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20章 青年期 ~リスター帝国学校 3年生 魔族編~

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第377話 ビートル伯爵邸にて

「「「マルス!」」」


 ポンゴを縛り終えるとすぐに【黎明】女性陣が駆け寄ってくれて、ご褒美のキスを頬にしてくれる。


 みんなからお祝いの言葉をかけられていると、ブラッドとコディもやってきて


「三巨頭の1人、ポンゴを倒すなんて普通じゃ考えられないけど、不思議とマルスが負ける姿の方が思い浮かばなかったな。やっぱりマルスは凄いな。それに姫を助けてくれてありがとう。どうせ姫はお礼を言わないはずだしな」


 コディの労いと感謝の言葉に


「今回は力の差を見せつけようと思ったんだ。ポンゴは万能だけど魔法使いよりのステータスだったから、ポンゴの得意分野で勝負しようと思ったんだがどうだった?」


 俺が答えると、ブラッドが豪快に笑い、俺の背中を力いっぱい叩きながら答える。


「新入生闘技大会の決勝で俺が得意分野の殴り合いで負けた事あったろ? あの時は本当に落ち込んだんだぜ? ポンゴも自信があったようだからな。実力差を痛感したんじゃないか?」


 俺たちが話しているところに、ポンゴと一緒にいた3人の男たちが、ホールドアップ、つまり両手を上げ、手向かいしない意志を見せながら俺たちに近づいてくる。


 するとコディが先頭に立ち、魔族の3人に聞く。


「お前たちはポンゴがダジビに化けていた事を知っていたのか?」


「まさか!? ずっとダジビだと思っておりました。やけに口数は少ないと思ってはいましたが……私たちが姫様に対して反意を持つとでも?」


「そうだよな。悪かった。だが今回の件はアイク様に預ける。俺もしっかりと口添えをするが、姫の行動に多少……かなり問題な部分もあったと思う。不問とは言わずとも沙汰を軽減してもらうように尽力するから、お前たちも変な気は起こすなよ?」


 コディの言葉に3人が頷いたところで、アイクが姫とサーシャを連れてくる。これでハチマルを除くメンバーが一か所に集まったことになる。


「マルス、取り敢えずグランザムに戻ろう。ポンゴが単独犯かどうかもわからない。ヒメリにも来てもらう。そこの3人もいいな?」


 3人の男は素直に頷き、姫も


「承知した。まさかポンゴが手も足もでんとは……だがそのポンゴを圧倒する男が妾の夫……」


 意外にも素直に従う。最後の方は良く聞こえなかったが、きっとポンゴを圧倒したのがよほど姫の心を打ったのだろう。これで姫も少しは大人しくなるかもな。



 グランザムの北門を開けるとそこにはブレアを先頭にビートル騎士団が不安そうな表情をして待機していたが、捕えたポンゴ、しおらしい姫を見るとだいたいを察してくれたようで、すぐにビートル伯爵の屋敷まで警備しながら案内してくれる。


 なんせこの街の住民は魔族に対していい印象がないからな。ここで住民の誰かが姫に対して何か無礼な振る舞いをし、それに対して姫がキレる事もありえる。


 ビートル伯爵の屋敷に着く頃にはもうポンゴは目を覚ましており、何とか逃げようと試みているが、しっかりと火精霊の鎖(サラマンダーチェーン)で拘束しているので逃げる事はできない。


 それに専門? のミネルバがポンゴ対策をしてくれたしな。まさかここで猿轡が役に立つとは思いもしなかった。当然のように自分の荷物から猿轡を取り出したミネルバを見た時のビートル伯爵の表情はみんなも察しての通りだ。


 もしも手錠が必要な場合は去年ミネルバから誕生日プレゼントとして貰った手錠を持っていたので、それを使ってもらおうと思っていたのだが、そこはミネルバ。何個も持っているから大丈夫だとすぐに断られた。


 ポンゴにどうして姫を襲ったのか質問しても口を割らないので、騎士団に身柄を渡し、取り調べという名の拷問にかけてもらう事にした。


 その際、ブレアに拷問するメンバーを予め決めてもらい、そのメンバーを俺が鑑定し、問題なさそうだったので、ビートル伯爵の許可を貰い、邸宅の庭にあたる部分に拷問室を俺とバロンで作った。


 騎士団の詰所にも取り調べをする部屋はあるらしいのだが、ちょっと思う所があって伯爵に無理にお願いをして庭に作ったのだ。ビートル伯爵は俺が土魔法を使える事に驚いていたけどね。


 その間にみんなには風呂に入ってもらった。特にアイクと姫はしっかりと身を清めたほうがいいしな。


 姫が風呂に入るとなると【黎明】の女性陣が姫と一緒に風呂に入ると言ってきかないので、嫌がる姫の意見を無視し、女性全員一緒に風呂に入る事になった。


 予想外だったのはクラリスも一緒に入ると言ったことだ。クラリスはいくら同じ女性であっても、知らない者に自分の肌を見せたがらないイメージだったのだが、もしかしたら姫の事を気にいったのかもしれない。


 俺とバロンも拷問室を作り終えると、アイクたちのいる浴室に向かった。たちというのはブラッド、コディ、そして魔族の3人も一緒に風呂に入っているのだ。


「マルス様は何者なのですか? ポンゴを圧倒するなんてヘルメスの街の者からすれば信じられない。この街では剣聖様と呼ばれていたようですか?」


 一緒に風呂に入った魔族の1人、ドグマが聞いてくる。


「うーん、剣士でもあるし魔法使いでもあるしって感じかな。あと敬語、敬称は不要で。その分俺の方が年下だけど呼び捨てにさせてもらうから。いいか? ドグマ?」


 ドグマが頷き、続けて質問してくる。


「分かった。マルスはあの5人の中で誰と付き合っているんだ? みんなとんでもない美女だった……銀髪の女は魅了眼持ちか? 近くに行くと勝手に目が追ってしまうのだが?」


 まぁ聞かれるよな。ただこうやって婚約者たちを褒めてもらえると俺としてもとても気分が良い。そしてなぜかドグマの質問にコディが得意げに答える。


「銀髪の女はクラリスって言うんだ! 俺とブラッドの想い人でもある。だからお前らは諦めろ」


 その得意げなコディにアイクが


「ドグマ、その5人というのは全員マルスの婚約者だ。コディ、ブラッド。お前らこそいい加減クラリスを諦めろ。どう考えても望みはない」


 アイクの言葉にドグマたちが一瞬俺を睨んだ気がしたが、「まぁそんな気もしたが」とぼそりと呟く。


「アイク様、俺だってそのくらい分かっています。でもこの好きという気持ちはどうにもならないんで……」


「コディの言うとおりだ! 俺だって自分よりも圧倒的に強い姐さんが振り向いてくれるなんて思ってねぇが、それでも姐さんを好きな気持ちは負けねぇ!」


 その後はずっとクラリスたちの話でブラッド、コディと魔族の3人が盛り上がり、すっかり魔族の3人とブラッドは仲良くなっていた。風呂を出ると、広間に通され、先ほどの事をアイクからビートル伯爵に伝える。


 魔族の3人もビラキシル侯爵の言葉をしっかりと聞いていたようでそのことに関しても、アイクとビートル伯爵に報告する。


 ちなみに女性陣はまだ風呂から上がってきていない。


「……うむ。という事は少なくともビラキシル侯爵としては、我々と戦う意志はないと。そしてヒメリの行動は全て独断で、従うしかないお前らはヒメリの行動に従っていただけだと。ポンゴという男の行動もまた独断であると……こう聞いてみるとヒメリが勝手な行動さえ起こしてなければ事態は簡単に……いやそうでもないか。会談の時の事もあるからな……」


 ビートル伯爵が俺たちからの報告を聞いて考え込む。


「なんでお前たちは姫の暴走を止めなかったんだ? そもそもビラキシル侯爵は何故姫を交渉役にしたんだ? 姫だけは絶対にダメだろう?」


 コディがドグマたちに聞くと


「俺たちだって姫様が交渉役に向いていないのは分かっていました。でもビラキシル侯爵がそう仰ったので……それに俺たちに姫様を止める事はできません。姫様は我儘で傷つきやすい。それはコディ様が一番良く分かっているでしょう?」


 姫を問題視しているのはコディだけではないようだ、魔族側がまともな思考の持ち主で良かった。これで姫は普通だと言われたら話にならんからな。


「そういえば、なぜマルスはわざわざ庭に拷問室を作ったのだ? 詰所ではダメなのか?」


 ビートル伯爵の質問に正直に答える。


「はい。今回魔族側でダジビという者にポンゴが変化しておりました。もしかしたらビートル騎士団の中にも変化している者がいるのではないかと思いまして。そしてその者たちが先のビートル伯爵とビラキシル侯爵の会談を妨害したのではないかと思っております。今回もアイク兄と姫が握手をし、いい感じで話がまとまりそうなところにポンゴの妨害が入りましたし」


「……うむ。確かに……だがそれを言ったら今ポンゴに拷問をかけている騎士団員メンバーも怪しいという事にならないか?」


「それは大丈夫だと思います。そのために僕が1人1人鑑定をしましたから」


「なんと!? マルスは鑑定もできるのか!? 剣聖、土魔法使い、鑑定持ち……凄まじい才能だな……でも何のためにポンゴはそんな事をするのか?」


「すみません。動機までは分かりかねます。ただそんな気がしただけなので……」


 と、ちょうど俺が尻つぼみになりながら答えた時だった。


 項垂れる姫と、対照的にどこか満足そうな5人の婚約者に、サーシャ、そしてずっとサーシャを舐めるように見つめる男が広間に来たのは。


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― 新着の感想 ―
[良い点] >しっかりと火精霊の鎖で拘束 鎖の扱いに習熟されているらしいw [気になる点] >拷問室を俺とバロンで作った。 土魔法使える人材だからというのは解っているのですが、バロンが嬉々として愛の巣…
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