちは倒れている親玉を凝視する。
「お前ら、何をした!」
怒鳴り苛立つ親玉にライウスはこう言い返した。
「お前に言う義理なんてない!この霧を止める方法を教えるんだ!!」
ライウスの問いに親玉は気色の悪い笑みを浮かべ、おぞましく言い返した。
「今頃解いた所でもう遅い。既に条件は揃った!キャッハッハッハッハッハ!!我ら悪魔の部下によって、高貴な悪魔様は蘇られた。悪魔に楯突く者は破れ、悪魔に従う者が功を奏する時代がやってくるのだ!!ハッハッハッハッ━━━━━━━バンッ!!!!」
言い終えると共に笑っていた親玉は胸部付近から巨大な爆発音を鳴らしたのだった。
「なっ!?何が起きたんだ·········」
「爆発!?自爆したの·········?」
「条件が揃った?悪魔?どういうことなんだ·········?」
想定外な展開にライウスたちは思考が追いついていかず、混乱していると上空から不思議なゲートが出現した。
「━━━ここ······球?良い·········こ···世界······人を全······す」
ゲートの中から歪な形状をした不明生物が現れた。
「何だあの生き物は·········!?」
分からないことばかりで混乱するライウスたちであったが、すぐに状況を察した。
「もしかして、あれが···悪魔·········」




