シェルカさんとふにゃふにゃたち
「ふぁ~~~」
夕暮れ時になると、夜行性のシェルカさんが
のっそりと起きて、リビングルームにやってくる。
シェルカさんはふにゃふにゃととても似ているが、実は別種。
ふにゃふにゃは神獣なのだが、
シェルカさんの種はアウリオアサシェルカといい、瑞獣である。
ふにゃふにゃによく似たふわもふお手手と脚、しっぽを持つが、
わふたんお耳はぴーんと反り返るくらいに立っている。
そして、毛並みはベージュ色で、妖艶な雰囲気のお姉さんだ。
「シェルカねーね、あしょぼー」
シェルカさんがやってくると、
ウチの遊び盛りのちびっ子たちも集まってくる。
白猫耳しっぽのもゆちゃん、
ロップイヤーお耳に、ふわもふウサギしっぽと翼を持つシーベリーちゃん、
そして双子のふにゃふにゃのひな・ふうくんとすうくんだ。
「うむ、よいぞ。何をするかえ?」
シェルカさんはちびっ子たちと遊んでいた、
モモちゃん、ファラちゃん、ひわくんに混ざって腰を下ろす。
近くではひにゃさんと、
シーベリーちゃんとお揃いのロップイヤーお耳の神獣・アセロラちゃんが、
その様子を和やかに見守っている。
「・・・!シェルカねーね、ふわもふしてる!」
ふうくんは、ふと、シェルカさんが纏っている、
ふわもこストールに目を向けた。
「うむ、我のお気に入りじゃ」
そう言って、ストールを手で掴んで、
くりくりと、ふうくんのほっぺに押し当てると・・・
「もふにゃぁっ!!!」
そのふわもふ心地に、ふうくんはすっかり虜になり、
すうくんや、もゆちゃん、シーベリーちゃんにも
触らせてあげている。
シェルカさんはちびっ子と遊ぶのも、割と好きらしい。
元々、ふにゃふにゃ好きと言うのもあるが、
ひなやちびっ子に懐かれれば、自然と相手をしているような気がする。
まぁ、日中は夜行性だから寝てるんだけどね。
ふにゃふにゃパーティーの日は、頑張って日中も起きてはいるものの・・・
「あの・・・シェルカ・・・」
そこで、モモちゃんが恐る恐る、シェルカさんの袖の袂を引っ張りながら、
上目遣いに見つめていた・・・
いつも勇ましいモモちゃんが、急にあぁいった表情を浮かべるなんて・・・
ついつい、そんなところにキュンとしてしまうのは・・・
婚約者としては、いい兆候なのだろうか・・・?
「私も・・・触っても・・・いいだろうか」
「うむ、もちろんじゃ。た~んと触ってくりゃれ?」
そう、シェルカさんが妖艶に微笑めば、
モモちゃんはぱあぁっと表情を輝かせる。
元々、ふにゃふにゃ好きのモモちゃんは、
同じくふにゃふにゃ好きの同志・シェルカさんを、
名誉顧問としてたいそう慕っているのだ・・・
そして・・・
むぎぅ~~~
モモちゃんは、後ろからシェルカさんを思う存分抱きしめていた。
「うむ・・・ふわもふだ」
「ふふふ、汝もめんこいのぅ」
そしてそれを、シェルカさんは特に嫌がるまでもなく、
妹のように普通にかわいがっているのだ。
ひにゃさんのねーね力もそうだが、
シェルカさんの姐さん力も相当なものである。
「ふにゃぁっ♡ウイ、隙ありにゃぁっ♡」
あ、俺の後ろにも、ふにゃが抱き着いてきた。
「ふにゃったら・・・」
ふにゃに隙を作らない・・・なんて選択肢は元々ないのだが。
ふにゃならいつでも、どこでも大歓迎である。
俺も、ふにゃふにゃは大好きだから。
「ふにゃもウイにぎゅ~するにゃぁ~♡」
「全くふにゃはいくつになっても甘えっこじゃ」
そんなふにゃを、三つ子の長男・はにゃさんは微笑まし気に見やり、
次の瞬間、ひわくんに後ろからぎゅむ~されるのであった。
「・・・うむ・・・まぁ、なかなか良いものじゃの」
「うんっ、はにゃ、大好きっ!」
そう、ひわくんに後ろから抱き着かれるはにゃさんの顔が、
いつも以上に照れて赤らんでいたのは、
ほんにんにはナイショにしておこうか。