表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Web版】転生したら才能があった件 ~異世界行っても努力する~【書籍・コミック好評発売中!】  作者: けん@転生したら才能があった件書籍発売中
23章 青年期 ~リスター帝国学校 3年生編~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

529/532

第527話 ラースの力とオリハルコン

 扉の向こうでは、アイク、スザク、ビャッコ、ビラキシル侯爵がラースを囲むように対峙していた。さらにその周囲には、リーガン、そしてフレスバルドの両騎士団の姿も見える。


 俺が急ぎ彼らのもとへ駆け寄ると、会話の断片が耳に届いてきた。


「……ただ、トイレに行きたかっただけなんだがな」


 ラースの声は冷静で落ち着いていた。いや、むしろ静かでありながら、どこか深みと重みのある響きだった。

 ミリオルド公爵のように操られた者特有の虚ろさはなく、自我を確かに宿した声音だ。


「だったら妙な動きはするな! コソコソと何を企んでいた!」


 アイクが一歩踏み出し、激しく詰め寄る。


「一介の執事が、何を企むというのですか……?」


 ラースは自らを執事と称しているが、ただの従者とは思えない只ならぬ雰囲気を放っていた。


 俺が彼らの輪に加わった瞬間、ラースの視線が鋭くこちらを射抜く。


「君は……確か、ヨハンに敗れた少年……マルスだったか」


「はい。マルスです。よろしければ、お名前をお聞かせ願えますか?」


 俺の問いかけに、一瞬だけ言葉をためらったラースだったが、仮面の奥の眼差しはなお鋭く、やがてあっさりと名を口にした。


「……ラース、だ」


 俺の質問に答えると、彼は即座に問い返してきた。


「聞けば、君はエリーという娘と婚約しているそうだな。実に見目麗しい娘と聞いている。どこにいるのか、教えてはもらえないか?」


 ――やはり、ヨハンの言っていた通りだ。こいつの狙いはエリー。


「はい。エリーとは婚約し、親しくしております。しかし、彼女の所在を明かすことはできません」


「……なるほど。じゃあ質問を変えさせてもらう。君は特異体質かなのかね?」


「……魔眼が効かないということを仰りたいのですか?」


「左様。ここですべての魔眼が封じられるということは知っているが、闘技場で君を鑑定できなかったらね」


 こいつ堂々と鑑定していたことをばらしやがった。

 それだけではない。この天界石の性質まで知っていた上で、ここに来たというのか!?


 その胆力はやはり自信からきているのか……?

 だが、それを逆手にとれる。

 俺は、あくまでもとぼけることにした。


「ここでは魔眼が使えないのですか? ……少し試してみてもよろしいでしょうか?」


 ラースは、薄く笑んだように見えた。


「構わない。どうせ、何も視えはしないだろう」


 ――よし、食いついた。


「ありがとうございます。では、早速……試させていただきます」



【名前】ラース

【称号】剣王・呪術王・火王・暗黒王

【身分】人族・平民

【状態】呪い

【年齢】34

【レベル】92

【HP】548/548

【MP】1758/1854

【筋力】188

【敏捷】188

【魔力】212

【器用】201

【耐久】224

【運】1


【固有能力】転生術(Lv5/G)

【特殊能力】魔眼(LvMaX)

【特殊能力】呪術(Lv8/B)

【特殊能力】剣術(Lv10/A)

【特殊能力】槍術(Lv7/B)

【特殊能力】斧術(Lv6/C)

【特殊能力】弓術(Lv8/B)

【特殊能力】体術(Lv5/A)

【特殊能力】火魔法(Lv10/A)

【特殊能力】水魔法(Lv8/B)

【特殊能力】土魔法(Lv8/B)

【特殊能力】風魔法(Lv7/C)

【特殊能力】暗黒魔法(Lv10/A)


【装備】偽装の腕輪



 予想はしていたが――いや、それでも、あまりに規格外だ。

 表示された特殊能力の数は、常軌を逸していた。


 亜神様が言っていた。「転生を繰り返すごとに、転生術のレベルが上がり、引き継げるステータスや能力がどんどん増えていく」と。

 その通りの存在が、今ここに立っている。


 ステータスも、まさしくバケモノ級。

 この化け物が、未来視まで備えていたとしたら……正面からぶつかれば、どうやっても勝ち目はない。

 ヨハンが何度挑んでも勝てない――それも、今ならよく分かる。


 ……だが、見えた。

 敵の全貌が。


 これだけでも、こちらにとっては大きな一歩だ。

 相手を知りさえすれば、手は打てる。

 そう思った時だった――


「――貴様、今……何をした?」


 ラースの声が低く響く。

 その目が、鋭く俺を射抜いていた。


「鑑定をしていいとおっしゃいましたので。視えませんでしたが、試したまでです」


 天界石が散りばめられた場所では、視れない設定だからな。

 ……なのに、ラースの目は剥がれない。むしろ、ますます鋭さを増していく。


「普通の鑑定ではない……今のは、心の奥底を覗かれるような感覚だった」


 ……やらかしたか?


「僕にそんな大層な力はありませんよ」


 俺は、平静を装って肩をすくめてみせる。

 内心は――汗が噴き出しそうだったが。


 ラースはしばらく俺を凝視していたが、やがてふっと視線を逸らす。


「……そうか。まあいい。どうやらトイレは見つからなかったのでな。戻らせてもらうよ」


 そう言い残し、ラースは仮面の下で笑みを浮かべたような気配を残しながら、再びダンスホールの方へと歩き出す。

 大胆にも敵意むき出しの俺たちに対し、背を見せるラースが扉の向こうに行くのを確認すると、アイクが俺の肩に手を置いて訊ねてきた。


「マルス、今の……鑑定できたのか?」


 他の面々も、緊張を引きずったまま、俺の答えを待っている。


「……はい。視えました。とんでもない能力の数でした。おそらく、常人の枠にない存在です。絶対に一人――いや、二人でも行動は避けた方がいい。恐らく戦闘経験も桁違いかと……」


 俺がステータスを共有すると、皆の表情が強張った。


「すみません、僕はもう戻ります……ダンスホールには、クラリスがいますので」


 ラースが最も警戒している相手。

 それが、クラリス。


 俺は足早にその場を後にする。

 心臓の鼓動が、早まっていた。


 廊下の静寂を抜けると、ダンスフロアに灯されたシャンデリアの光が目に飛び込んできた。

 視線を下に向けると、皆がダンスを楽しんでいる。


 その中心――


 すべての視線を集めていたのはクラリスだった。


 中央で舞う彼女の姿は、天使そのものだった。

 天から降る光が銀の髪を照らし、風に揺れるように優雅に広がる。

 ステップを踏むたび、制服のスカートがひるがえり、透き通るような白い太ももが一瞬だけ姿を見せる。


 誰もが、息を呑んでいた。

 男たちは圧倒され、言葉を失い――

 女たちですら、嫉妬を超えて魅了されていた。


「やっぱり美人にごてごてした装飾なんていらないな」

「ですね。シンプルなネックレスとイヤリングが、逆に映える」

「確かに。でも一番目を引くアクセサリーはそれじゃない」


 彼らの視線が、一点に集中する。

 クラリスの、しなやかに舞う白い指先――

 淡い光をまとった金の輝きが、シャンデリアの灯りにきらりと瞬く。


 ……ん? 待てよ……?

 脳裏に、先ほどの記憶がよぎる。

 さっき、ヨハンが妙に食い入るように見ていたもの。

 まさか……そういうことだったのか――!?


 そういえば――この世界には、あの風習が存在しない。

 現に、この場に招かれたカップルたちを見渡しても、誰一人として、互いの手に『夫婦』の証を嵌めてはいない。


 そうか、ヨハンはこれに気づいたのか……。

 俺たちの左手薬指に燦然と輝く、オリハルコンの指輪に――

新作投降してます~

6/21まで毎日更新

PVは付くのですがブクマやリアクションがつかないので、見てくれる人は是非にm(__)m



魔力最低の落ちこぼれ魔法師 ~【ストック】してれば最強魔法師候補。【ストック】なければ並み以下です~

努力、愛、成長――少年と少女が織りなす成長譚


https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/2732779/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
bxmc4v912wvg6s41hxdbdiqjhk8c_k6g_1e9_22m_1m659.jpg dhdiadh6y42697w151s27mq2vpz_14nr_p4_110_lkan.jpg c5j6h10c5uog91hhkty1av6pe0z7_19c6_1d0_1xo_gl2r.jpg asc9b0i8bb8hgzuguaa1w3577f_17n4_28e_35p_y2kp.jpg c5j6h10c5uog91hhkty1av6pe0z7_19c6_1d0_1xo_gl2r.jpg c5j6h10c5uog91hhkty1av6pe0z7_19c6_1d0_1xo_gl2r.jpg
― 新着の感想 ―
ラースは暗黒神ではないのか
あぁ…それでバレてしまったのですね、、
指輪で転生者とバレた!!ヤバイですね…(汗)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ