表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/146

VS転移者


「帰れ」


 隙だらけの僕を前に、奴は攻撃すらせず口を開く。

 後ろでは、竜とエリッサさんの死闘。

 会話する時間なんて、ここには無いはずだ。



「嫌だ」

「お前の意見は必要ない。命令だ、帰れ」

「なっ!?」



 何が目的で、そんな事を。

 今さら善人ぶったどころで、印象なんて覆えるものか。

 


「なら、暁音さんを解放しろ」

「嫌だ」

「なっ!?」



 何だこいつ……!!!

 この期に及んで、おちょくってるのか。

 こっちは刃物持ってるんだぞ、怖くないのか?


「言っておくけど、こっちは覚悟してきてるんだ。本気出したら、こいつで……」

「こいつで、なんだ」


 濁した甘さを突いてくる。

 いざ面と向かってとなると、言葉は無意識に引っ込むんだな。

 ここまで来たなら言ってやる、ぶっこ、ぶっころ……




「ぶっ、ぶっころ飛ばす! 」




 死に至らす……とは言えなくて、言葉はまた濁る。


「できるのか」


 奴もそれを見透かしてるのか、覚悟を問うような文言。

 どうやら、どうしても僕を追い返したいらしいな。





 例え何を言われようと、僕はここから引く気は無い。


 奴がじゃない、彼女がじゃない。

 ここに来たのは、自分の意思。

 暁音さんに伝えたいことが、言いたいことがただただあるだけ。それを成すまで、ここからは引かない。


 臆病な自分は確かにここにある。

 怖い、というか、気持ちが悪い。

 吐き気になりきらない不安の種が、身体中に根を張ってる。

 今に始まったことでは無いけど、だけど、いつまでたっても一向に慣れることはない。


 対処法なんて無い。

 手のひらに人を書いて飲み込むみたいな、そんなまじないごときじゃ、この深い根は抜けてはくれない。

 十数年とずっといるんだ、そう簡単に行くものか。


 今までずっと向き合ってこなかった、いや、向き合ってはその度に負けてきた。

 一生勝てない自信すらある、そんな腐れ縁の宿敵。

 だけど、今僕はこいつをどうにかしなきゃならない。






 出来ることは、対処じゃない。



 ただ、覆い込むこと。





 皮をかぶせて、視界から今は消す。

 そこに確かにある、だけど見えない。

 今だけでいい、今だけ、自分で自分を誤魔化す。

 

 たかが言葉のあやかもしれない。

 だけど、それで立ち向かえるなら。

 


 最強で、最高。もしくは、自分を支える何よりもの軸。


 憧れて、夢に見て、待ちに待ったあの姿を、自分の身体に落とし込む。


 少し語気を強く、多少くらいは生意気に。

 纏え、自分が思う、理想の主人公(オーラ)を。






「……ああ! 」







 返事を聞いて、その重い腰をようやくあげた奴は、傍らに刺さった剣に手を伸ばす。

 その一本は、なんてことの無いただ普通の剣のはず。

 けれど、それを、彼が逆手に握るだけで、まるで全てが呑まれていくかのように奴色に染る。


 気怠げに構え、だけど少し不敵に笑う。

 奴の心情は読み取れやしない。

 だけど、前を塞ぐ気が僅かでもあるなら、今は真っ向から貫くしかない。




「そうか。いくぞ、……代償」


 もう片方、奴の突っ込んでいたポケットの内から光が出る。


「……!?」


 奴の姿がその光に隠れ、見失った次の瞬間には、




「ぐっ、はあっ!」



 剣を軸にした重い蹴りが、僕の胴に叩きつけられた。



 反射神経に自信はない、でも油断したつもりも無い。

 警戒だけは解かずにいたさ。

 明らかに速い。

 エリッサさんほどじゃないけど、普通の人間が出せる瞬発力を大きく超えてる。

 あの風貌じゃとても無理。まさかっ……!!!





 光が落ち着き、後ずさりした僕の前。

 あるのは、さっきとは違う奴の姿。



 

 服の上に浮き上がる筋肉、湯気が経つほどの驚異的な代謝。

 肉体年齢における全盛期、そこに代償の力で得た筋力。

 もし、自分が肉体強化に特化した人生を歩んでいたら。

 そんな理想を、やつはその身に降ろしたんだ。

 神様から与えられた、スキルを使って……!



「何を驚く。変換の力はこう使う物だろう」


読んでいただきありがとうございます!!!

よろしければ評価の方よろしくお願いします!

作者のモチベーションに大いに繋がります……なにとぞm(*_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ