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異世界転移に終止符を!!!  作者: パラソルらっかさん
三章 私が全部背負うから
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結果

 実技の試験は、上出来だったと思う。


 

 試験監督の指示通りに魔導具から魔法が出せた。

 それ以上でも以下でもないでもないけど、でも、出た。

 魔法が出せた。

 それが何点になるのかは分からないけど、でも、出た。

 魔法が出せた。


 語れるのはそれだけだ。




 さてと、それから数日後。

 いよいよ試験の結果が届く。



 図書館の受付で貰った紙を裏返しのまま手に持って、僕は暁音さんの待つ席まで歩く。

 合否の発表というのは、多分いくつになってもなれないんだろう。

 この瞬間だけにしかないドキドキが全身を覆ってくる。


「暁音さん、見るよ……」

「うん。準備はばっちり……」



 2人で生唾を飲み込んで、いよいよ結果を目の当たりにする。



「「せーのっ……!!! 」」



 自然とつぶった目をゆっくりと開いていく。


「……っ」


 緊張から打って変わって、自然とにやりと上がる口角。

 そしてそれは、暁音さんも同じのよう。


「悠里くん! 」

「暁音さん! 」


 2人して掲げた手を、互いにぶつけて音を鳴らす。

 紛れもない、合格祝いのハイタッチだ。



 

「何とか第一関門突破だね。悠里くん、おめでとう」

「うん。とりあえず合格だよ。安心したぁ……」

「ええと点数はと、oh......めちゃくちゃギリギリだ」

「自分でもあんま自信なかったから、まさか受かってるなんて……」

「まさか受かってるなんて、って……。落ちてたら悠里くん、間に合わずに死んじゃうんだからね」

「分かってるって」


 なんて、こんな冗談言い合えるのも、僕が合格したからだ。そう思うと、あぁ頑張ってよかったな、と達成感がどっと湧く。


「ともかく、おめでとう。せっかくだし、晩御飯は盛大にいく? 」

「そんないいよ。まだ通過点なんだし」

「えっふーん、倹約家だねぇ。美味しい物とか興味無いの? 」

「いやまあ、興味は大ありだけど……なんだかお祝いとかしちゃうと、一気に浮かれちゃいそうで」

「へぇ……ってまあ、あと数日したら王様からとんでもなく盛大に祝われるんだし、私のショボイ宴会なんてどうでもいいよなぁ……あーあ、残念だなぁ……」

「そんなんじゃないって。なんでそんな意地悪な言い方するかなぁ!? 」

「てへっ! 」




 それから僕らは、ささやかなカレーパーティを2人で開いた。

 お決まりの一丸の玉ねぎが入ったカレー。

 いつもは何気なく食べているけど、今日はまるでショートケーキのてっぺんのいちごみたいに感じられた。


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