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第97話 ご褒美

 2030年7月26日


 マリンワームを倒した俺たちは一旦宿に戻ることにした。


 もう一度ミーシャの様子を見るためだ。ちなみにまだ昼前だ。



 もうミーシャもクラリスもお風呂から出ていてリラックスしており、エリーとカレンもお風呂に入ると言って2人でお風呂に入った。


 やっぱりビーチに行ったら体がべたつくからお風呂に入りたいよね。


「ミーシャ大丈夫だったか?」


「うん。大丈夫。本当にありがとう。マルスには2回も助けられたね。4年前と今回。もうどうお礼をしていいか分からないよ……」


「そんなに気にしなくていいよ。俺がやりたくてやったんだ。それに神聖魔法の事をずっと黙っていて悪かった」


 俺がそう言うとミーシャが俺の手を握って


「マルスの手温かくて気持ちよかった。それにとても安心できたよ。こんなに大事な魔法を私に使ってくれて嬉しかった」


 ミーシャは今度クラリスの方を見て


「クラリスもいつもありがとう。私もっと頑張って強くなって守られなくて済むように、マルスとクラリスとエリリンと一緒に並んで戦えるように頑張る!」


 クラリスは黙って頷くとミーシャの頭を寄せて頭を撫でる。


 うん。美女2人が肩を寄せ合う姿はずっと見ていられるな。



 エリーとカレンがお風呂から上がってきたので、俺もお風呂に入る事にした。


 俺がお風呂から上がると女性陣たちはすでに替えの制服に着替えていた。


 これからご飯を食べに行くから制服に着替えたのだ。



 リーガン公爵に外に出るときには必ず制服を着ろと言われているからね。


 どうやら宣伝するのも目的の1つらしい。


 俺も先ほどまで着ていたものではなく、全く同じの金の刺繍が入った替えの制服に着替えた。


 サンマリーナ侯爵がどうしても夜に宴を開くと言っているので、俺たちは昼を軽食で済ませた。


 俺はいつものマルス定食のようなものを食べた。


 せっかく海の街に来たんだからと思うかもしれないがどうせ夜にいっぱい食べることができるしね。



 夜まで時間があるからどうしようかと言われたが、俺はなんか色々気疲れしてしまったから部屋に戻ると言ったらみんなも一緒に部屋に戻ると言って結局部屋で過ごすことにした。


 俺はすぐにベッドに入り仮眠と取ろうとしたら女性陣がマッサージをしに来てくれた。


 前回はマッサージからプロレスに変わってしまったが、今回は大丈夫そうだ。



 俺はマッサージを受けながら、仰向けになると女性陣は驚きの表情を見せた。なぜなら仰向けでマッサージをするところなんて……


「カレン。少し話したいことがある。火精霊の剣(サラマンダーソード)を持ってきてくれないか?」


 俺がそう言うとカレンが火精霊の剣(サラマンダーソード)を持ってきてくれた。


「心配しないで見ていて欲しい。大丈夫だから」


 俺がそう言って火精霊の剣(サラマンダーソード)を少し鞘から出し俺の指を少し切り、指から血が流れる。


 他の3人は俺が何をするか分かったらしい。


 だがカレンは慌てて


「何しているの! 自傷行為なんてやめてよ!」


 かなり怒って言ってきたが、俺は少し小さな声で「ヒール」と唱えて自分の指の傷を治し、止血した。


 するとカレンは驚愕の顔をして


「ひ……ヒールって……マルスあなた!」


 語尾が大きくなって他の部屋にバレたら困ると思い、俺は口の前に人差し指を立ててシーの真似をした。


「俺は神聖魔法も使える。ちなみにハイヒールまで使えるから状態異常を治すキュアも使える。さっきミーシャの傷を治したのも俺だ」


「や、やっぱりミーシャすごい火傷していた……もんね……」


「すまない、黙っていて。ただカレンにだけ教えないというのは違うと思ったから今話した。ちなみにミーシャも知ったのはさっきだ」


 ミーシャがカレンに


「カレン……マルスの神聖魔法の事はお願いだから内緒ね。私のせいでみんなにバレちゃったら私……」


「当り前よ……バレてしまったらこの生活が終わってしまうわ」


「2人ともありがとう。しばらくは内緒で頼む。ただ良かった2人に言えて。少し罪悪感があったからな」


 俺はそう言ってうつぶせになるとまた女性陣のマッサージが始まった。


「マルスって体硬い? なんかさっきふくらはぎもカチカチだったけど肩や腕、背中も凄く硬いというか……」


 カレンが俺にそう言ってきた。


 あれ? 俺はストレッチよくしているから体は柔らかいと思うんだけど……


「体は柔らかいと思うんだけど……柔軟性はあると思うよ?」


「そう? なんか触る所全て硬くて……私とは違うのね……」


「それってもしかして筋肉じゃない?」


 クラリスが言うとエリーも


「マルス……とてもいい筋肉……柔らかくて硬い……気持ちいい」


 ツーフレーズだけ抜き取ると卑猥な言葉にしか聞こえない……それを聞いたカレンが


「マルスってもしかして鍛えてたりするの?」


 と聞いてきたので、俺は朝のランニングと筋トレメニューを言うと


「本当に魔法使いではないわよね……ちょっと筋肉触っていい?」


「ああ、あまり刺激はしないでくれ……」


 流石にこの状況で刺激を受けるとキカン棒から熱いパトスが……10歳でも俺は成長が早い……すると女性陣が思い思いに筋肉を触ってくる。


「かたーい」とか「すごーい」とか……


「も、もういいかな? このままじゃ寝られなそうだから……」


 俺がそう言うと女性陣はまたマッサージを始めてくれて、あまりもの柔らかさに、気持ちよさに寝てしまった。


 気づくともう夕方だった。


 そしていつの間にか一番大きいベッドに移動させられていて女性陣みんなも同じベッドで寝ていた。


 さすがに5人で寝るには小さいがカレンとミーシャが小さい分 なんとか1つのベッドに収まっていた。


 だがやはり密度は高い訳で俺の手は誰かの体の下に埋もれているわけでして……



 これ動かすと変態って言って殴られるパターンだよな……寝返りも打てない状況だしどうすればいいのだろうか……


 俺は仕方なくまた寝ようとすると俺の隣が起きたようで周りを見渡しているようだ。


 そしてなんとなく俺の顔を覗き込んでいるのが分かる。


 すると俺の唇に何か触れた。間違いなく唇だ。


 俺は目を開けると目の前にはミーシャがいた。


 ミーシャは驚いたような顔をするが、一言


「私の初めてをあげたよ。お礼にならないかもしれないけど」


 ミーシャが小声で俺に囁いた。……いや可愛い……俺はなんて言うのが正解か分からなかったが


「ありがとう」


 とだけ言った。


 その言葉を聞いたミーシャが起き上がると他の女性陣も起きた。


 え? もしかしたら最初からみんな起きてた? 


「さて、みんなで宴会会場にでも行きますか」


 クラリスがそう言うと俺の手を引いてサンマリーナ侯爵の用意した宴会会場へ向かった。



 会場にはサンマリーナ侯爵の他に、ギルドマスター含めたギルド職員、 宿屋やこの街の小売業の人たちが居た。



 そしてやはり15歳前後の女性たちが20人ほどいた。


 俺は事前にクラリスたちに言い聞かせていた。


 俺たちはリスター帝国学校の代表として来ている。


 代表として来ているから、俺は節度ある態度を示す必要がある。


 ただ依頼人の顔も立てないといけないが、そこはしっかりやる。


 だからお前たちも品のない態度や言動は絶対にするなと。



 サンマリーナ侯爵の乾杯の音頭で宴が始まると、俺は4人を連れて真っ先にサンマリーナ侯爵に挨拶に行った。


 カレンは侯爵から来るから待ってればいいと言っていたが、流石にそんなことをさせる訳にはいかない。


「サンマリーナ侯爵。宴に呼んで頂きありがとうございます」


「ああ。諸君ら【黎明】のおかげで今年もなんとか集客できそうだ。あとどのくらいでワームを全滅させられる?」


「もともと何匹いたか分からないので何とも言えませんが……明後日までは警戒をしておこうかと思います。僕たちも7月いっぱいまではここに留まるつもりですので」


「7月いっぱい? 8月30日までに帰ればいいのだから8月中旬から下旬まではいるのではないのか?」


「いいえ。クエストが無事に完了して少し羽を伸ばしたらリスター帝国学校に戻りながら他のクエストも受けようと思います。僕たち【黎明】にはまだ指名クエストが残っておりますのでなるべく他の指名クエストをこなしておきたいのです。早く冒険者ランクとパーティランクも上げたいですし」


 俺の言葉にサンマリーナ侯爵と【黎明】の女性メンバーも驚いていた。


 ずっとここで8月のギリギリまで遊ぶつもりだったのかもしれない。


「そうか……あくまでもクエストだから仕方ないか……今日は綺麗どころも用意した。まぁ余計なお世話だったかもしれないが。ただ彼女たちに罪はない。私が勝手に呼んでしまったからな。彼女たちの中には貴族の出自もいるから、一言くらいは声をかけてやってほしい……いいかな?」


 サンマリーナ侯爵がそう言ってエリーとカレンの方を見る。


 エリーとカレンが答える前に俺が


「サンマリーナ侯爵の顔をつぶすわけにはいきません。ただし、私の婚約者にも面子と言うものがありますので軽くこちらから自己紹介をしてからお話をさせて頂きます」


 と言った。さすがに相手の女性陣もエリーとカレンの出自を聞いて行動を起こすはずが無いと思ったのだ。


 俺の予想は見事に外れた……



 俺は4人を連れてサンマリーナ侯爵が用意した女性たちの元に行き挨拶をした。


「お初にお目にかかります。僕はリスター帝国学校の1年Sクラスのマルスです。素敵な皆様にお目にかかれて光栄です」


 社交辞令を言うと女性たちが少し色めきだった。


 続けて俺が


「私の他に紹介したいメンバーが居りますので紹介させて頂きます」


 俺がそう言うとまずクラリスが


「初めまして。リスター帝国学校Sクラス序列2位クラリス・ランパードでございます。ここにいるマルスの婚約者であり、正妻の予定でございます」


 クラリスがそう言うと女性たちが予想外のことを言ってきたのだ。


「やっぱりそうだと思ったわ」

「さすがにあなたから男は奪える気がしないわ」

「どうやったらそんなに綺麗になれるの?」


 等々最初からクラリスに白旗を上げたのだ。


 考えてみれば、エリー、カレン、ミーシャもクラリスが居なければ間違いなく、学校で1番を狙えるほどの容姿である。


 しかしその3人ですらクラリスの美貌にはお手上げなのだ。



 そして【黎明】の女性メンバーの紹介が終わると20人の女性たちがサンマリーナ侯爵の方に詰め寄った。


 おおむねフレスバルド、セレアンスと対立出来るか! とか恥をかかせるな! とかだった。


 宴会ももう終わりと言う頃には普通に【黎明】女子メンバーと20人の女性たちが仲良く話をしていてなんとかこのイベントを乗り切った……


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― 新着の感想 ―
[気になる点] さすがに相手の女性陣もエリーとカレンの出自を 聞いて行動を起こすはずが無いと思ったのだ。 俺の予想は見事に外れた・・・ 何も行動を起こしてないように見えるけど? 会話すると行動を起こ…
[良い点] サンマリーナ侯爵、なんか憎めないねw
[一言] 「2人ともありがとう。しばらくは内緒で頼む。」 もう少ししたら、公開する予定なのか?
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