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悠里と受験勉強


 僕らは、図書館にきた。

 

 

「何でわざわざ図書館まで? 」

「こういうのはね、雰囲気作りが大事なの。本番の試験に近い状況に慣れておくのが目的。場数踏んで身体に覚えさせるの。試験慣れしておかないと本番で本調子出せないかもしれないからね」


 もうこの段階から試験対策は始まってるんだ……。

 そう思うと、一気に緊張してきちゃうな。


「準備はいい? 」

「うん……」



 

「じゃあ、始め」


 


 暁音さんの掛け声で、模試は始まる。

 彼女から渡された問題用紙には、びっしりと問題が書かれていた。

 とりあえず一番最初の問題から目を通す。


 大問1、見たところ普通の計算問題が沢山だ。


 (1)221×368×99

 (2)38×399×45……。


 とりあえず桁が膨大になりそうなことはわかった。

 面倒だけどとりあえず筆算を駆使して解いていく……。


「よし、次だ」


 二問目、そこから先はもはや未知の領域。

 例えるなら、手付かずの古代文明が自然によって侵食されているかのような、未知。

 暗号に近い状態の問題文は、言ってる意味がわからないのだ。

 

 一辺10mの立方体内の待機状態のエーテル5e/m³を理想エーテルと仮定する時、1イーサー当たりの温度を求めよ。ただし、エーテル定数をQとする。

 

 ほげぇ……?

 ちょっと意味がわからないので飛ばすとしても、僕はこれからこの問題を余裕で解けるくらいにならなきゃいけないってことだよな。

 続く三問目、四問目……は同様に理解できず、問題は裏面へ。


 問五、魔導士が的を目掛け魔法を放つ瞬間を題材にした問題。

 


 魔導士Xは5倍増幅魔導具Bを手に、距離30m先の的を目掛け魔法を放つ。

 (1)この時、魔導具Bの持つエーテルエネルギーの最大値を求めよ。なお、魔導具Bの魔術回路は下記の通りであり、単位エーテル量はe、魔位差はV、秒間エーテル体積をMとする。

 (2)魔導士Xは3秒間のチャージを行った。その後放った魔法が30m先の的でちょうど消失した時、この時のエーテル加速度を求めよ。なお、空気摩擦定数はuとする。

 (3)この時のエーテル加速度はエーテル量に比例するか、根拠と共に述べよ。

 (4)魔導士Xは5秒間のチャージを行った。その後、エーテル加速度aで放った魔法が30m先の的に命中し、そのエネルギーが全て的へ伝わった。この時の的が受けるエネルギーを求めよ。

 


 とあるが、これは(1)から全く分からないな……。

 単位エーテル量とやらはおそらくエーテルの量なんだとしても、魔位差とは? 秒間エーテル体積とは? 何が何だか分からないものばかりだ。

 とりあえず空欄は良くないから何か書くとしても、どう書いていいものか。

 エーテルエネルギーの最大値だから、300……とか適当に数値を書いておけばいいか。

 

 (2)も同様に意味がわからない。

 3秒間のチャージをして放った魔法が30m先でちょうど消失、か。

 魔法が当たる寸前で消えたってとこだから、当たってないってことだよな。

 それで、求めるのがエーテル加速度……。

 エーテル加速度っていうのは、2級の範囲でも少し触れたな。

 確か……確か……、Ea=Fって公式のaだったはず。

 ゼラさんとやったからまだ脳がギリギリ記憶してる。

 aを求めるには、両辺をEで割って、a=F/Eとして……。

 a=F/Eが、答え?

 なんか、割と呆気ないな。


 (3)は比例するかどうか。

 比例ってのは数学のアレ、1増えたらもう片方も決まった数だけ増えるってヤツだ。

 でも根拠と共に述べよってあるから、記述の問題なんだよなぁ……。

 いいや、どうせ点にならないんだ飛ばしてしまえ。


 (4)、5秒間のチャージを行った魔導士は、今度は的に命中すると。さっきより2秒長いチャージだから、エネルギーは(2)の……何倍になるんだ?

 いや待って、そもそも(2)で聞かれてたのはエーテル加速度の話であって、エネルギーが聞かれてる訳じゃなかった。

 だから、つまるところ……あれ?

 僕は、ここに何を書けばいいんだ……?


 

 上から順に目を通したが、これ以上何か浮かんではこない。

 あってそうなのは(2)くらいか……。

 五分ほどかけたにしては空欄が目立つが、今は仕方がない、諦めて先に進もう。

 そうして僕は、問五から離れた。

 そこから先、問六、七と続くも、同様に手応えらしい手応えは得られずじまい。

 結果、制限時間を30分と大幅に残して、僕は回答を終えたのだった。


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