第210話 前日
2031年7月10日
昨日カレン、ミーシャ、アリスも魔の森の中に入ったのだが、カレンは幻妖花に慣れるのに1日もかからなかった。
それも俺がクラリスやエリーを押し倒そうとしたのに対し、カレンは何かに怯えているような症状だった。
ミーシャはエルフだから幻妖花への状態異常耐性がある。
アリスにはこの前リーガン公爵からもらった状態異常耐性が付与されている戦姫の法衣がある。俺だけ克服するのに7日もかかってなんか悔しいし恥ずかしい。
ライナーとブラムも過去に入ったことがあるらしく、魔の森の幻妖花はすでに克服しているとの事だ。
「明日から、本格的に魔の森の中に入る! 班分けをして潜ろうと思ったのだが、今回は大人数で入ろうと思う。理由は最後に述べる!」
全員待機所に集合してヒュージの言葉に耳を傾ける。
「まず最前衛が3名! 俺を中心に右側がアイク、左側がエリー! 最前衛は斥候の役割も務めるからな! 少しの間単独で動く可能性がある! 絶対にどこにパーティがいるかだけは常時確認しておくように!」
これは予想通りだった。呼ばれた2人はヒュージの下へ行き、アイクがヒュージの右側、エリーがヒュージの左側に立った。
「次、前衛が3名! ブラムを中心に右側がライナー、左側がミーシャ!」
なんとここでブラムを連れていくのか……少しブラムには厳しいと思うのだが話には続きがあった。
「ブラムには俺の弱点であるMP切れを防ぐために大量のマジックポーションを携帯してもらいたい」
そういう事か。なら納得できる。魔氷の鎧での剣の扱いには大分MPに負担がかかるっぽいしな。ブラム、ライナー、ミーシャは先ほどのエリーとアイクのようにヒュージの所に行き、それぞれヒュージに言われたポジションにつく。
「次、中衛が3名! マルスを中心に右側がアリス、左側がカレン!」
アリスも連れていくのか!? まぁこの2か月弱でアリスが最も成長しており、カレンよりかはもう既にHP、耐久値も高い。俺がブラムの後ろに立ち、カレンがミーシャの後ろ、そしてアリスがライナーの後ろに立った。
「最後、後衛が2名! クラリスとサーシャ!」
クラリスとサーシャが俺たちの後ろにつく。
「以上この11名で明日、魔の森に入る! 班分けしなかった理由は、もしもデーモンたちと遭遇し 魔法戦になった場合は絶対に頭数が多い方が有利だからだ! しかしその分大人数での行軍はリスクが伴う! 魔物に発見される可能性が高く、どこかに隠れるという事もできない! そしてここに残る【紅蓮】の4人には引き続きこの砦の警備をお願いしたい。
今日の昼以降に【氷帝】の4名がここに来る。俺達がここに砦を構えて以降バーグットの街には魔物が来なくなったとの事だ。もうバーグットの街は安全と判断してこっちに来てもらった。エーディン。あとで【氷帝】のメンバーと顔つなぎをするからよろしくな」
良かった。俺達が抜けた後のここの守りも心配だった。元の位置に戻りヒュージに1つ質問をした。
「ヒュージ様。もしかしたらデーモンの所在が分かったのですか? 班ではなく纏めて動くと急に変更になったものですから……」
「ああ……実はな。お前たちが幻妖花に慣れてもらっている間に魔の森の中を警戒していたのだが、どうやら西側の魔物がだいぶ少ないことが分かった。それに狂乱と思われる状態のアサルトドッグも西側で見かけた。デーモンがいるとしたら西側にいると思っている」
俺がクラリスやエリーを襲っていた時間も無駄ではなかったという事か。話し合いが終わるとちょうどそこに【氷帝】のメンバーが砦を訪れた。
早速メンバーをヒュージが俺たちに紹介をして【紅蓮】のメンバーたちと密に砦の警備について話し合っていた。
「なんかみんなで魔の森に行くのってワクワクしちゃうね」
相変わらずミーシャは能天気だ。ピクニックに行くんじゃないんだから……
「私もこの日の為にかなり頑張りました!」
アリスが右手で拳を作って言うと
「そうね。私も予想外に強くなれたわ」
クラリスも自信をのぞかせていた。たしかに今回のクラリスの成長は頼もしかった。
「ファイアバードが何とか形になったけどまだ実践レベルではないわ。それでも私もかなり強くなっているからみんなの足を引っ張らないと思うわ」
謙虚にカレンが言うとエリーは何も言わずにただ俺の左腕に巻き付いてきた。確かにみんな大分強くなったな。
ライナーも死の森で鍛えられていたので大幅に強くなっていた。まぁライナーが言うにはやはり神聖魔法使いがいないと細かな傷が増えていくらしいが、気合でカバーしたらしい。魔の森の中に入る前のステータスを紹介しておこう。
【名前】マルス・ブライアント
【称号】雷神/風王/聖者/ゴブリン虐殺者
【身分】人族・ブライアント伯爵家次男
【状態】良好
【年齢】11歳
【レベル】44
【HP】114/114
【MP】8155/8155
【筋力】107
【敏捷】106
【魔力】123
【器用】103
【耐久】100
【運】30
【固有能力】天賦(LvMAX)
【固有能力】天眼(Lv10)
【固有能力】雷魔法(Lv9/S)
【特殊能力】剣術(Lv9/A)
【特殊能力】火魔法(Lv5/D)
【特殊能力】水魔法(Lv5/D)
【特殊能力】土魔法(Lv7/C)
【特殊能力】風魔法(Lv10/A)
【特殊能力】神聖魔法(Lv8/A)
【装備】雷鳴剣
【装備】火精霊の剣
【装備】鳴神の法衣
【装備】偽装の腕輪
まずは俺、ついに全てのステータスがオール100以上になった。今からA級冒険者の試験を受けてもいいくらいに仕上がっている。
【名前】クラリス・ランパード
【称号】弓王・聖女
【身分】人族・ランパード子爵家長女
【状態】良好
【年齢】11歳
【レベル】47
【HP】100/100
【MP】1775/1775
【筋力】72
【敏捷】73
【魔力】92
【器用】88
【耐久】71
【運】20
【固有能力】結界魔法(Lv4/A)
【特殊能力】剣術(Lv6/C)
【特殊能力】弓術(Lv8/B)
【特殊能力】水魔法(Lv7/C)
【特殊能力】風魔法(Lv4/F)
【特殊能力】神聖魔法(Lv9/A)
【装備】ディフェンダー
【装備】魔法の弓
【装備】聖女の法衣
【装備】神秘の足輪
【装備】偽装の腕輪
次にクラリスだが神聖魔法がレベル9に上がっていた。まぁずっと俺にキュアをかけ続けていたから納得だ。あと【暁】の中では一番レベルが高いのもクラリスだ。その分ステータスも高くなっている。
【名前】エリー・レオ
【称号】-
【身分】獣人族(獅子族)・レオ準女爵家当主
【状態】良好
【年齢】11歳
【レベル】42
【HP】124/124
【MP】112/112
【筋力】86
【敏捷】108
【魔力】25
【器用】32
【耐久】70
【運】10
【固有能力】音魔法(Lv1/C)
【特殊能力】体術(Lv8/B)
【特殊能力】短剣術(Lv7/C)
【特殊能力】風魔法(Lv3/G)
【装備】カルンウェナン
【装備】ミスリル銀の短剣
【装備】風の短剣
【装備】戦乙女軽鎧
【装備】風のマント
【装備】風のブーツ
【装備】雷のアミュレット
カルンウェナンをだんだんと使いこなせるようになってきたエリーは、自分の影から俺の影に移動することが出来るようになっていた。
何故か俺の影だけにしか移動が出来ないらしい。どこでそんな練習をしていたんだろうか? ずっと寝ていたと思ったのだが……
【名前】カレン・リオネル
【称号】鞭王
【身分】人族・フレスバルド公爵家次女
【状態】良好
【年齢】11歳
【レベル】39
【HP】50/50
【MP】689/689
【筋力】36
【敏捷】37
【魔力】80
【器用】42
【耐久】29
【運】1
【特殊能力】魔眼(LvMAX)
【特殊能力】鞭術(Lv6/B)
【特殊能力】火魔法(Lv8/B)
【装備】火精霊の杖
【装備】レッドビュート
【装備】火精霊の法衣
【装備】火の腕輪
ついにカレンにも称号が! よかった女王様とかじゃなくて。カレンは完全に砲台キャラとなっている。【黎明】で一番HPと耐久力が低いのはカレンなので、しっかりと俺がカレンを守らないといけない。
【名前】ミーシャ・フェブラント
【称号】-
【身分】妖精族・フェブラント女爵家長女
【状態】良好
【年齢】11歳
【レベル】41
【HP】70/70
【MP】301/301
【筋力】59
【敏捷】78
【魔力】64
【器用】70
【耐久】40
【運】5
【特殊能力】槍術(Lv7/B)
【特殊能力】水魔法(Lv7/C)
【特殊能力】風魔法(Lv6/D)
【装備】風精霊の槍
【装備】幻影のローブ
【装備】幻影の小盾
【装備】大精霊の靴
ひたすら地獄の蛇と戦っていたミーシャは水魔法のレベルが上がっていた。
【名前】アリス・キャロル
【称号】-
【身分】人族・平民
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】30
【HP】58/58
【MP】107/107
【筋力】39
【敏捷】45
【魔力】40
【器用】42
【耐久】38
【運】20
【特殊能力】細剣術(Lv7/A)
【特殊能力】神聖魔法(Lv3/C)
【装備】聖銀のレイピア
【装備】戦姫の法衣
アリスは目を見張るくらい強くなっていた。ステータスだけであれば北の勇者と呼ばれたバロンのレベル30の時と遜色がない。
【名前】ライナー・オルゴ
【称号】剣王
【身分】人族・平民
【状態】良好
【年齢】34
【レベル】38
【HP】88/88
【MP】78/78
【筋力】48
【敏捷】52
【魔力】24
【器用】60
【耐久】30
【運】0
【特殊能力】槍術(Lv7/B)
【特殊能力】剣術(Lv10/A)
【特殊能力】水魔法(Lv3/E)
【装備】氷の刃
【装備】水精霊の法衣
ステータスだけを見るとかなり低いが、ライナーには圧倒的剣術がある。恐らく剣術レベル10の者の中でも上位になるだろう。だがライナーの【運】0というのが気になる。レッサーデーモンと同じ末路だけは回避せねば。
【名前】ブラム・チェスト
【称号】-
【身分】人族・平民
【状態】良好
【年齢】34歳
【レベル】52
【HP】54/54
【MP】284/284
【筋力】22
【敏捷】32
【魔力】64
【器用】55
【耐久】14
【運】1
【固有能力】空間魔法(Lv3/G)
【特殊能力】剣術(Lv6/D)
【特殊能力】土魔法(Lv5/D)
【装備】ミスリル銀の剣
【装備】護身のマント
実は後衛の方が得意なブラム、前衛を任されてしまったが一番安全な場所でもあった。前に3人。そして両脇にはミーシャとライナー、そして後ろには俺。ヒュージも色々考えているな。
【名前】サーシャ・フェブラント
【称号】風王
【身分】妖精族・フェブラント女爵家当主
【状態】良好
【年齢】89歳
【レベル】44
【HP】58/58
【MP】392/392
【筋力】42
【敏捷】65
【魔力】77
【器用】74
【耐久】32
【運】5
【特殊能力】弓術(Lv7/D)
【特殊能力】風魔法(Lv9/B)
【装備】エルフの弓
【装備】精霊の法衣
そして俺に奪われた風王を無事に取り戻したサーシャ。必死に風魔法を訓練していたらしい。
このメンバーにヒュージとアイクが加わる。やれることはやったと思う。そう思って【黎明】6人で一緒のベッドで寝た。
そしてある者の命運を大きく分ける7月11日を迎えた。
ステータス回を一つに纏めました。
この章ではあとアイクと魔物たち?のステータスを書くくらいだと思います。










