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14章 少年期 ~リスター帝国学校 2年生 武神祭編~

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第226話 兄弟対決

 リーガン公爵がまだガスターが来ていない事を俺に伝えてきた。


「ガスターにはかなり前から今日の昼に校長室に来るように伝えておりました。当初はエキシビジョンマッチでマルスと戦ってもらう予定でしたからね」


 最初は俺の対戦相手としてガスターを呼んでいたのか。


「本来であればもっと早くに来てもらった方が良かったのかもしれませんが、あまりにも早く来てしまうと勘のいいマルスやエリーに察知されてしまうと思いまして……」


 確かに俺ならともかくエリーなら気づくかもしれないな。


「ガスターからも返事が来ておりましたので安心していたのですが、昼休憩の時に学校の門兵に聞いてもまだ来ていないとの事らしく、リーガンの街まで騎士団を使って探し回ってはいるのですが、まだ見つかっておりません」


 普通に考えれば、依頼をブッチしたとしか考えられないが……


「ガスターがこのように遅れたりすることは今までなかったのですが……それに今思えば不審なことが1つあります。いつもは10日に1回は早馬で定期連絡がくるのですが、その定期連絡が最近来ていないのです。てっきり今日会う時に直接報告されるとばかり思っていたものですから気にも留めていなかったのですが……」


 俺からすればガスターはあまり信じられる人間ではないから、別にこんなことがあっても不思議じゃないと思うのだが、付き合いの長そうなリーガン公爵なら心配になるのであろう。


「早馬を使わないといけない所に居たのですか? もしかして魔の森に変な魔物が出たという情報はガスターからの報告だったのではないですか?」


「……ええ。そうです。ガスター率いる【幻影】には去年の暮れ辺りからザルカム王国の諜報活動をしてもらっておりましたから……」


 諜報活動をメインとしているガスターが魔の森に入るわけにはいかないだろうから俺たちに依頼を出したのか。


「それで僕はどう致しましょうか? ガスターを探すにしても優勝決定戦がありますし……」


「なるべく優勝決定戦を長引かせてください。ガスターが遅れてくるかもしれませんから……」


 まぁ遅れて来たら来たで問題にはなるな……


「分かりました。このことをアイク兄は知っておりますか?」


 俺の質問にリーガン公爵は首を横に振った。1から説明すると時間がかかるし眼鏡っ子先輩の事もあるからアイクには言わなかった……言えなかったのだろう。急いでクラリスたちが待つ選手控室に行くと


「どうしたの? 随分話し込んでいたようだけど……?」


「ああ……この試合ちょっと長引かせてくれと言われてな。理由はすぐに分かると思うから……」


「分かった。頑張ってね。私とカレンは闘技場の観客席の最前列に行くから。お義兄様の魔法が飛んできた時に対処するようにと言われているからね」


 クラリスの質問に答えるとあっさり納得してくれ、クラリスはカレンと2人で観客席に向かった。


 俺が選手控室に着いたことを名物アナウンサーが知ると、すぐに優勝決定戦のアナウンスが始まる。



「お待たせいたしました! これより武神祭!優勝決定戦の始まりです! まずは先程の戦いでは見事に男子生徒を敵にした男の入場です! 自らの兄に対してどのような戦いを見せるのかが注目です! マルス・ブライアント!」


 俺が入場すると相変わらず黄色い声援が響き渡る。そして意外にもブーイングは少ない。少ないというかなかった。


 むしろ「もっとやれ」「もっと頂戴」とか男子生徒が叫んでいる。次の対戦相手はアイクだぞ? 兄弟で抱擁するって……まぁアイクなら……


「さてお待たせ致しました。リスター帝国学校の最高傑作と呼ばれた男の紹介です! 去年4年生での優勝を決め今年は優勝決定戦からの参戦となったこの男! その槍はハーレムキングのハーレムを打ち砕き、その火魔法はハーレムキングの野心を焼き尽くす! 弟の横暴を止めるのは兄の役目! 【紅蓮】のパーティーリーダーにして5年Sクラス序列1位! アイクゥゥゥウウウ! ブライアントォォォオオオ!!!」


 名物アナウンサーのアナウンスと同時にアイクが爽やかな笑顔を振りまいて割れんばかりの大歓声に手を振りながら颯爽と闘技場の中央に現れた。俺の前にアイクが立つと握手を求めてきたのでそれに応えた。


「優勝決定戦! はじめ!」


 アイクが距離を取り火精霊の槍(サラマンダーランス)を構える。俺も下がって雷鳴剣と火精霊の剣(サラマンダーソード)を構えると


「おっと! ここでマルス選手が2本の剣を構えた。女だけではなく剣も複数扱うと言うのか!?」


 相変わらず酷いアナウンスだ。会場からは笑いが起きている。まぁ盛り上がってくれれば何よりだ。


 だがこのアナウンスに何故かアイクが怒っているように見えた。名物アナウンサーに対して睨みつけている。もしかして俺が愚弄されたのを怒ってくれているのか?


 いい兄貴だ……アイクはしばらく名物アナウンサーを睨みつけていたが、こちらを向くと大きな声で叫ぶ。


「行くぞ! フレア!」


 アイクのフレアを雷鳴剣で斬ると会場からは大きな歓声が上がった。


「熱くないのか!?」

「すげー! フレアを斬った!」


 真っ二つになったフレアは観客席に向かうがそれをクラリスとサーシャが水魔法と風魔法でそれぞれ相殺した。


「こっちもすげー!」

「クラリスちゃん最高!」


 観客たちがクラリスたちに賛辞を贈る。カレンやスザクも別の所で待機してくれている。


 アイクはフレアを10発ほど放ってから俺に突撃してきた。最後のフレアを斬るとフレアの陰に隠れてアイクが迫ってきていた。


 これ……何回か見たな……火魔法を使う者はこのパターンが好きなのかもしれない。


 俺がアイクの火精霊の槍(サラマンダーランス)火精霊の剣(サラマンダーソード)で払おうとすると逆に俺の火精霊の剣(サラマンダーソード)が弾かれた。


 な、に……想像以上にアイクの攻撃力が高い……それに刺突も速くなっており、戻りも速い。今まで以上に隙がない。


 槍王の効果かもしれないが、アイクの筋トレの成果もあるだろうな……8月から毎日のように一生懸命やっていたからな。


 それに間違いなく火精霊の槍(サラマンダーランス)に火魔法をエンチャントしている。ヒュージよりも力強い槍捌きだ。いい訓練になる。


 俺はビャッコ戦で掴んだ相手の攻撃をいなしながら力に変える技で応戦する。


「凄いな! ライナー先生と戦っているみたいだ! それを二刀流でやるなんて!」


「アイク兄も力強く、速く、隙が無いです! ほれぼれする槍捌きで!」


 2人でお互いを称えながら剣戟を重ねる。楽しくなって何合も何合もだ。俺はリーガン公爵の試合時間を延ばせという言葉を完全に忘れていた。


 俺とアイクの試合に最初は盛り上がっていた観客たちも今は固唾を飲んで見守っている。名物アナウンサーすら実況もせずにただただじっと見ている。


 そして朝練効果で俺たちのスタミナはまだまだある。もう何分……いや何十分戦っているだろうか? すると意外な形で試合にストップがかかった。


「両者! それまで!」


 俺とアイクの試合を止めたのはなんとリーガン公爵だった。リーガン公爵のストップの声がかかると俺たちはすぐに武器をしまった。


「これ以上戦い続けると集中力、体力が切れてお互い怪我を負って大変なことになってしまうかもしれません! それに2人の強さはここにいる全員が知りました! よってここは両者優勝という事で終わりにします!」


 リーガン公爵が俺たち2人の下に歩きながら話すと観客席からはこの日1番の割れんばかりの大歓声が鳴り響いた。そういえば試合時間を延ばせと言われていたような気が……


「よろしいのですか? 時間は……?」


「ええ……今の試合を見ていたらどちらかが必ず敗者となってしまうのが勿体なく感じてしまいまして……試合に水をさしてすみませんでした」


 リーガン公爵が少し微笑みながら話しかけてくると


「リーガン公爵のおかげでマルスと兄弟同時優勝という最高の思い出を作る事が出来ました。これは僕にとっても今までで一番名誉なことだと思います。いくら魔法を封印しているとはいえ、一番尊敬しているマルスと肩を並べられたのですから」


 アイクがリーガン公爵に頭を下げながら言うと観客席の男子生徒達から


「最高の試合だったぞ!」

「絶対に忘れないぞ!」

「途中で息をするのを忘れていたぞ!」


 最高の賛辞が次々と送られてきた。女子生徒たちの中には何故か泣いている子たちもいた。ゴンの方を見ると2年Bクラスのみんなと一緒に大盛り上がりをしていた。


 クラリスやカレンも選手控室に戻っており、俺とアイクの同時優勝を嬉しそうに祝ってくれている。


「本当にいい試合でした。あなた達兄弟は間違いなくリスター帝国学校史上最強の……いえ最高の兄弟です」


 リーガン公爵が俺とアイクの間に立ち俺たち2人の手を握って両手を空に上げた。


 その瞬間花火のような魔法が空に上がり俺達の同時優勝を祝ってくれた。


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― 新着の感想 ―
[一言] ウゼェお前の駒扱いじゃねーか
[良い点] おじさん あかん~ ワクワクが~ 次も~ ってなりますわ 
[気になる点] 神聖魔法がそこまで稀少な世界で、さらに攻撃力・殺傷力が現代日本と比べても異様に高い世界で、なおかつ学校という児童の安全を最優先しなければならない環境で、なんで真剣でやってんの?こんだけ…
感想一覧
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