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-第2話-こちらに来てからの二ヶ月間(2)

話を、今現在の私がいる湖へとずらす。

私の周りにはたくさんの動物と、そしてなぜか大精霊である水精霊と風精霊。そして服を置いているところには、なぜかいじけている土精霊。どうやら水に入れないのでしぶしぶ私の服を守ってくれているらしい。ものすごいおりこうさんである。



この状況が異常であることは皆さんも気づいているはずだ。






実はこの世界に来てから、なぜかものすごい動物になつかれるようになった。







それに気づいたのは、湖で私が悲しみにあけくれ、ただただ泣いていたときだった。

湖のふちの方で足だけ浸かり、泣いていると足をつつく妙な感覚。

そちらに目線を向けると、たくさんの魚が足によってきていた。

まさか人肉を好む魚なのかと思い硬直するも、危害は与えてこない。おそるおそる魚を触ろうと手を湖の中に入れると、逃げるどころかすりよってくる始末。かわいすぎる。

さらに鳥の羽ばたく音がするかと思ったらあっという間に肩やら頭に鳥が飛んできた。

たったか足音がするかと思ったら、奈良でしかみたことがない鹿らしき動物がすり寄ってきて涙の跡がのこるほっぺをなめてくる。

背中に暖かい感触があると思い振り向くと、なぜか大きな熊が横になっていた。







いやいやいやいやなんじゃこりゃ。






とりあえず体を動かしたら何をされるか分からないので動くことができなかったが、熊はすりすりと甘えるように頭を私の体になすりつけ、手を優しく甘噛みし、鹿も負けじとのしかかってくる。魚はばっしゃんばっしゃん激しく動き出すし、鳥たちも、かまってとばかりに綺麗な声で鳴きだす。

あんたたちはなにがしたいんだと思い、様子を見守るが、やがてそっと熊をなでてみると気持ちよさそうな声をだした。とても可愛かった。

それをみて、鹿が熊をなでる手を自分の体になすりつける。

それに怒る熊。応戦する鹿。やいやい騒ぐ鳥と魚。そして乱闘になりかけて湖におとされる私。









いやいやいやいや・・・












なんて心の中で叫びながらも、湖の中へと落ちると同時にくすくす声が聞こえた。水の中にいるのにクリアに聞こえる不思議な声。



(あの子たちはみんなあなたのことが大好きなのよ。もちろん私も。こんなに人間といて心地よいのは初めて。水の精霊の同胞たちもみーんなあなたのことを歓迎してる。)


目の前に綺麗な妖精が現れる。髪も目も服も青く、透き通ってみえるちーーーっちゃい女の子。なんだこのかわいいものはと呆然としながらその妖精をみていると、体が押し上げられて、地上にふわふわと浮く。



(あら水精霊たちだけじゃないわ。風精霊もみーんなよ。土精霊だって火精霊だってあなたのこと気に入ったんですって。)


今度は緑の髪と緑の目、緑の服を身にまとった薄透明の女の子の妖精があらわれる。







なんだこれは!幻想?夢?普通に考えてこんな可愛らしいものがいたら、変態なやつらに生け捕りにされてハァハァいいながら一生観察されて今頃絶滅品種になってるだろういやしかしここは異世界だしここにきた時点で私の普通は崩れてしまっている・・・とかなんとか混乱した頭で必死に考えてみる。








ふと体が軽いのに気づき、目を向けると水に濡れていたはずの体は、湖に落ちる前のように乾いている。暖かい風が髪をなで、まるで春の暖かな陽気にさらされた風のようにじんわりと体をあたためてくれる。


(あの子たちを許してあげて。あなたに好かれたくて一生懸命なだけだったんだから。)


と全体的に緑色の妖精にいわれて自分が座っていた場所を見ると、申し訳なさそうにへたりこむ動物たち。なにがなんだかわからなかったが、あまりにもかわいすぎたのでなんだか笑いがこみ上げてきた。

さっきまで泣いてばっかりだったのに、今では心がとってもほっこりしていてとても気持ちよかった。動物たちも私が笑っているのをみて賑やかに騒ぎ出す。

妖精たちも楽しそうな笑顔で私や動物をみていた。












この日から毎日空いてる時間に湖へと行くようになった。今までのように泣くのではなく、動物たちとふれあい、妖精と会話し、楽しむために。









この妖精たちが精霊、しかも四大精霊であるということを知ったのは、きこりのおじさんがこの世界の精霊について教えてくれたときであった。





なんだかものすごいことのような気がするのはたぶん気のせいではないだろう。












けれど、このほのぼのとした時間は私にとってかけがえのない大切なものへと代わり、彼らときこりのおじさんおばさんのおかげで、私は毎日泣くこともなく、元気にくらしているわけなんです。

















ほのぼ~の~。ふふっと笑顔がでるほのぼの感が大好きです。

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