第12話
「はぁ〜、もう起きる時間か···。朝はキツいな」
ライウスは素早く学園の支度を整えると朝食の準備をし始める。
今日はポテンシ豆を入れたスープとパンのメニューだ。
ポテンシ豆は自己のポテンシャルを上げてくれる効果のある豆。つまり、今の俺にとってとても良い影響を与える豆ということだ。
ライウスはポテンシ豆のスープとパンを口に頬張り、荷物を持って部屋から出るのであった。
━━━キーンコーンカーン!!
「皆、席に着席するんだ!これからホームルームを行う。名を呼んだら声を返すように···」
リクセルム教授が点呼をすると同時に生徒が返事を返す。
教授の点呼が終わり、ライウスが次の講義の準備をしようとするとリクセルム教授がクラスの全生徒の足を止めさせる。
「すまないが皆にはこれから講義ではなく、冒険者ギルドと商業ギルドとの特別訓練を受けていただくことになった。早急に体の動かしやすい格好で食糧を持って学園の正門まで集まるように!それでは解散!」
リクセルム教授は言うことを言い終えるとすぐに教室から出ていってしまった。
突然のことに動揺を隠せない学生たちは、すぐに教室から出て、各寮へと戻っていった。
「俺らも早く戻らないと!!」
ライウスたちもすぐに寮に戻り、運動着と食糧を持って、学園の正門へ向かった。
「皆、さっき言ったものは持ってきたか~!」
動かしやすい格好で食糧を持ってきた学生たちは教授に向かって頷くと、教授はそれを確認すると近くにいるギルド関係者に伝えに向かった。
「皆さん!初めましての人もいると思うので自己紹介をしますね~!私の名前はエリーナ。冒険者ギルド兼商業ギルドの受付嬢をしております。以後お見知りおきを···」
エリーナさんは今回行う特別訓練について私たち学生に分かりやすく説明をしていると、エリーナさんの背後から重々しい鎧を身につけた男2人と魔術師4人の計6人が学園の正門を抜けてきた。
「すいません、少し遅れました」
「時間内なので大丈夫ですよ!それでは事前に説明したようにこの子たちの守護をしていただきたいです」
「おう!分かった。俺らに任せろ!!」
「皆さ〜ん!それでは暗明の森へと入りますので先ほど説明した通り、弱治草を1人20個採取しましょうね!」
雑に並んでいる学生たちは木々の間に生えている弱治草を1人づつ丁寧にちぎっていく。
「ライウス!いくつ採れたんだ?俺はもう20個手に入れたぜ!」
クラウスが20個の弱治草をライウスに見せびらかしながら、聞いてきた。
ライウスが自分の手に掴んでいる弱治草を数えていると、背後からマリアが現れた。
「私はすでに25個も採っているわ!あなた、遅いわね!」
クラウスを嘲笑うマリアはついでの勢いでライウスにも聞いてきた。
「俺は30個かな···」
「······」
「ねぇ、俺の回答で無言にならんでくれる?」
「すんなり俺らの数超えないでくれる。少し本気でへこむわ···」
「上には上がいるってわけね!もっと回収して超してやるわ!!」
クラウスはへこみ落ち込み、逆にマリアはやる気を出して、積極的に摘みに行ってしまった。