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3章 少年期 ~帰還編~

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第49話 アルメリアの冒険者たち

少し長くなってしまいました。

 この一か月俺はひたすらアパートと家を建てていた。


 迷宮の目の前には大きな家を4棟。これは常時ここにいる蒼の牙と赤き翼の専用のパーティハウスと残り2棟は今後ジークが雇うパーティの為のものだ。



 アパートは100部屋ほどの大きなものを建てた。


 あと2棟作れるスペースも確保しておいた。


 後に騎士団を3つ作りたいとジークが言っていたからだ。



 また家とアパートで迷宮を囲むように作った。


 もしも迷宮飽和(ラビリンス)が起きたとしても、魔物達がその一画から出られないようにするためだ。



 街の外部にも城壁を作り、だいぶ迷宮都市らしくなった。


 毎日3回はMPを枯渇させていたので最大MPが爆上がりした。



【名前】マルス・ブライアント

【称号】風王/ゴブリン虐殺者

【身分】人族・ブライアント子爵家次男

【状態】良好

【年齢】6歳

【レベル】14

【HP】43/43

【MP】6152/6153

【筋力】36

【敏捷】40

【魔力】49

【器用】39

【耐久】37

【運】30

【固有能力】天賦(LvMAX)

【固有能力】天眼(Lv8)

【固有能力】雷魔法(Lv0/S)

【特殊能力】剣術(Lv7/B)

【特殊能力】火魔法(Lv2/F)

【特殊能力】水魔法(Lv1/G)

【特殊能力】土魔法(Lv2/F)

【特殊能力】風魔法(Lv8/A)

【特殊能力】神聖魔法(Lv4/B)



 土魔法がレベル2になり、土木作業もだいぶ効率よくなった。



 クラリスもイルグシアの街にだいぶ慣れ親しみ、グランザムの時のように聖女様と呼ばれるわけでもなく、クラリスとして認識されていた。


 まだ四大魔法は使えるようにはなっていなかった。


 アイクはこの一か月間、迷宮に潜るとき以外はずっと座学に励んでいた。



 ジークとマリアは蒼の牙や赤き翼と一緒に湧き部屋に籠る事が多く、残されたリーナはというと俺やクラリスと一緒に居ることが多かった。


 特にクラリスのことを本当のお姉ちゃんと思っているのかと錯覚するくらい懐いていた。



 そして今から俺、アイク、クラリスでアルメリア迷宮に潜るためにアルメリアに向かう。


 イルグシアとアルメリアはとても近い。


 毎日アルメリアからイルグシアに戻ってもいいのだが、それでも迷宮探索の効率が落ちるために、アルメリアの宿に3人で泊ることになった。


 俺たちは同じ部屋を3か月間借り上げて週に1回イルグシアに帰ると決めた。



 出発前にジークとマリアに「4層以降は行くな」と言われた。


 2層で脅威度C、3層からはCとBが出る迷宮だ。


 俺らも間違っても4層なんか行くわけがないと誓った。


 またアルメリアの冒険者がかなりイルグシアに流れてきているから、なるべく多くアルメリアの魔物を間引いておいてくれとも言われた。


 実はカーメル辺境伯に相談されていたらしい。



 アルメリアに着いた俺たちはさっそく宿に荷物を降ろして、明日から迷宮に潜るために買い物をした。


 なんとすぐに偽装の腕輪が見つかった。俺が装備している物と全く同じデザインだ。


 俺たちは念のため在庫分全部買った。1個銀貨1枚で合計5個だ。


 道具屋ではポーションとマジックポーションを多めに買い、自分の武器と防具も探したが、いいものが見つからなかったので諦めた。


 また明日になって迷宮の前で迷宮に潜ることを拒まれては面倒だったので、冒険者ギルドに寄ると ちょうど他の冒険者たちも迷宮から帰ってきた時間だったらしく、かなりの人数がいた。


 そして運悪く今までなかったテンプレ展開が待っていた。


 冒険者たちは俺たちの装備に難癖をつけ始めたのだ。


「僕たち、装備はどこでひったくったんだい? 悪いことはしちゃだめだよ? 特別にお兄さんが持ち主に返してあげるからこっちに寄越しな」


 D級冒険者クラスのやつが俺に向かってそう言ってきた。


 その目は俺のミスリル銀の剣を見ている。


 他の冒険者たちもアイクやクラリスの装備を見ていた。


 こんなことが起きるのであれば、蒼の牙か赤き翼のメンバーにも来てもらえばよかった。


 彼らがいればこんな事起きなかったのにと思っていると、アイクが


「この装備は自分たちで迷宮の宝箱から取ってきたものです。変な言いがかりはやめて頂きたい」


「はぁ!? ガキが何言ってやがる。何歳から冒険者になれるのか知っているのか?」


「12歳からですよね。でも僕たちは3人とも冒険者です。僕と弟はここのギルドマスターに冒険者登録をしてもらいました。もしも疑うのであればラルフさんに確認してもらっても構いません」


「ふざけるな! 嘘ばっかりつきやがって! せっかく穏便に済ませてやってやろうと思っていたのに人の好意を踏みにじりやがって! おいお前らこの盗人のガキ共から装備品を()()!」


 そういうとD級冒険者の仲間であろう奴ら5人が俺たちを囲んだ。

 その時2階からギルドマスターのラルフが降りてきた。


「何をしている!」


 ラルフが俺たちにそう言うと、俺を囲んでいた冒険者が


「このガキ共の装備見てください! 絶対に盗品です! 俺らが取り返すのでギルマスは見ていてください」


 というと、アイクがラルフに


「お久しぶりです。私は3年前にラルフさんに冒険者登録して頂いた。アイク・ブライアントです。父のジーク・ブライアントよりこの迷宮の魔物の間引きを頼まれて参りました」


「おぉ。久しぶりだな。前よりも随分とたくましくなったな。もうジークなんて呼び捨ては出来ないからな。ブライアント子爵は元気かい?」


 ラルフは俺たちの身分をしっかりと皆に証明するために、わざとブライアント子爵と呼んだ。


「はい。父も母もおかげさまで元気にしております」


「うむ。カーメル辺境伯からブライアント卿に話を通したのは聞いておる。まさか君たちが来るとは思わなかったが、今回もよろしく頼む」


 アイクとラルフの会話を聞いていた俺たちに絡んできた冒険者が


「ギルマス、このガキどもが冒険者なんて本当なのですか? こんな装備だけのボンボンのガキたちが冒険者を名乗るのは俺たちの価値を下げちまう! 納得いかねぇ!」


「と言っているが、アイク君どうするかね?」


 ラルフがアイクにそう言うとアイクが


「それでは受けて立ちましょう。ただしハンデを与えます。こちらはマルス一人で、そちらは納得いかないという冒険者全員でどうでしょうか? ルールは土下座して「まいった。勘弁してください」と言うまでにしましょうか。もしも我々が負けたら装備しているすべてを差し上げます」


 アイクが凄い事を言ってきた。まぁ相手側にはC級冒険者は誰もいないから余裕だろうけど。


「アイク君、さすがにそれは無理だろう? 君も冷静になりなさい」


 ラルフがアイクに向かってそう言った。まぁ普通そう思うよね。


「いえ、これくらいのハンデが無いと我々は父上に叱られてしまいます。弱い者いじめはするなと口酸っぱく言われておりますので。ハンデが足りないというのであればもっと与えてもいいですが。例えばここにいる冒険者全員と戦うとか」


 アイクがさらに冒険者たちを煽る。


 ここにいる冒険者全員をほぼ一瞬で敵に回した。


「わかった。どうなっても知らんぞ。では俺が仲介人を務めるが、お互い殺すのはダメだ!」


「おう! このマルスというガキをいたぶった奴だけが装備を()()()という事にしよう」


 本性丸出しになっていた。結局俺は24人の冒険者と戦う事になった。

 アイクが煽ったことでその場にいたほぼ全員を相手にすることになったのである。

 場所は街の外で戦う事にした。


 街の外に向かう最中でアイクが俺に言ってきた。


「俺が言った狙いが分かるか?」


「1つは明日からの迷宮で不慮の事態が起こった時の為に、もう1つは見極めだと思っているのですが……合っていますか?」


 俺とアイクの会話にクラリスが入ってきて


「見極めって何?」


 クラリスの質問にアイクがこう答える。


「蒼の牙、赤き翼のようにいいパーティがいればいいなと思って。まぁ絡んできた時点で点数は低いけど有望であれば少しは目を瞑れるかなって」


「アイク兄、質問があります。もし僕が勝ったら何をしてもらうのですか?」


 それを聞くとアイクは笑った。


 何かとんでもないことを考えているらしい。


「もう1つ。先ほどの煽りはアイク兄の言葉ですか? 急に人が変わったようになってちょっと怖かったです」


「ははは。さすがマルスだ。先ほどの会話は父上に言われていたのだ。絡まれることがあったらこうやってあしらえと。多少荒っぽいけどこれが1番だって言われてね」


 アイクが急に性格が悪くなったわけではなかったので安心した。



 街の外に出ると俺はあるパフォーマンスをした。


 戦う場を用意したのだ。


 具体的に何をしたかというと、戦う場所の草をウィンドカッターで狩り、凸凹した地面をウィンドと土魔法で整地し、誰も逃げられないように、50m四方を土で囲んだ。


 さすがにここまでやると俺のMPも十分の一くらいになってしまったが、特に問題はない。


 ただ魔法は全て詠唱をして発現させた。


 ラルフもまさか俺がここまで魔力があるとは思っていなかったであろう。固まっている。


 俺と戦う冒険者たちは俺の異常な魔力に完全にビビっていたので俺もアイクに倣って煽る。


「皆さん。安心してください。アイク兄の言ったようにブライアント家は弱い者いじめはしないです。ですので僕は皆さんに魔法を使う事もありませんし、武器を使う事もありません。ただし土下座して「まいった。勘弁してください」というまでは攻撃は続けるので覚悟はしてくださいね。ではラルフさん開始の合図をお願いします」


 ラルフが頷くと「はじめ!」と言った。


 前衛は狂ったように突撃をしてきて、後衛職はありったけの火力を俺に注ぎ込んだ。


 恐らくやらなきゃやられると思って必死なのだろう。


 俺は最初に絡んできた奴以外全員戦闘不能にした。懐に潜り顎を掌底で揺らして脳震盪を起こしたのだ。



 後は最初に絡んできた奴だけなのだが、俺はそいつには一切攻撃をしない。


 その間に気絶した冒険者たちをラルフが安全なところまで運んでいた。


 最初に絡んできた奴は目を真っ赤にし、叫びながら俺に剣を振ってくるが俺はそれを躱しながらラルフに話しかける。


「ラルフさん、その気絶した人たちはまだ土下座して「まいった。勘弁してください」と言ってないですが、どうなりますか?」


「決まっている。マルス君の勝ちだ。もしもゴネたらそれ相応の処分を下す」


「分かりました。でしたら気絶した人たちをみんな起こしてください」


 俺がそう言うと、アイク、クラリス、ラルフで気絶した冒険者を起こす。


 起きた冒険者たちは何が起きたのかは分かっていない。ただ自分たちが小さい少年に負けたことだけは分かっている。



 起きた冒険者の所へ友好的にアイクとクラリスが話しかけているようだ。


 アイクやクラリスの片手には先ほど買ったポーションがある。


 恐らくアイクが先ほどは言い過ぎてごめんなさいとか言っているのであろう……


 そして全員こちらの戦闘を見始めた。



 俺だけ貧乏くじを引いたなぁと思い、目の前のバーサーカーに目を向けた。


 ずっと空振りしているのでかなり疲れたのだろう。息遣いが荒い。


 俺はバーサーカーの剣を躱すと剣の腹を触ってウィンドカッターを無詠唱で放った。


 すると周囲の人間たちからは俺が素手で剣を折ったように見える。


 まさか誰も無詠唱で魔法を発現できるとは思っていないだろう。



 バーサーカーも剣を素手で折られたと思っていてその場に崩れた。


 完全に心を折ったのだ。


 そして土下座をしようとしているバーサーカーを立たせてラルフとアイク、クラリスの所へ連れて行った。するとアイクが俺を労う。


「ご苦労様。よくやってくれた」


 そしてラルフも


「申し訳ないな。こんなことになって色々気まで使ってもらって」


 頭を下げて謝ってきた。


 何故アイクがあんなに煽ったのかと考えると、今後も同じようなことが起こる可能性があると思ったからで、ある程度徹底的にやる必要があった。


 そうすれば、この場にいない冒険者が同じことを思ったとしても周囲が止めてくれる可能性が高くなるしね。


 まぁやり過ぎたなとは思ったけど。


 あとはアイクの仕事で、ラルフさんには悪いけどイルグシアへの勧誘とかするのだろう。


 子供がこれだけ強くなれるイルグシアで冒険者をしないか? とか……


 この装備はイルグシア迷宮で出たんだよとか……


 今日の夜は戦った冒険者達と親睦会という事でご飯を食べることになった。


ただでさえ冒険者が減っているアルメリアから引き抜くなんて・・・


少しでも面白い、続きが気になると思う方は

★★★★★とブクマの方を頂けたら私のモチベーションにも

なりますので是非よろしくお願いしますm(__)m

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― 新着の感想 ―
[気になる点] この話だけは変えた方が良いと思う。 貴族ですよ?冒険者ギルド内での強盗、暴行未遂ですよ?6歳に絡んでるんですよ?え?処罰無しですか?などなど色々ヤバい。 殺さない殺せないの甘々世界観…
[一言] アルメリアギルドの対応が不自然なのは確かなんですけど、主人公たちイルグシア勢からしたらどうでもいい部分だから省かれてるのかもしれませんね。 自分たちの領地とダンジョンをすでに手に入れてさらな…
[気になる点] この国の貴族に価値はどうなっているのだろうか? 普通なら不敬罪だと思うのだが・・・
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