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第七話


「ソフィア、お前は俺たちにとって邪魔者などではない。」


――いやいやいや!

ちょっと待って、冷静になって?

なにこの親子の全力シリアス連携プレイ!?

私のメンタルがもう崩壊寸前なんですけど!?


深呼吸しよう。冷静に――冷静に考えるのよ。

私は計画を練りに練って、命がけで導き出したの。

推したちが幸せになり、私も無事でいられる唯一無二の答えは――国外逃亡しかないって!


もちろん、推したちのことは大好きです。

ほんの一瞬でも、あなたたちと「家族」でいられたこと、本当に嬉しかった。

でもね、それと命を賭けるのは話が別なのよ!

私が死ぬなんて絶対に嫌!でも、推したちを傷つけるなんてもっと嫌!


だから、私は自分の命を守りつつ、推しを守るために、涙を飲んで(心の中で)この決断を下したの!

……なのに、なんですかこの親子の無駄に麗しい表情は。

目に涙まで浮かべて、私を見つめるのはやめてほしい。


――もう無理。心がもたない。


震える手で胸を押さえながら、なんとか声を振り絞った。

「私は……そうは思わないわ。」


――いや、何言ってんの私!?


頭の中で自分に全力でツッコミを入れるも、口に出た言葉は戻せない。

仕方がないので、こう付け足した。

「私……疲れてしまったの。一人にしてほしいわ。」


そう言いながら、真顔でドアを指差し、夫と息子を強引に部屋から追い出した。


バタン、と扉が閉まり、訪れた静寂。

「ふう……」

やっと計画を練り直せる。キャラが崩壊する前に追い出せてよかった、と胸をなでおろした。


――だが、このときの私は知らなかった。


追い出された親子が廊下で、ものすごい誤解をしながら作戦会議を始めていたことに。


「父上……やはり、母上は自ら命を断とうとしているのでは……?」

「……ああ。彼女はこれまでも、一人で多くを抱え込みすぎていたのかもしれない。」

「なんて高潔な方なんだ母上は……!」

「だが、このままでは壊れてしまう。この状況を打破せねばならん。」

「分かりました!これから僕が24時間体制で母上を見守ります!」

「いや、それでは不十分だ。ここはプロを雇うべきだ。最強の護衛をつける。」


わずかな時間で瞬く間に作戦が進行する親子。


一方その頃、部屋の中でソフィアは、彼らの動きなど微塵も知らないまま、

「逃亡ルート、北がいいか南がいいか」

という新たな人生の岐路について、全力で悩み始めていたのだった――。


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