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兄夫婦の場合


「ふぅにゃぁ~」


「もうすぐ年末かぁ」


「もふにゃぁでまったりするにゃぁ~」


「そうだなぁ、ふにゃ」

俺とふにゃはおこたに入りながら、お煎餅を食べながらまったり過ごしている。これぞ、この時期の風物詩!!


「あぁ、こういうまったり心地って最高だよなぁ」


「ふにゃぁ~、まったりにゃぁ~、すばらしやにゃぁ~♡」

しかしながら、いつでもどこでも油断をしてはならないのである。何故ならば。


「うへへへへっ♡今日は休日だからぁ~、ウイウォッチング~♡」

お兄さまがおこたの正面で、にやけ顔でこちらを見つめてくる。しかも双眼鏡で。


何をしているんだろう、あのお兄さまは。


「ヌイおにーさま、何してるの?」

おっと、果敢にも白猫耳しっぽのウチのかわいいもゆちゃんがお兄さまの側に!


「ん?お兄さまのかわいいかわいいウイの観察かなぁ~」

お兄さまは双眼鏡ごともゆちゃんに視線を移す。だから、何で双眼鏡越しなんだよ。


「それなぁに?もゆもやりたいっ!」


「ふふふ、しょうがないなぁ~、特別だよ~」

お兄さまがもゆちゃんに双眼鏡を渡す。あれがフィイ兄さん相手なら全力で抵抗するのだが、さすがにかわいい末の妹には抵抗しないらしい。


「わ~い!ヌイおにーさま」


「ん?もゆちゃん、何が見えるかな~?」


「おにーさまのおめめのもうさいけっかん」

ドテッ。


てか、何故もゆちゃんが毛細血管なんて言葉を知っているんだろう。にゃーレンジャーか。やっぱにゃーレンジャーか。


「ウイにーに~」

お、もゆちゃんがこっちに。


「ひゃっ」

やばっ!もゆちゃんがこけるっ!


「ほら、大丈夫?」

しかしすかさずお兄さまがもゆちゃんをキャッチする。へぇ、いつも変態ばかりなのに、たまにはいいとこあるじゃん。


そして俺の側にもゆちゃんを降ろしてくれる。


「もゆちゃん、双眼鏡はどう?」


「ウイにーに、見えない」

どてっ。まぁ、そりゃそうか。

もゆちゃんはすちゃっと双眼鏡をお兄さまに返すと、がばっと抱き着いてくる。


「もゆ、やっぱりこっちがいいっ!」


「そっか」

苦笑しつつも、もゆちゃんをお膝の上に抱っこし、頭をなでなでしてあげると気持ちよさそうに腕の中で身じろぎ、きゅぅっとくっついてくる。

わぁっ!猫耳しっぽ萌えっ!妹ってかわいいなぁ~。


「うへへへへ♡ウイのまったり顔ドアップ」

しまったぁっ!どさくさに紛れてお兄さまが俺の至近距離に!しかも双眼鏡越し。


「んもぅ、何してんの。お兄さまったら」

てか、それ見えてんの?俺見えてんの?ドアップすぎて逆に見えないし、気になるし。早速双眼鏡を没収し、俺はもゆちゃんを抱っこしながらふにゃの肩に頭を預ける。


「もふにゃぁ~、みんなでまったりにゃぁ~♡お兄さまもまったりしないにゃぁ~?」


「うへへ、お兄さまもしちゃおうかなぁ~」

ちょまっ!!這い寄ってくるの!?こっち這い寄ってくるの!?

せめてそのにやけ顔はやめてくれぇ~!

せっかくかわいいもゆちゃんで癒されてたのに~。


「仕事、もどっか?」


ゴゴゴゴゴ・・・


そして、お休みのお兄さまの代わりにお仕事をしていたフィイ兄さんがいつの間にかお兄さまの背後で仁王立ちをしていた。


「ひぇっ!?フィイ!?どうしてここにっ!」

まぁ、お兄さまの代理ということでお兄さまの書斎で仕事をしていたわけだから、普通に屋敷ウチの2階から1階のリビングルームに降りてきただけなのだが。


「ん、休憩」

そう言って、しれっと俺とお兄さまの間に座り、フィイ兄さんも何だか満足げに末の妹のもゆちゃんをなでなでしていた。


「ずるい~、フィイずるい~っ!!」

そう駄々をこねるお兄さまは相変わらずで。


「アンリ姫姉さんとデートでもしてくれば?」

夫婦なんだし。


「え?アンリは今日仕事だよ」

あ、確かにそうか。アンリ姫姉さんもサザンフォーリア軍に属しているのだから。


「今度、休みを調整してみるか」

と、フィイ兄さん。


「そうだよ、夫婦なんだし」


「いや、でもねぇ~」


「ほう?私とデートは嫌なのか?」


ずごごごご・・・


先ほどのフィイ兄さんのオーラよりも更に迫力満点の覇気がお兄さまの背後に現われる。


「げっ!?アンリ!?何故っ!!」


「部下がな。夫が休みなのだからと気を遣ってくれてな。午後半休をとったのだ」


「んなぁっ!?」


「せっかくなんだし一緒に過ごしたら?」

「仕事の時に一緒だも~ん」

それはその、プライベートの時に一緒に過ごせと言う意味で。


「別にいいぞ。私はちびっ子たちを愛でるのだ」

そう言い、アンリ姫姉さんは、じゃれているちびっ子たちに近寄っていく。


「しーべりー?」


「抱っこさせてくれるのか?」

とことことやってきたシーベリーちゃんを、アンリ姫姉さんがそっと抱き上げ、なでなでする。


「うむ、まぁまぁ」


「そうか、光栄だな」


「ねーね、おかしあげるー」

ぐりちゃんもアンリ姫姉さんの側にやってきて、お気に入りのドーナツをおすそ分け。アンリ姫姉さんもちびっ子たちと随分と仲良くなったなぁ。


「ふにゃ、抱っこにゃぁ~」

「もゆちゃもおねんねにゃぁ?」

こっちはこっちで、ふにゃのお膝にふうくんとすうくんがちょこんと乗っかってきて、ふにゃがすかさずぎゅむっと抱き上げていた。


「すやすやにゃぁ~」

ふにゃの言う通り、俺の腕の中ではフィイ兄さんになでなでされてすやすやと寝入るもゆちゃんの天使のような寝顔があった。


そう言えば、お兄さまは放置だけども。


「・・・」

アンリ姫姉さんを微笑ましそうに見つめるその様子に。

別に仲が悪いわけじゃなくって、お兄さまは普段勇ましいアンリ姫姉さんがあぁやってちびっ子たちとじゃれながら和やかに楽しそうにしている姿を見るのが好きなのかな?

何となくそう思ったのだった。


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