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異世界転移に終止符を!!!  作者: パラソルらっかさん
三章 私が全部背負うから
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拝啓、全ての働きマンへ



 

 ほんっとーに!!! やめておけばよかった!!!



「なんでお前今日もいるの。嫌なら辞めればって散々言ってるよね」


 傍からそんなことを言われるくらいに、僕の態度から滲んでくる悔いの感情。


「分かってるんです、分かってるんですよ! 」


 目から後悔を流しながら僕は答える。

 

 後に悔いると書いて後悔。

 先に行動の結果を予測出来ずに、後々になって悔いる。

 要するに、アホなんだ。



「なぁメアちゃん、こいつはな、漢になろうとしてるんだよ。女との約束を守るために、自分を曲げてでもこの仕事をやり遂げようとしてる。な、かっけえだろ」

「は? 訳分からないんだけど……。要するに気が狂ったんでしょ」

「違う、新入りは今も戦ってるんだ。葛藤の中に真の己を見いだし、苦難も辛さも乗り越え――」

「いや知らんがな……。こっちは毎日帰り際に泣かれて迷惑なの。さっさと馬車の中で着替えてもらってもいい? 残ってるの、アンタらだけだから」

「ちっ、さすがいばら姫。非情な女だ」

「冷血でも冷徹でも冷酷でもいくらでも言えばいいよ。ダーティアの加護の前には全て零に帰すから」

「……」


 先輩に連れられ、僕は今日も馬車の中で全裸にさせられ縛られる。

 この労働生活も、もう時期一週間が経つ。

 慣れなんかがくることはなく、いつもいつも辛い日々だ。

 元の日本でも軽くアルバイトはしていたけれど、一日を労働に捧ぐというのはこっちに来てからのことで、なんというか辛さが段違い。

 今の心の拠り所は、日に日に入る約1万のお給金と、暁音さんの待つ家の心地良さだけ。

 家族のために働いていた父も、きっと今の僕と同じ気持ちだったのかな。

 …………………………。いいや、そんな訳がない。

 うちの父親は全裸で通勤なんてした事ないよ!

 この寒さと惨めさは、今僕だけが抱えてるものだ。

 一緒にして悪かったよ、父さん。


 果たして僕は、この日々に慣れがくるんだろうか。

 初日に言ったやりがいとか気にせず、目の前のことをこなし続けられるような日々を送れるんだろうか。

 せめて、講義会代を稼ぎ切るまでの約ひと月の間、精神を保ったまま人間の形して生きて帰ってこれるんだろうか。



「冷静に考えて、これに慣れるってなんだよ……っ」



 異世界生活、19日目。

 最近、働く事の辛さがわかりました。

 帰りたいです。帰してください。

 でも帰ってもしばらくは働きたくないです。

 労働アレルギーです。重症です。

 お父さんはすごいと思いました、同じくらい化け物だと思いました。

 今から就活が怖いです。アルバイトの面接も怖いです。

 社会が怖いです。

 ps.異世界は夢の国とか思ってるやつにドロップキックいれたいです。

 

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