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第八話 文化祭の話し合い

 そして日が経ち、文化祭の演目を決めることとなった。

 俺の隣には美優さんが座っている。

 まだ俺意外とはまともには喋れていない様子ではある。


「さて、文化祭何をしますか?」


 そう、文化委員の人が言う。


「文化祭……」


 彼女が呟く。


「私もやったわ。あまり覚えてはいないのだけど」


 おそらく美優さんにとっては、文化祭の思い出よりも、誘拐時の記憶の方が大きいのだろう。

 だからこそ、記憶から消得てしまっている。その、強烈な記憶により。

 本来は誘拐時の記憶の方を消し去りたいはずなのに。難儀なものだ。



「じゃあ、やりたいことを出してください」


「何かやりたいことはある?」


 こそっと彼女に聞く。


「……」


 考えているようだ。

 そんな間にも「劇がしたい!」「お化け屋敷は?」「コーヒーカップみたいなやつ作ろうよ!!」


 そんなことをみんながつい次にいう。


 そして、無言で佐々木さんはうつ向いてしまった。

 そんな彼女を心配するように友達が見る。


 とはいえ別ン自分で意見を出さなければいけないわけではない。もう佐々木さんがやりたい奴が出てる可能性もあるし。


「佐々木さん、無理して意見を出す必要はないからな」

「……うん」


 そして、結局佐々木さんが意見を言う事もなく、話し合いが終わった。

 結果的に劇になった。ちなみに佐々木さんは無投票だった。


 劇の内容は後日決めるという事で本日は終わった。



「劇ね……」


 帰り道、佐々木さんが呟く。


「どうしたんだ?」

「いやだなって……」


 やはり嫌なのか。そりゃあそうか。演じるという行動派エネルギーを消費する行動。

 それに耐えうる体力がまだないという事なのか。

 そもそも前の佐々木さんは知らないけど、今の佐々木さんはシャイなのだし。



「まあそうなった以上仕方がない。大道具とかでもやらせてもらおうぜ。出たくないって言ったら無理しいはしないだろ」

「……そうだね」

「まだ何か心配ことでもあるのか?」

「いえ……あの子に会わせる顔がないから」


 やはり木村さんとちゃんと話せないというのがつらいのか。

 親友だったからこそ、無理になる部分があるという事がある。

 例えば疎遠になったあと、そこからやり直すのは他人と一から関係を作ることよりも難しい部分がある。


 そういう状況なのだろう。


「私ね……やっぱり無理。しゃべっても、うまく会話が合わない気がするから」

「それは向こうもわかってると思うけどな」

「……そういう問題じゃ……ないから。それに……文化祭のことだって、うまく人と話せるのかなって。大勢の人がいる中でって考えると、いやで、でもせっかくだから行きたいし」


 こりゃあ、いろいろ感情がバグを起こしてるな。


「それはあくまでもお前の好きなようにしたらいいと思う。だって、行きたくもないのに行くなんておかしい話だし」

「……そうだね」


 そしてその日はそこで佐々木さんと分かれる。

 彼女自身も、今のままじゃだめだと思ってる今。やっぱり仲直りの場を作るほかないのか。



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