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【Web版】転生したら才能があった件 ~異世界行っても努力する~【書籍・コミック好評発売中!】  作者: けん@転生したら才能があった件書籍発売中
22章 青年期 ~リスター帝国学校 3年生 バルクス王国編~

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第474話 王謁

 部屋に入ると、上半身裸の男の鋭い眼光が俺を捉える。


「マルス・ブライアントでございます! 此度はバルクス王にお会いできて光栄の極みでございます!」


 頭を垂れ、右手を胸元に添えてバルクス王に敬意を示す。女性陣も声には出さないが、それぞれカーテシーでバルクス王に敬意を表す。


 っておい! ゲイナード! 何見惚れているんだお前は!?


「ジオルグとミックからお前のことは聞いている。武神祭も見事であった」


 そんなゲイナードを気にも留めず、声をかけてくるバルクス王。そういえば武神祭に来ていたと言っていたな。


 返事をしようとすると、バルクス王は近づいてきて手を差しだしてくる。ん? どういう意味だ?


 困惑する俺に、バルクス王が低い声で一言。


「余の手を握ってみよ」


 握手しろということか。恐る恐る差し出された手を握ると、


「……お前。剣よりも女の手や乳を揉んでばかりだろう?」


 凄むバルクス王。


「いえ、そのようなことは……」


 確かに最近の俺は前線で戦うというよりかは、後ろでクラリスと抱き合っている方が多いかもしれない。他の女性陣のMPが枯渇すれば、その女性と密着する。


 だが誓って言えることがある。揉んだことは生まれて一度もない。いや、確かにクラリスのを揉んだことはあるかもしれないが、あれはノーカン。そういう意味ではないからな。


「うむ。まぁ良い。この世は力。力さえあれば何をしても許される。女も金も自由だ」


 うん。俺はこの人嫌いだ。ってかこの世界の考え方が俺には合わない。


 なぜ女性とお金を同列に扱う? この手の話を聞くたびに虫唾がはしる。


 俺が領主になったら、住民にこの意識だけは変えてもらわないとな。


「だがな。それは本当に力を持った者だけ。惚けて鍛錬を怠る者にその資格はない。マルス、お前を試させてもらう。ランキングバトルはもう済ませたか?」


 バルクス王のいうランキングバトルというのは、A級冒険者同士で戦う試合で、1年に1回、自分より順位の高い者に挑戦できる戦い。以前リュートが俺にけしかけたやつだ。


 下の者が勝てば、順位が入れ変わる。ちなみに挑戦できる相手は自分より+20位まで。93位の俺は73位まで挑戦できることとなる。


「いえ、まだですが……」


「では余が専属に雇っている77位とランキングバトルをしろ。ミックとジオルグが傑物と称する人物の力量を知りたい。それにマルスはクロムよりも強いのだろう? 力を示してみろ。勝てばとっておきの褒美を取らせる」


 俺の意志は関係なく、話が進む。まぁ王や12公爵相手に自分の意見なんて通るわけがないだろうからな。


「ジオルグ! スキャルを地下へ連れてこい!」


 バルクス王の命を受けたジオルグが頭を下げ、退出する。


「マルス、ついてこい」


 ジオルグが退出すると、バルクス王も俺たちの脇を通り抜け、部屋を出ようとする。そのバルクス王にクラリスが再度カーテシーを行い、挨拶をする。


「お久しぶりでございます。バルクス王」


 え? 久しぶり? クラリスってバルクス王と面識あったのか?


「久しいな、クラリス。あの時の言葉を今日試させてもらう。余が思うような男でなければクラリス。余の妃となれ」


 は!? 何を言うかと思えばこのおっさん。クラリスに求婚だと!?


「畏まりました。ですが私には確信がございます。バルクス王もきっと納得してくださるはずです」


 おい! なんでOKしちゃうんだよ!?


 クラリスの返事を聞いたバルクス王が、にやりと笑みを浮かべてから部屋を退出する。それに続く俺たち。


 ジオルグに地下に来いといっていたから地下へ向かうのだろう。その間にクラリスの手を握り、後方に下がるとバルクス王に聞こえぬようクラリスに問う。


「バルクス王と面識があったのか?」


「ええ、マルスが武神祭で活躍しているときに、私とお義兄さんが貴賓室でどんな目にあったかもう一度聞きたい?」


 そういえばそうだった。あの時クラリスは色々な縁談を持ち掛けられたと言っていたが、まさかバルクス王にまで声をかけられていたとは。


「でもクラリス。もう自分を賭けの対象となるようなことはしないでくれ」


「そうね……軽率だったかもしれないわね。ごめんなさい」


 分かってくれたようで良かった。



 地下に着き、先頭を歩くバルクス王が立ち止まり、振り返ると、眉間に皺を寄せる。


「貴様、噂に違わぬ女好きだな。負けたら貴様の一物はないと思え」


 やばっ! 言われたばかりだったのに、クラリスと手をつないだまま……しかも肩と肩が触れるくらいの距離。


 慌てて手を離すと、それを見届けたバルクス王が扉を開く。


 その部屋は岩盤をくりぬいた部屋のようで、部屋自体はかなり広く、強度はバッチリそうだ。これなら魔法を使っても大丈夫だな。


 そして部屋の奥には1人の小さな男が佇んでいた。


「スキャル! こいつがマルスだ! お前が勝てば、セレスティアとのことを考えてやっても良いぞ!」


 その言葉に目を丸くして反応するスキャル。


「本当ですか!? セレスさまを自由に!? ミックさんが褒めちぎるマルスというのはお前か……相手と場所が悪かったな。お前を倒して俺は王族に名を連ねる!」


 セレスティアというのはバルクス王の娘か?


「はい。僕も理由あって負けられません! 手加減はできないのでお許しを!」


 負けたらクラリスが、奪われてしまう。絶対にそれだけは阻止しなければ。


 不敵な笑みを浮かべ、小さい短剣を取り出すスキャル。


 どうやらこいつは俺が気づいていないと思っているらしい。


 この部屋に張り巡らされた糸の存在に。


書籍版双葉社様より発売しております!

是非手に取ってください!

web版とかなり変わっているので、楽しめると思います!


挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] クラリスさんも、モテモテ!てか、王様まで…。さすがサキュバスの上位互換。オート魅了の持ち主。 マルスさんw端から見たら女好き!でも、実際は節操有るし、婚約者達限定だし!でも、イチャイチャす…
[一言] バルクス王の嫌な感じは素なのか演技なのか…素ならばマルスさんお灸を据えてやって下さい!
[一言] 出てきたばかりだけどバルクス王嫌い… やっちゃえマルス! スキャルもセレスさんと結婚より王族と結婚できるのが嬉しそうなタイプみたいやし
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