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デートに行こう


「ウイ・・・デートがしたい」

俺はその言葉に一瞬固まった。


「・・・デート・・・?」

しかしながらいつも勇ましい彼女がしゅーんとなってしまったのを見てハッとした。


「う・・・うん!デートね!行こうか、モモちゃん!」

だって俺たち婚約者!長男のお兄さまが結婚し、次男のフィイ兄さんが結婚したら次は俺とモモちゃんの番なのだ。

ならば行こうじゃないか・・・!デートへ!


「たいやきもひもひするにゃぁ?」

俺の隣で寝っ転がっていたふにゃがそう呟いた。いや・・・!そのデートは・・・本来のデートとは違うぞ、ふにゃっ!!

※ふにゃはわけあってデートを“一緒にたい焼きを食べること”だと思っています。

※詳しくは本編をご参照!


「ふ、ふにゃ、俺とモモちゃんが今から行くのは・・・」


「うむ、たい焼き屋さんに寄るのもいいな。今はいもあんたい焼きを期間限定で販売しているらしいんだ」

あぁ、モモちゃんも行く気になっちゃったぁ―――っ!!

でも、ちょっとおいしそうだし・・・


「ふにゃぁっ!ウイとモモちゃん、ラブラブするにゃぁ?」


「う、うん、そだね」

確かに、ラブラブはする。ふにゃもそこら辺は認識しているらしい。でもふにゃが以前デートに誘ったのは三つ子のお姉さんのひにゃさんだったりする。なお、このふたりは単なる仲の良い姉弟でありそう言う関係ではないので、ふにゃが果たしてラブラブの意味を正しく捉えているのかは・・・


「ふぅにゃぁ~ん・・・ゴロゴロゴロ・・・」

炬燵にまったり気分でにゃんこみたいに喉をゴロゴロ鳴らし始めてしまったふにゃに確認するのは・・・無理そう。まぁそれはそれでかわいいのでいいけれど。


「でも、デートって一体どこに行くの?モモちゃん」


「うむっ!ふにゃふにゃカフェだ!!」

え・・・ふにゃふにゃカフェ・・・?


―――キナ自治領


早速その翌日、俺とモモちゃんはデートに繰り出した。案の定軍服でそのまま行こうとしたモモちゃんをみんなの妹分ファラちゃんが必死に止めてくれた。そのおかげでまっしろもこもこひにゃいむパーカーに、ミリアさんの黒いメイドワンピース(※フリフリフリルエプロンなし)をコーデした結果何とか様になった。それにひにゃさんのような白い毛並みのわふたんお耳がついたフードをかぶっているのでなかなかかわいい。

因みに俺はにシャツ、黒いふにゃいむパーカー、ズボンである。因みに俺のパーカーは鬼人族でもかぶれるフードなので俺ももれなく被っている。

何だかふたりしてふにゃふにゃファッションになってしまった。これってペアルックになるのか・・・?でも、俺たちはふにゃふにゃを愛しているのだ問題ない!


「それで、ふにゃふにゃカフェって言うのは」


「うむ、ここだな」

ふにゃふにゃカフェはキナ自治領の神獣のゆりかごで暮らす神獣たちに親しみを持ってもらおうと神獣のゆりかごとおしゃれカフェがコラボしたイベントらしい。

そこは何だかファンシーなお店である。


「一度・・・来てみたかったのだ」


「そ、そうなんだ・・・でも、どうして俺・・・?」


「あの・・・その・・・」

いつも勇ましいモモちゃんがもじもじしていると・・・やはり年頃の女の子なので・・・かわいいと感じてしまう。


「カップルで来ると・・・ラブラブふにゃいむぐるみがもらえるのだ!!」

あぁ・・・そう言う特典があったわけね。


「その・・・すまん」


「いや、謝ることじゃないよ。それに婚約者なんだから、嘘は言っていないし・・・その、モモちゃんのふにゃふにゃ好きは・・・ふにゃふにゃ萌えの俺としても嬉しいよ」


「・・・っ!うむ・・・私もふにゃふにゃバージョンのウイを・・・今か今かとふわもふしたいと思って待っている」

そ・・・そうなの・・・?それは嬉しいけど、まるで獲物を見るような鋭い鷹のような目で見つめられても・・・!さっきまでの乙女モモちゃんどこいったぁ―――っっ!!


「では、いざ入るぞ!」


「お~」


早速ふにゃふにゃカフェに入れば、ふにゃふにゃカチューシャをしたかわいいウェイトレスさんが出迎えてくれて、俺たちのふにゃふにゃコーデにテンションマックスであった。

そして特典のふにゃいむぐるみをもらったモモちゃんは嬉しそうである。

でもそれ・・・どっちも黒いたれ耳のふにゃいむなんだけども。俺としてはちょっとツッコミたくなったが。一匹はお花がついた女の子、もう一匹は頭の上にミニハッとを被った男の子と言うことなのだろう。因みにサイズは両手に一匹乗るくらいの大きさ。


そして席に案内されれば・・・


「女の子同士が多いんだね」

カップルも何組かいるが、女の子同士の方が圧倒的に多いな・・・。


「・・・そうだな・・・でも、ふにゃいむぐるみがもらえたのだ」


「うん、そうだね」

カップルで来るのも悪くないと思った。


「さて、何を頼もうか?」


「えっと・・・ひにゃいむホワイトチョコケーキを頼む予定なのだ!」

おう、もう決めていた。


早速ウェイトレスさんを呼んで、ひにゃいむホワイトチョコケーキとふにゃいむクッキーセット、あとふにゃいむラテを2つ注文した。


ふにゃいむラテにはかわいらしいまったり顔のふにゃいむが描かれている。これははにゃいむっぽいな。

そしてクッキーはふにゃいむ型で、まったり顔・・・まったり顔多いな。かわいいからいいんだけどね。

さくっ


俺はラテに口を付けながらふにゃいむクッキーを食べていたのだが・・・


ひにゃいむ型のホワイトチョコケーキを前にしたモモちゃんが固まっている。


「どうしたの?モモちゃん。調子悪い?」


「うぅ・・・かわいくて・・・このひにゃいむにフォークを入れるなんて無理だっ!!」

何そのかわいいセオリー的なセリフ。そのセリフ自体はかわいいんだけども・・・顔がモロ軍人なコワモテなんすけど。


「じゃぁ、目をつむってて。俺があ~んするから」


「ふぇ・・・っ!?」

モモちゃんの「ふぇ・・・っ」て、初めて聞いたかも。


「ほら、俺がフォークでよそうから」


「あ・・・あぁっ!」

モモちゃんは勇ましく返事をすると目を閉じて口を開ける・・・。何だろう・・・頬が赤らんでいて・・・今日はモモちゃんの意外な一面をたくさん見られる日だな。


ひにゃいむホワイトチョコケーキは女子向けとあってそんなに大きくはないし、大食い女子のモモちゃんにあ~んしてあげたらぺろりと完食してくれた。


「どうだった?」


「むぅ・・・うまかったぞ」

ちょっと照れているモモちゃんもなかなかかわいい。

しかしながら、俺は今になって周りの声が聴こえてきた。


『ねぇねぇ、あのカップル!あ~んしてたよ!』

『わぁ、ラブラブ!』

『お揃いのふにゃふにゃコスだし!』

『羨ましぃ~!』


はぅあぁっ!!いつの間にかラブラブカップルみたいなことしてたぁ―――っっ!!

いや、これはデートだし、婚約者だから・・・いいのかな?


「ウイ、これは礼だ」

そう言ってモモちゃんが差し出してきたのは、俺が注文したふにゃいむクッキーであった。素直にパクリと食べれば・・・


周りからまたもや歓声が上がる。め、目立ってしまった。


「あの・・・残りのクッキー、包んでもらう?ちびたちのお土産にできそう」


「うむ・・・そうだな。確かお持ち帰り用もあったはずだ。多めに買って帰ろう」

モモちゃんがラテを口にしながら答える。


「そうだね」

こうして俺たちはふにゃいむクッキーをお土産に、途中いもあんたい焼きを買い食いしながら帰路についたのであった。


―――王都キナ公爵邸


「くっきー」

「ふにゃいむがた!」

思った通りお土産のふにゃいむクッキーに夢中になっているウチのちびっ子たち。モモちゃんももゆちゃんたちにあ~んしながら嬉しそうである。


「くっきーおいしいにゃぁ~」

「ふふふ、ふたりとも楽しんできたみたいね」

そして、ふにゃやひにゃさんたちに今日のデートのことを話していたら・・・


「ウイが・・・デート・・・お兄さまだってまだなのにぃっ!!」

ウチのブラコンお兄さまが見事に悔しがっていた。てか、あんたはアンリ姫姐さんと結婚してんだから、アンリ姫姐さんと行けって。

全くこのお兄さまは・・・そう溜息をつきつつも、変わらないお兄さまのブラコンがちょっとだけ微笑ましく思えた俺だった。





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