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第五話 説得

 そして、インターフォンを押すと、「どうも宅配便です。ハンコかサインをお願いします」と、悪振れもなく、康生が言う。

 すると、佐々木さんが出てきた。不思議に思う佐々木さんを無視して康生に言われるまま、家の中に入る。


「っどうして家の中に入ってくるの?」


 そう、おどおどとした様子で見る佐々木さん。明らかにおびえている。だけど、もうここまで来てしまった。今更引き下がれるわけがない。俺の思のほどを伝えなければ。



「俺は……やっぱり今の佐々木さんを放っておくことは出来ない。自分以外の人を同じ人間として見れないなんてやっぱり我慢が出来ない。俺は、君には幸せに暮らしてほしいんだ」

「それはたぶんあなたの自己満足だと思う」

「自己満足? 確かにそうかもしれない。だが、俺は事後満足でいいと思っている。それで、佐々木さんがハッピーエンドを迎えられるのなら」

「私はそんなの望んでない。私は、外に出ないでここで、この部屋で一人で暮らしたいの」

「ならなぜ学校をやめてないんだ?」

「そんなの決まってるじゃない。将来困るじゃない。学校に行かないと……」

「じゃあ、将来困らないために、人に慣れなきゃだめじゃないか」

「……出て言って」


 そう言って佐々木さんは俺と康生を部屋から押し出そうとする。


「ちょっと待て、少し考えてみないか? 人に慣れることを」

「……」

「出て言って!!」


 そして俺たちは部屋から追い出されてしまった。


「失敗だな」

「いや、一概にそうも言えないぜ」

「どういう事だ?」

「どうもこうも、今の佐々木さんは迷っている様子だった。それはむ、自分の扉を開かされるのがいやそうな感じだった。あの感じだと自分からドアを開いてくれる可能性がある」

「……だといいんだがな」


 そしていつまでもここにいるのもあれなので、家に帰った。

 そして土曜日、佐々木さんからメールが来た。

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