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14章 少年期 ~リスター帝国学校 2年生 武神祭編~

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第222話 対戦相手

 2031年10月10日 登校中



「マルス!応援しているからな! 俺達2年の代表として頼むぞ!」


 ゴンたちといつものように登校していると他の2年生から声をかけられた。


「ああ。応援よろしくな」


 俺が手を挙げて答えると、生徒達が男女問わず声をかけて応援してくれた。


「おはよう。マルス、いよいよ今日ね!」


 クラリスが珍しくこの時間に登校していた。クラリス自身は早く起きるのだが、エリーが遅いからいつもそれに合わせて登校が遅いのだ。


「おはよう。みんな。今日はみんな朝練来なかったけど何かあったのか?」


「え……? まさかマルス今日も朝練やったの?」


 クラリスが俺の質問にびっくりしていた。


「ああ。毎日の積み重ねが大事だからね。アイク兄と2人でやっていたよ?」


「今日は武神祭の当日よ? 朝練やると疲れを残しちゃうじゃない? だからてっきりマルスもやらないものだと思っていたのだけれども……お義兄様も一緒にやっているなんて……」


「ほらね?マルスはやるって言ったでしょ? でも義兄さんもやるなんて……」


 クラリスは驚いていたが、ミーシャは予想していたようだ。それにしてもカレンもアイクお義兄様と呼びミーシャも義兄さんと呼ぶ。なんか違和感でしかない……


「クラリス、おはよう。クラリスはなんで武神祭に出なかったんだ?」


 ゴンがクラリスに対して少し緊張した雰囲気で話しかける。9月に入ってから俺たちは食堂の3階で食べるようになったので、クラリスとゴンはあまり話さなくなってしまったのだ。あまり会う機会がないから仕方ないのだが……


「ゴンもおはよう。私とエリーはね……まだ秘密なんだ。でも何かあったらしっかり応援してよね。応援してくれなきゃもう口利かないよ?」


 クラリスが冗談交じりにゴンに笑いながら話しかけるとゴンは顔を真っ赤にして心臓を抑える。今のは完璧にクラリスにハートを撃ち抜かれたな。俺が見ても悪魔的な可愛さだった。


 それにしても最近は寮から学校までの道がとても綺麗だ。そして今日も1年生の校舎の前でブラッドがみんなに朝の挨拶をしていた。


 ミーシャがブラッドに下した罰ゲームは、寮から学校までの掃除と毎朝1年生に挨拶をする事だった。


 ミーシャはブラッドが1年生の中でも浮いていると知っており、少しでも打ち解けてくれればと思ってこの罰ゲームにしたらしい。なんか仲間想いのいい奴だな……ただ効果があるかは俺は知らないよ? 中にはブラッドを余計怖がる生徒もいるようだし。


 教室に着くとすでにローレンツが待っていた。どうやらローレンツは俺達以上に緊張しているらしい。


「お、おはよう。お前ら早いな。上級貴族たちと会うから俺も緊張してな……」


 ローレンツは緊張を隠す様子もなく俺たちに打ち明けた。


「ローレンツ先生。早く空気に慣れたいので先に闘技場に行っていますね?」


「わ、分かった。俺もすぐに行くから……先に行って慣れておけ」


 俺の言葉にローレンツが少し動揺しながら答えた。やはり普通に考えればこういうのって緊張するよな。


 闘技場に着くと他の先生方やリーガン騎士団と思われる者たちが厳重に警備をしていた。


 まぁ、貴族たちを迎え入れるのだから当然と言えば当然だが、物々しい雰囲気のせいか流石に俺も緊張してくる。


 闘技場に入るとすでに警備にあたっていたサーシャに案内され選手控室に7人全員で入る。


 トーナメントには出ないクラリス、エリー、そしてすでに負けてしまったミネルバも一緒でいいそうだ。


 選手控室にはまだ誰も来ていなかったので、俺達は闘技場の中心に向かうとライナーが皆に対して警備の指示をしていた。ライナーは俺たちに気づくと


「よう、今日は頑張ってくれよ。そういえばクラリスとエリーの出番が決まったぞ。対戦相手はまだ俺たちも知らされていないがきっとかなりの大物だと思うから気を引き締めろよ」


「私たちの出番はいつですか?」


 ライナーの言葉にクラリスが質問をする。そりゃあ、そこまで言われたら聞きたくなるよな。


「2人の出番はアイクとの優勝決定戦が終わった後だ。最初はアイクとの優勝決定戦の前にやるつもりだったらしいのだが、リーガン公爵が生徒全員を教室に戻してから限られたメンバーにしかエキシビジョンマッチを公開しないと言ってな。まぁ色々秘密にしておきたいこともあるだろう? リーガン公爵には感謝することだ。お前たちの事をよく考えてくれているぞ」


 良かった……応援出来ないゴンたちには悪いが、リーガン公爵ならきっとこのやり方にしてくれると信じていた。


 時間が経つにつれて生徒や貴族がどんどんと会場入りしてくる。貴賓室にはリーガン公爵を含む12公爵家全て見に来ていたのだが、当主が来たのはフレスバルド公爵とセレアンス公爵だけだった。


 フレスバルド公爵とセレアンス公爵は自分たちの仲がまるで以前から良かったかのように外からも見える一番目立つ場所でずっと笑いながら語り合っている。恐らく他の貴族たちにも生徒達にも印象付けたいのであろう。


 選手控室にアイクやガル、眼鏡っ子先輩、クロム、アリスもやってきた。そして当然のようにブラッドもだ。


 アイク、眼鏡っ子先輩、ガルは【暁】と結びつきが深いので自然と俺たちと話をしている。


 だがクロムは同じ1年生のアリスとブラッド以外には気軽に話しかけられる人などいない。


 だからどうしてもクロムだけが1人ぼっちになってしまう。俺がクロムに話しかけようとすると、先にミーシャがクロムに声をかけた。


 クロムは嬉しそうにミーシャと話をしてついにはみんなとの会話にも混ざれるようになった。


 しばらく雑談していると選手控室の扉が開いた。リーガン公爵が俺たちの様子を見に来たのだ。


「あら? 随分多いわね……まぁいいわ。今から全員貴賓室にいらっしゃい」


 リーガン公爵が急にそんなことを言うもんだから、今まで和気藹々としていた雰囲気が急に重くなった。特にブラッドが緊張しているようだ。まぁフレスバルド公爵に無礼な言葉遣いは出来ないからな。


 貴賓室に行くとまずフレスバルド公爵とセレアンス公爵が俺を盛大に出迎えてくれた。


「マルス! 久しぶりだな! それによくやってくれた!」


 セレアンス公爵が大きな声で出迎えてくれると


「マルス! お前のおかげで我がフレスバルド公爵家とセレアンス公爵家が正式に協力をすることになった!」


 フレスバルド公爵も普段以上に大きな声を出して出迎えてくれた。これはどう考えても周りの貴族たちに聞かせるためにやっているな。


「お久しぶりでございます。フレスバルド公爵、セレアンス公爵。両公爵家が手を取り困難に立ち向かえばきっと僕たちの未来も明るい事でしょう」


 なんとなく雰囲気で言ってみた。多分このようなことを言って欲しいに違いないと思ったのだが……両公爵は頬を緩ませて笑ってくれた。きっと正解だったんだな。


「ではマルスとクラリス、エリーの3人はこれから行くところがあるのでこれで失礼します。他の者はしばらくここに居てください」


 俺がたった一言、フレスバルド公爵とセレアンス公爵に話すともうリーガン公爵がお役御免という感じで俺達3人を退出させた。俺達3人はリーガン公爵に連れられて小さな部屋の前に連れていかれた。


「失礼しますよ」


 リーガン公爵がノックもせずにドアを開けるとそこにはスザクとビャッコがいた。俺達も驚いたがスザクとビャッコも驚いていた。


「お久しぶりです。スザク様、ビャッコ様」


 俺が2人にまず挨拶をすると2人は俺を見てすぐにクラリスとエリーを見た。


「ま、まさか……マルス……リムルガルドの5人目と6人目のメンバーはこの2人という訳ではないよな……?」


 スザクが驚いたように聞いてくる。俺はまだ何も言っていないのだが……恐らくリーガン公爵がここに連れてくる者が5、6人目候補と言ったのかもしれない。俺が答える前にビャッコが


「スザク様。金髪の方はバーンズ様のご息女の金獅子のエリー・レオです。銀髪の方の美女は俺も戦ったことを見たことがありません」


「……私……3位……クラリス2位……クラリスが上……」


 クラリスの実力を示すようにエリーが序列を言う。


「いや、そういう問題ではない。流石にリムルガルド迷宮に女子は連れていけない。もしも本当に必要な戦力だとしたら大歓迎だが……A級冒険者くらいの強さか何かしらのスキルを持っていないと……」


 スザクはクラリスとエリーを連れていくことに反対のようだ。


「はい。僕はこの2人を推薦します。今日この2人がエキシビジョンマッチをします。聞いたところによると優勝者が決まった後に限られた者のみ観戦させるとのことですが……?」


 俺がリーガン公爵の方を向きながら言うと


「スザク、ビャッコ。まずは今日のエキシビジョンマッチを見てからにしなさい。2人の対戦相手はそれなりに強いと思いますよ?」


 リーガン公爵は誰を用意したのだろうか?


「スザク様、ビャッコ様。2年Sクラス序列2位クラリス・ランパードと申します。今日は一生懸命戦うのでよろしくお願いします」


 クラリスが2人に向かって挨拶をする。考えてみればクラリスは2人にしっかりと自己紹介をしていなかった。


「あ、ああ…… カレンから聞いてはいるが、君は確かマルスの正妻なんだよな? そんなに綺麗な顔や体が傷だらけになるかもしれないと思うと……実力があれば歓迎なのだが本当にいいのか?」


「もちろんです!」


 スザクの言葉にクラリスがはっきりと答える。


「リーガン公爵、2人の実力を試す相手というのは誰ですか? 流石に変な相手と戦って勝ったから連れていけでは困りますので」


 今度はリーガン公爵にスザクが尋ねる。これは俺やクラリス、エリーも気になっていたことだ。


「そうですね……エキシビジョンマッチまで秘密にしておこうかと思いましたが私だけが知っているのはフェアじゃないですね」


 うん? フェアじゃない?もしかして……?


「クラリスの相手は【剣神】が唯一パーティを組んでいた者……つまり私、セーラ・エリザベスです」


 え? 【剣神】ってS級冒険者で1番って人だよね? 確か悪魔族を滅ぼしたという……その【剣神】とリーガン公爵が同じパーティ? だけど組んでいたと過去形になっていた……パーティは解散したのか?


 リーガン公爵の言葉にここに居る全員が驚いていた。1番ビックリしているのは間違いなくクラリスだろう。


「え……私が……リーガン公爵と……?」


 予想外の相手で混乱している。


「どうです? スザク? 私が対戦相手では不満ですか? 近距離戦では私は勝てないので魔法戦をするつもりです。クラリスは弓使いですから弓の使用は認めますが」


「い、いえ、風王のリーガン公爵と同じくらいの強さと言うのであれば大歓迎ですが……ほ、本当にリーガン公爵自ら……?」


「ええ……この子にはそれだけ期待しているという事です」


「わ、分かりました。そこまで言うのであればクラリスがリーガン公爵といい勝負をすれば同行を認めましょう」


 この言葉に混乱していたクラリスが


「ありがとうございます!」


 スザクとリーガン公爵の2人に頭を下げた。


「そしてエリーの対戦相手は?」


 ビャッコがリーガン公爵に聞くとリーガン公爵から思いもよらぬ名前が出てきた。



 その瞬間エリーからは激しい殺気が溢れ出た。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] リーガンに感謝? 今までの行動を見てそう思えるのは頭お花畑な奴ぐらいだろ 殺人鬼なお前等の面倒に始まり何度、便利に使われたと思ってるんだ?お前等は呪いから開放されて満足だろうけど自分が…
[一言] 作者様、222話・ゾロ目でございます。
[一言] 怯えるじゃなく、怒る相手?誰だろー
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