ふにゃふにゃ伝統の慣習(らしい)
「ふぅにゃぁっ」
うるうると見つめてくるまんまるお目目。凛々しい乙女のモモリアンナリエッタジャスミンことモモちゃんと、白い猫耳しっぽのみんなの妹・もゆちゃんが戦慄していた。
「ふにゃぁ?すうのおみみのとこになんかついてるにゃぁ?」
こてんと首を傾げるふにゃふにゃの双子のひなの片割れ・すうくんに、ふにゃふにゃ萌え義姉妹はあまりのかわいさに固まっていた。
「へんじゃないにゃぁ?」
「ぐはっ」
「きゃふっ」
ふたりはふにゃふにゃ萌え音頭を発し、そしてそんなすうくんを思いっきり愛でた。
「とてもかわいいぞっ!だから自信をもつのだ、すうくん!」
「すうくん、かわいい!」
「ふにゃぁ?」
何か微妙に会話が噛み合っていない。そんな3人のやり取りを物陰から見つめるふにゃふにゃがいた。
「ふにゃっにゃっにゃっにゃ~♡」
「ふうくん、何してるの?」
「わふにゃっ!」
何だかいつかのふにゃのように、ラスボスふにゃふにゃを演じているようなふうくんに俺はふと話しかけた。しかし何故、いつもならすうくんにべったりなふうくんが物陰からすうくんを見つめているのだろう。
「バレたにゃぁ~」
「ん?」
バレたって、何をしようとしていたんだろう。すうくんを後ろから近づいてびっくりさせるとか?双子の阿吽の呼吸でさらりとバレそうだけども。
「ふにゃ~にゃっにゃっにゃっ!バレたからにはしかたがないにゃぁ~?ウイにーにをふうがいないとだめなからだにしてやるにゃぁ~?」
何か似たようなセリフを聞いたことがある気がするな。
※詳しくは本編をご参照ください
「ふ~にゃ~ふ~にゃ~」
ふうくんが気合いを入れながら手足を動かしている。あ、これ知ってる。ふにゃがたまにやっているふにゃふにゃ神拳だ。
そっか。ふにゃの真似ね。さっきのラスボスふにゃふにゃも元ネタはラスボスふにゃか。それにプラスしてヤンデレふにゃまで取り入れたのか。
「上手だよ、ふうくん」
「ふにゃぁ~?」
こてんと首を傾げるふうくんがかわいい。
「ほら、にーにが抱っこしてあげる」
そう、両手を差し出せば。
「しかたがないにゃぁ~、こんかいはまけをみとめてあげるにゃぁ~」
負けを認めるのも早い。ふにゃの教えが活かされている。
因みにふにゃが降参するのも早い。ふわもふのひと言でふにゃはいつも通りの甘えっ子ふにゃに大変身するのである。
ささっとふうくんを抱き上げ、すうくん、モモちゃん、もゆちゃんの元へ向かい、カーペットの上に腰を降ろせば。
「え?すうくん?」
俺も正面から見てびっくりした。
すうくんのお耳に、お花飾りが付いている!?
「すうくん、何でお花飾り付けてんの?」
「ウイにーに、すうくんかわいい」
「あぁ、ウチのお花飾りを付けたふにゃいむのごとく!」
「ふにゃぁ~?」
モモちゃんがささっと自身と仲良しなお花飾りふにゃいむを抱っこする。
「すうのおみみ、なんかついてるにゃぁ~」
「ほらほら、とってあげるから」
ふうくんをお膝の上に座らせて、すうくんのお耳から髪飾りをとってあげれば。
「もふにゃぁ~、おみみ、もとにもどったにゃぁ~♡」
どうやら初めての髪飾りに違和感を覚えていた様子のすうくん。
「てか、この髪飾りは誰が?」
くるりと後ろを振り向けば。
「わふにゃっ!」
ふにゃがこちらを覗いていたのであった。
「ふにゃ、なでなでしたげるからこっちおいで」
と、呼べば。
「ふにゃぁ~、なでなでにゃぁ~♡」
早速とてとてとこちらにやって来て俺の隣にぴたっとくっついて腰を下ろしたふにゃ。なでなでしてあげながら。
「ふにゃ、この髪飾りのこと何か知ってる?」
「バレたにゃぁ~」
今ふにゃが自分でバラしたにゃぁ~。
「おめかしの練習にゃぁ~!ふにゃも昔やったにゃぁ~!」
それを聞いてくるりと振り向けば。
「あら♡」
こちらをひにゃさんがじっと見つめていた。
「ごめんなさい、昔出来心で♡かわいかったものだから♡」
にこっと微笑みこちらに来たひにゃさんはもゆちゃんを抱っこしてお膝の上に座らせてモモちゃんの隣に腰掛ける。
「私もちゃんと髪飾りでびゅーはしたのよ?おめかしって言ってゆりかごのみんながお花飾りを付けてくれたのよ」
「な、なるほど。昔のひにゃさんの体験をふにゃにして、ふにゃもすうくんにしたと」
「次はふうの番にゃぁ~」
「わふにゃっ!」
ふうくんは驚いた様子でふにゃを見やる。
「でも、すうくんもふうくんもふにゃも男の子なんだし」
「あら、男の子が付けちゃだめって誰も決めてないわよ?」
と、ひにゃさん。
「かわいいものはかわいくしなくちゃ!」
「そうだぞ、ウイ!」
と、ひにゃさんとモモちゃん。
「まぁ、ほんにんたちがやりたいなら止めないけど。すうくんはこれ、また付けたい?」
「すうはね、あのね、ウイにーにとお揃いのふにゃふにゃふーど被りたいにゃぁ♡」
おぅ、それじゃダブルふにゃふにゃお耳だわ。
「じゃぁ、次はそれで」
「それで行くにゃぁ~♡」
うん、ふにゃふにゃ三つ子のうちのふたりがノリノリなのだが。まぁ、ほんにんがやりたいと言うのでまぁ、いいか。因みに。
「はにゃにいさんに付けると、めっちゃセクシーなのよ」
と、ひにゃさんが興奮した様子で教えてくれた。はにゃさんにもやってたんかいっ!
何だかふにゃは元からだが、最近はひにゃさんのお茶目なところが見られて微笑ましくも思えた。